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2018年不動産はどうなる?バブル崩壊の可能性、ローン金利を専門家に聞いてみた

2018年の展望・不動産編

「不動産価格がバブル期を超えた!」なんて景気のいい話もあった2017年。しかし、普通に生活していると不動産市況の好調さは、いまいち実感を得づらいものです。

そこで、不動産の専門家おふたりに2017年の振り返りと、2018年の展望についてお話を伺いました。

今年、「不動産バブル崩壊」はあり得るのでしょうか?ローンの金利は上昇するでしょうか?

住宅購入や不動産投資を検討している方は、知っておくべきアドバイスも登場しますよ。

今回お話を聞いたのは…

不動産, マンション投資, 2018, 予測, 注意点 (写真= fizkes/Shutterstock.com)

長嶋修さん
株式会社さくら事務所創業者・会長、不動産コンサルタント
不動産デベロッパーで支店長として幅広く不動産売買業務全般を経験後、1999年に業界初の個人向け不動産コンサルティング会社である、不動産の達人 株式会社さくら事務所を設立、現会長。TV等メディア出演 、講演、出版・執筆活動等でも活躍中。著書に『5年後に笑う不動産』(ビジネス社)『不動産格差』(日本経済新聞出版社)など多数

浅井佐知子さん
浅井佐知子不動産鑑定事務所代表、不動産鑑定士
上智短大卒業後、紅弥不動産、三井ホームエステートで10年間主に法人営業(土地の有効活用)を担当。個人の賃貸営業を皮切りに、土地の有効活用、寮・社宅営業、法人の1棟ビル売買営業で伝説の成績を残す。その後結婚、出産、子育てをしながら不動産鑑定士の資格を取得、計20年以上の不動産業の経験を積む。著書に『世界一やさしい 不動産投資の教科書 1年生』(ソーテック社)

2017年注目された2つの「不動産事件」

2017年は不動産にまつわる事件がワイドショーを賑わせた1年でもありました。専門家の方に2つの「不動産事件」についてどう見ていたのか、意見を伺ってみました。

1. 座間9遺体事件

不動産, マンション投資, 2018, 予測, 注意点 (写真= nopporn/Shutterstock.com)

長嶋さんが印象深い事件として挙げたのが、男女9人の遺体がアパートで発見された「座間9遺体事件」でした。被害者の方はもとより、事件現場となったアパートのオーナーへの同情の声も当時聞かれました。

通常、このような事件によって事故物件化すると、資産価値の下落は避けられません。長嶋さんは、「一般論として、事故物件は売買価格・賃料ともに20〜30%の価格下落が発生します。しかし、今回のように大々的に報道されたケースではそれ以上に下がる可能性が高いでしょう」と指摘します。

不動産, マンション投資, 2018, 予測, 注意点 (写真=Rawpixel.com/Shutterstock.com)

長嶋さんによると「事故物件に明確な定義はない」とのこと。そのため、実務では裁判の判例を参考にしながら不動産業者ごとに、まちまちの対応をしているそうです。一般的には、自殺や殺人は事故物件扱い、自然死は事故物件ではないと解釈されます。

また、意外にも「持ち家」として販売される場合と、「賃貸」として貸し出される場合では、事故物件の扱いは異なるのだとか。

持ち家の場合、事件後50年経過しても、事故物件である旨を説明する義務があるとされた判例があります。一方、賃貸の場合、1人目の入居者には説明義務はありますが2人目以降の入居者には説明義務なし、とした判例もあります。賃貸で隣の部屋で事故があっても説明義務はないとされています。

不動産, マンション投資, 2018, 予測, 注意点 (写真=Rawpixel.com/Shutterstock.com)

ただ、住む側にしてみると「買う」にしても、「借りる」にしても、事故物件は出来れば避けたいもの。そのための自己防衛手段を長嶋さんに教えてもらいました。

「『事故物件には絶対に住みたくない!』という方は率直に、不動産業者にその気持を伝えてみてはいかがでしょう。不動産業者は、嘘の説明をすると宅建業法違反となるため、知っていることがあれば答える義務があります。ただしこの場合でも、売主が事実を黙っていたため不動産業者も知らなかったという可能性は残ります」(長嶋さん)

