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「配偶者特別控除」徹底解説!2018年働き方にも影響が?

控除額が変わる?配偶者控除との違いは

確定申告のシーズンが近付いてきています。そこで一段と気になってくるのが税金のこと。パートやアルバイト勤務の配偶者がいる場合、どのくらいの収入なら税金面でのメリットが大きくなるのでしょうか。

今回は、2018年分から大きく変わり、節税対策にも影響する「配偶者特別控除」について解説します。

配偶者特別控除とは? 何のために存在するの?

「配偶者特別控除」とは、年末調整や確定申告で所得税の計算をする際、配偶者に規定を超える所得があるために「配偶者控除」を受けられない場合にも、特別に一定額の所得控除を受けさせてあげましょうという制度です。

年末調整や確定申告で所得税の計算をするとき、例えば妻(配偶者)が無収入、または、パートやアルバイト勤務などで年間の合計所得金額が38万円以下(収入が給与のみの場合は103万円以下)なら、夫(納税者本人)は「配偶者控除」を受けられます(働く妻と主夫の世帯であれば逆)。

節税, 配偶者, 控除, 所得税, 確定申告, 税金 (画像=SFIO CRACHO/ShutterStock)

所得から一定額を差し引くことで課税額を抑える、つまり税金が安くなるという制度ですね。年収103万円を目安に調整している人は多いでしょう。

そこでよく勘違いされているのが、いわゆる「103万円の壁」を超えてしまったら控除がなくなってしまうのかということ。実は、それほど心配することはありません。

配偶者控除が適用される収入の上限を超えたら、制度が「配偶者特別控除」に変わります。これは、配偶者の所得金額に応じて少しずつ控除が減っていくというもので、突然控除がゼロになることはないのです。なお、配偶者特別控除は夫婦の間で互いに受けることはできません。

配偶者控除との違いは?

「配偶者控除」と「配偶者特別控除」。似たような名前でややこしいですね。

どちらも、納税者に控除対象配偶者がいれば一定の金額を所得から差し引き(所得控除)、税金を安くできる制度です。大きな違いは、納税者本人が所得から差し引くことができる金額(控除額)と配偶者の収入額などの要件。2つの制度の違いを詳しく見ていきましょう。

◆それぞれの控除額は?

節税, 配偶者, 控除, 所得税, 確定申告, 税金 (画像=A3pfamily/ShutterStock)

【配偶者控除】
・38万円
・配偶者の年齢がその年12月31日時点で70歳以上の場合は48万円

【配偶者特別控除】
・3~38万円
・配偶者の所得に応じて変化(詳しくは後述)

◆「配偶者控除」「配偶者特別控除」の対象となる配偶者の要件は?

配偶者の要件は、いずれもその年の12月31日時点で当てはまっている必要があります。

【配偶者控除】
1.民法の規定による配偶者である(内縁関係は該当しない)
2.納税者と生計を一にしている(一緒の生活費で生活を維持しているという意味で、別居も含む)
3.青色申告者の事業専従者として、その年を通じて一度も給与の支払いを受けていない。または、白色申告者の事業専従者でない(自営業世帯などで配偶者も事業に多くかかわっている場合)
4.年間の合計所得金額が38万円以下(給与のみであれば給与収入が103万円以下

要件4の「合計所得金額」とは収入そのものではなく、その収入を得るためにかかった経費を差し引いた金額のことです。給与収入の場合、経費にあたる給与所得控除が最低65万円なので、「給与収入103万円-給与所得控除65万円=合計所得金額38万円」となり、これ以下であれば配偶者控除を受けられるのです。

これが「103万円の壁」と言われるものですね。

節税, 配偶者, 控除, 所得税, 確定申告, 税金 (画像=tkyszk/ShutterStock)

2018年分からは、この4つに加えて控除を受ける納税者本人の所得条件も加わります。そして、納税者本人の合計所得金額が1000万円を超えると、配偶者控除は受けられなくなります。

【配偶者特別控除】
要件1~3上に挙げた「配偶者控除」と同じですが、「配偶者特別控除」では要件4の合計所得金額の上限が変わり、さらに2つの要件が加わります。

4.年間の合計所得金額が38万円を超え76万円未満(給与のみであれば給与収入が103万円を超え141万円未満)
5.他の人の扶養親族となっていない
6.控除を受ける人(納税者本人)のその年の年間合計所得金額が1000万円以下

配偶者控除と配偶者特別控除の大きな違いが、配偶者の所得金額であることが分かりますね。配偶者の給与収入が103万円(合計所得金額38万円)を超えた場合は、配偶者特別控除の対象にならないか確認しましょう。なお、2018年分からは要件4の年間合計所得額の上限76万円未満が、123万円以下(給与のみは150万円以下)に変わります。

配偶者特別控除の節税額はいくら?

