(写真= fizkes/Shutterstock.com)

【連載】「マネー相談は人生相談。女性FPたちのホンネ日誌」

#32 子供を授かる喜びは、同じ分だけ苦しみを伴うこともある

佐々木愛子のつぶやき【後編】

あまり表に出ることのないファイナンシャル・プランナー(FP)という職業の女性たちに、普段どんな相談を受けているのかリレー日誌形式でつづってもらう連載の後編。不妊治療に励む小百合さん(仮名、42歳)からの相談は、子供が生まれたときの家計シミュレーション。FP佐々木さんは、不確定なイベントをもとにしたライフプランには意味がなく、もっと大切にすべきことがあると言います。

※この連載は、奇数話がお悩み紹介の【前編】、偶数話が解決編の【後編】になっています。

【前編】#31 不妊治療中、「子供」を想定したライフプランに意味はある?

子供を授かった場合の家計シミュレーション

ファイナンシャル・プランナー, 女性 (写真= Syda Productions/Shutterstock.com)

不妊治療を始めて数年という女性からの相談は、子供を授かった場合の家計シミュレーションをして欲しいというものでした。

私は小百合さんに、このように伝えました。

「このシミュレーションは、あくまでも目安。今このタイミングで知っていただきたいのは、子供一人に生涯2000万円ぐらいかかるかもしれないということ。かかるとしても、お金が理由で子供を育てられないなんて、思わないでほしい」

ほとんどの顧客は「そうですよね、あくまで前提ですよね」と淡々と話されるのですが、彼女は別でした。

「佐々木さんだから、そう言えるのですよ、きっと……」

悲観的というより、少し嫉妬がかった言葉で、「佐々木さんだから、そう言えるのですよ、きっと……」と。

子供のことで、不安や苛立ちがあるのは、子供を授かる前も授かったあとも、女性であれば同じ気持ちでしょう。欲しい、欲しいと思って手に入らない人から見れば、目の前にいる私が、相談した相手であるにもかかわらず、妬ましい気持ちになるのは理解できます。

筆者の苦労話を正直に話した

ファイナンシャル・プランナー, 女性 (写真= Pressmaster/Shutterstock.com)

「私はうんと若いときに出産しましたが……苦労がなかったように思いますか?」

私は顧客に対しても、情けないほどの苦労話を正直にお話します。それは過去の話だけではなく、現在においても同じです。

苦労は経済的なことだけではありません。子供を授かることに喜びがあるのであれば、同じ分だけ苦しみを伴うことも、あるのです。

必ず、なんとかなる

シミュレーションの細かな数字を打ち込んだ資料はお渡ししたものの、正直、「大体2000万円」とか、「2年後に子供が生まれたら、ママとパパが何歳のときに子供が二十歳になる」など、わざわざ私にお金を払わなくても分かることです。

だからこそ、私に相談していただいている「意味」を、数字以外の場面で感じてもらう必要があります。

そして必ず、「なんとかなる」と伝えます。

相談者は必要以上の不安に駆られている

ファイナンシャル・プランナー, 女性 (写真=Milan Ilic Photographer/Shutterstock.com)

ドライな数字の話の後に、「なんとかなる」なんて、いい加減なアドバイスだと思われる方もいるかもしれません。しかし、彼女を含め、ほとんどの相談者はその後、こんなことを言ってくれます。

「佐々木さん、自信が出てきました。お金がなくたって、なんとかなるって言ってくれて、前向きになれました」

多くの相談者は、必要以上の不安に駆られ、他人の芝生が青く見えて仕方がないのです。彼女も、「お金がない」のではなく、「足りない」と思っているに過ぎないのです。

本当の相談は「数字以外」

他人と比べる必要など、どこにもありません。

本当に経済力が足りないのであれば、経済力を高める努力をする以外にありません。しかし、大切な身体や、出産適齢期を犠牲にしてまで得る必要が今あるのかどうか。

FPが本当に相談されていることは「数字以外」にあると、私は思うのです。

(佐々木愛子のつぶやき、おわり)

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