2.「地面師」の暗躍

不動産, マンション投資, 2018, 予測, 注意点 (写真=wk1003mike/Shutterstock.com)

2017年の「不動産事件」2つ目は大手住宅メーカーの積水ハウスが地面師グループに63億円を騙し取られる事件です。

地面師とは、土地建物の所有者が知らないところで本人になりすまし、不動産取引を行い、代金をだましとったり、担保物件として銀行からお金を借りたりする詐欺集団。なりすまし役以外にも、書類の偽造役や物件を選定する役など、分業化により手口が巧妙化しています。

不動産, マンション投資, 2018, 予測, 注意点 (写真= sutipond/Shutterstock.com)

なぜプロ中のプロでも騙されてしまうのか? 長嶋さんはこう話します。

「地面師の手口は巧妙化しています。背景には、印刷技術が発達し、偽造書類を見抜くのがますます困難になっていること、そして不動産市況が好況であることがあります」(長嶋さん)

不動産鑑定士の浅井さんは、3Dプリンタの登場によって印鑑の偽造が容易になっていることも関係あると言います。

「詐欺で狙われるのはプロだけとは限りません。空き家状態になっている都心部の戸建を地面師がターゲットにすることもあるので、個人でも油断は禁物です」(浅井さん)

不動産, マンション投資, 2018, 予測, 注意点 (写真=PhuShutter/Shutterstock.com)

では、もし地面師の被害にあったらどう対処すれば良いのでしょうか。

長嶋さんによると、まず自分の不動産が勝手に売られてしまった場合、よほどの落ち度がない限り権利は取り戻せるそうです。しかし問題は、自分が買主側で地面師にだまされた場合です。

「買い主側として地面師の被害にあうと、地面師を見つけない限りお金が戻ってくる事はありません。仮に見つけられたとしても、地面師がお金を使ってしまっていたら事実上、回収は不可能です」(長嶋さん)

地面師の被害にあわないためにできることはあるのでしょうか? 長嶋さんが教えてくれた秘策は、契約前に、「売主の自宅で打ち合わせをしたい」と申し出ること。

「地面師からすると偽の売主の自宅を準備する必要が出てきます。この提案に難色を示すなら気をつけるべきでしょう」(長嶋さん)

このほかにも、不動産業者や司法書士は地面師による詐欺被害に備えて損害保険に加入していることもあるので、一度確認してみるとよいそうです。ただし、損害額の100%の保険金か降りるかどうかは個別に判断されますのでご注意を。

どうなる? 2018年の不動産市況

では、2018年の不動産市況はどうなるでしょうか? 展望についておふたりの意見を伺いました。

・不動産価格は引き続き上昇しそう?

不動産, マンション投資, 2018, 予測, 注意点 (写真=Creativa Images/Shutterstock.com)

2017年の不動産価格は「不動産市場は全体的に好調」(浅井さん)でした。実際、国土交通省が発表した2017年7月1日時点の基準地価では0.5%の上昇となり2年連続での上昇となりました。東京・銀座では、バブル期の価格を26年ぶりに更新しています。

不動産投資の専門家たちは、こうした流れは2018年もある程度は続くとみています。

ただし、浅井さんは「2018年も引き続き堅調に推移するでしょう。ただ、昨年と比べるとやや勢いが落ちるのでは」と話します。

・価格上昇を抑えるのは「融資の引き締め傾向」

不動産, マンション投資, 2018, 予測, 注意点 (写真= pogonici/Shutterstock.com)

浅井さんによると、金融庁による注意喚起を受けて、銀行によっては貸し出しを引き締めたり、金利を上げるところも出てきているのだそう。

2017年4~6月期の業種別貸出動向では、不動産業向けの新規融資額は、前年同期比5.3%減の2兆9781億円となり、1年半ぶりに減少へと転じたと報道されました。

これまで個人向けアパートローンの急増が不動産向け貸し出しを牽引してきました。ここに金融庁は警戒感を強めており、金融庁の意向を忖度した金融機関によって、自主的な融資基準見直しの流れが2018年も続く可能性が高そうです。

・新築マンションは「やや上昇」を予想

不動産, マンション投資, 2018, 予測, 注意点 (写真= VOJTa Herout/Shutterstock.com)

新築マンション市場に注目する長嶋さんは「2018年の新築マンション市場の販売戸数は昨年並、平均価格はやや上昇するでしょう」と予想します。

新築マンションは2012年の民主党から自民党への政権交代以降、「アベノミクス」「黒田バズーカ」によって価格上昇を続けてきました。

不動産経済研究所が発表した「首都圏マンション・建売市場動向2017年11月度」では、1 戸あたりの平均価格は 5551万円、1平方メートルあたりの平均単価は 83.5 万円となっています。前年同月に比べると、1戸あたりの平均価格は390 万円(7.6%)のアップ、1平方メートルあたりの単価は 8.6 万円(11.5%)のアップと、市場の堅調さが伺えます。

同研究所が2017年12月20日に発表した「首都圏・近畿圏マンション市場予測」によると、2017年のマンション供給戸数は前年比1.8%増となる3.64万戸と、価格上昇傾向があるなかでの4年ぶりの増加となっています。

2018年は前年比4.4%増となる3.8万戸と予想しており、郊外の千葉県で32.4%増の4500戸、埼玉県で15.4%増の4500戸の供給が市場を牽引すると見ています。都区部のマンション高騰により、一般サラリーマンにはなかなか手が出せない高止まりが続く結果、郊外のマンションへ目を向ける人が2018年は増えそうです。

・「不動産バブル崩壊」はあるの?

これだけ地価が高騰すると「バブル崩壊もあるのでは?」と気になるところです。ところが長嶋さんは「世間で言うようなバブル崩壊は起きていませんし、2018年も起こらないでしょう」ときっぱり。

「さすがに、都区部のマンションで平均価格が6000万円を超えてくると、売れ行きに鈍化が見られました。そのため昨年は一部のマンションで値引き販売も行われています」(長嶋さん)

リーマンショックで中小デベロッパーの淘汰が進んだ結果、大手デベロッパーの市場専有比率が40〜50%程度にまで高まっていることが理由の一つです。リーマンショック前は市場の8割を中小デベロッパーが占めていましたが、現在は資金力に優れる大手デベロッパーがマンション供給の主役。そのため多少の在庫が発生しても経営が行き詰まる心配もないため、市況を見ながら値引き販売や供給調整を行いつつ、市場をコントロールしているとのことです。

今年は買い時?住宅ローン金利動向について

専門家のお2人は金利について「しばらく続いていた低金利の流れは、今後いつまで続くかわからない。ローンの活用を検討している人は決断の年になるかも」と口をそろえます。

・ローン金利はアメリカに注目

不動産, マンション投資, 2018, 予測, 注意点 (写真= Kamol Jindamanee/Shutterstock.com)

2016年2月に日本で初となる「マイナス金利政策」を日銀が打ち出した結果、長期金利を中心とした金利が下落しました。一時期、10年物国債金利はマイナスに転じ、以降もゼロパーセント近傍に抑えられています。

日本の低金利が終わる可能性を、長嶋さんは、「アメリカは段階的に金利を上げ、欧州も金融引き締めに動く可能性があります。たとえばアメリカが金利を一定程度上げれば日銀もバランスを取って方針転換することは考えられます」と指摘します。

・駆け込み需要の可能性

不動産, マンション投資, 2018, 予測, 注意点 (写真=Pressmaster/Shutterstock.com)

金利上昇もさることながら、2018年は駆け込み需要が発生する可能性もあると長嶋さん。

「2019年10月には消費増税が控えています。そうなると、安倍政権としては遅くとも年内に増税の可否判断をするものと思われます。過去の消費税増税がそうであったように、引き渡しまで期間の長い新築マンションへ一定の駆け込み需要が発生するかもしれません」

浅井さんは 「住宅ローンの利用は長期の固定金利で、余裕をもって無理のない額の借入をお勧めします」と、計画的な利用をアドバイスします。

2018年に買うなら中古という選択肢

専門家のお二人は今年が住宅ローンを組むチャンスと言いますが、都内の新築マンションは高騰していて庶民には手が届かない存在です。

長嶋さんによると、新築マンションと中古マンションとの価格差は、東京都で2000万円以上、神奈川県で3000万円以上の開きがあるそうです。

・中古マンションをリノベするという選択肢

不動産, マンション投資, 2018, 予測, 注意点 (写真= Wondervisuals/Shutterstock.com)

「新築の高騰が続いた結果、『中古マンションを買ってリフォーム・リノベーションしよう』という機運が高まり、17年を通じて中古マンション取引が活発でした。18年もこの状況は続き、中古物件の取引数、価格とも上昇傾向となるでしょう」と、長嶋さんは予想します。

レトロな味わいやヴィンテージ感のあるマンションを、自分好みにリノベーションして暮らす生活スタイルが近年人気で、読者のなかにもに憧れを感じる方がいるのでは。

・リノベの落とし穴

そんなリノベーションにも落とし穴があると、長嶋さん。物件にまつわるトラブルが増加しているのです。

不動産, マンション投資, 2018, 予測, 注意点 (写真=PR Image Factory/Shutterstock.com)

「中古市場が注目された結果、リフォームやリノベーションの経験に乏しい不動産業者が続々参入していて、工事品質のバラツキがトラブルの原因となっています」(長嶋さん)

トラブルを防止するために、リノベーションを依頼する際業者の実績をよく確認すること、ホームインスペクター(住宅診断士)と呼ばれる、建物の専門家に工事途中や完成現場をチェックしてもらうことが有効だと長嶋さんはアドバイスします。

2018年不動産投資を始めたい人が気をつけたいポイント

・不動産で収益を得るのは簡単ではない

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不動産投資家の動向について長嶋さんはこう話します。

「不動産投資市場はここ数年、新規参入が相次ぎました。その結果、不動産価格は相当上昇しています」。物件価格の上昇はすなわち利回りの低下を意味します。そうした環境では安定的に収益を得るという目的での物件購入は簡単ではないと長嶋さんは指摘します。

・本を読み、セミナーや塾に通うことが大切

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そのような状況で、不動産投資をはじめたい人が気をつけるべき点とは。

「まずはしっかりと勉強をしてください。不動産投資に関する本をできるだけたくさん読むこと。不動産投資セミナーや塾に通ってみることです」と答えてくれたのは浅井さん。

『楽待(らくまち)』や『健美家(けんびや)』といったポータルサイトで物件を探し、気に入った物件があったら現地に行くことが大事だと浅井さんはアドバイスします。

「無料の不動産投資セミナーに参加して、その場で物件購入を決断してしまう方がいます。雰囲気に飲まれた即決は失敗しやすいものです。慎重に検討することをおすすめします」(浅井さん)

・経費を差し引いた「実質利回り」を計算しよう

不動産, マンション投資, 2018, 予測, 注意点 (写真=Stock-Asso/Shutterstock.com)

長嶋さんは、「 表面的な利回りだけではなく、賃料から管理料、固定資産税などの経費を引いた実質的な利回りや手取り額をしっかり計算の上、投資判断を行ってしてください」とシミュレーションの大切さをあげました。

おふたりとも、しっかりした情報収集やシミュレーションの上で、投資判断をすることが大切だという考えです。魅力的な利回りに見えた物件を買ったら、思いのほか管理費がかかったり修繕費用が嵩むというのは、不動産投資の世界ではよくある話です。

見かけの利回りに惑わされない、しっかりとした選別眼を養うことが重要と言えそうです。

2018年も不動産市況は高値安定?

不動産, マンション投資, 2018, 予測, 注意点 (写真= Tanoy1412/Shutterstock.com)

不動産の専門家のお二人の話を総括すると、2018年も不動産市況は高値で安定となるようです。一方で、金利動向には変化の兆しがあることから、住宅や収益物件の購入を考えている方は決断を求められる年となりそうです。

資産形成において、不動産は外せない要素となります。お二人のアドバイスを参考に後悔のない物件選びをしたいものですね。

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