では、実際に配偶者控除または配偶者特別控除を受けることで、どれほどの節税効果があるのでしょうか。

所得税の税率は、分離課税に対するものなどを除くと5%~45%の7段階に区分されています。

節税, 配偶者, 控除, 所得税, 確定申告, 税金 (画像=dramalens/ShutterStock)

◆課税される所得金額と税率

  • 195万円以下      ……税率5%
  • 195万円を超え 330万円以下…税率10%
  • 330万円を超え 695万円以下…税率20%
  • 695万円を超え 900万円以下…税率23%
  • 900万円を超え 1800万円以下…税率40%

この後、1800万円超、4000万円超の2段階が続きますが、このように「課税される所得金額(収入-経費または給与所得控除)」によって税率が上がっていきます。実際には経費などのほか、生命保険料控除や医療費控除といった控除もあるのですが、複雑になるためここでは割愛しました。

◆配偶者特別控除は住民税にもある

配偶者控除、配偶者特別控除は、所得税だけでなく住民税にもあります。金額は所得税よりは若干少なく、最高で33万円。配偶者特別控除は最高額を33万円として、配偶者の所得額に応じて控除額が低くなっていきます。

では、住民税率を10%としたとき、税金(所得税+住民税)はいくら安くなるでしょうか? 配偶者の給与収入が104万円の場合、所得税で38万円、住民税で33万円と最高額の配偶者特別控除が使えます。このケースでシミュレーションしてみましょう。

節税, 配偶者, 控除, 所得税, 確定申告, 税金 (画像=pinkomelet/ShutterStock)

節税額は
[所得税の配偶者特別控除額×所得税率]+[住民税の配偶者特別控除額×住民税税率]
で算出します。

A)所得税率5%の場合
=(38万円×5%)+(33万円×10%)
=1万9000円+3万3000円=節税額5万2000円

B)所得税率10%
=(38万円×10%)+(33万円×10%)
=3万8000円+3万3000円=節税額7万1000円

C)所得税率20%
=(38万円×20%)+(33万円×10%)
=7万6000円+3万3000円=節税額10万9000円

ご覧のとおり、所得税率が高くなるほどお得感は増していきますね。ただし、納税者本人の合計所得金額が1000万円(給与のみの場合は給与収入1220万円)を超えると配偶者特別控除は受けられなくなります。

もっとも節税効果が高いのは、合計所得金額が1000万円に満たないくらいの年収で、配偶者の給与収入が104万円程度の人となりそうです(2017年12月現在)。

なお、2017年分までの配偶者特別控除の額は配偶者の合計所得金額に応じて次の表のようになっています。

配偶者の合計所得金額と控除額
38万円を超え40万円未満…38万円
40万円以上45万円未満……36万円
45万円以上50万円未満……31万円
50万円以上55万円未満……26万円
55万円以上60万円未満……21万円
60万円以上65万円未満……16万円
65万円以上70万円未満……11万円
70万円以上75万円未満……6万円
75万円以上76万円未満……3万円
76万円以上      ……0円
(国税庁ホームページ「No.1195 配偶者特別控除」より)

2018年分からは配偶者の所得に加え、控除を受ける納税者本人の合計所得額に応じたものとなりますのでご注意ください。

年末調整でどうやって配偶者特別控除を申請する?

節税, 配偶者, 控除, 所得税, 確定申告, 税金 (画像=ESB Professional/ShutterStock)

会社員が配偶者特別控除を受けるための手続きは、その年の年末調整で「給与所得者の保険料控除申告書 兼 給与所得者の配偶者特別控除申告書」に必要事項を記入して、勤務先に提出するだけです。

提出時期は、その年最後の給与を受ける日の前日までとなっています。具体的な期限は、勤務先の担当者から通知があると思いますが、確認しておくとよいでしょう。記入ミスがあると、申請書が担当者との間を行ったり来たりすることになり、提出が遅れてしまいます。早めの提出を心掛けてください。

また、配偶者が外国に住んでいる(非居住者)場合は、配偶者特別控除の申請時に「その配偶者との親族関係が確認できる書類(親族関係書類)」と「生活費の送金が確認できる書類(送金関係書類)」も合わせて提出する必要があります。

具体的には次のような書類が必要です。
・ 親族関係書類=戸籍の附票の写し、配偶者が住んでいる国や地方公共団体が発行した書類、配偶者のパスポートの写しなど
・送金関係書類=送金依頼書、クレジットカード利用明細書など

2018年分から配偶者特別控除はどう変わる?

節税, 配偶者, 控除, 所得税, 確定申告, 税金 (画像=jannoon028/ShutterStock)

2018年分からの大きな改正点は、配偶者特別控除の最高額38万円を受けられる要件が、合計所得金額85万円(給与収入150万円)以下へと引き上げられること。つまり、「103万円の壁」が「150万円の壁」になるということです。

この結果、短時間勤務で調整していたパートやアルバイト主婦の方が収入を増やすとともに、活躍の場が広がる可能性があります。これだけ見ると、うれしい改正といえそうですね。

一方、高所得の納税者にとっては増税となってしまいます。これまでの制度では、配偶者の年収が103万円以下なら、高所得者でも配偶者控除の38万円を使うことができました。しかし、改正後は納税者の所得によっても控除額が減少することになります。

2018年分以後の配偶者特別控除は、これまでの配偶者の合計所得金額に加えて、控除を受ける納税者本人の合計所得金額によっても金額が変わってきます。具体的には次のようになると公表されています。

配偶者の合計所得金額と控除額
※控除額は、納税者本人の合計所得額(=900万円以下/900万超950万以下/950万超1000万円以下)に区分されます。

38万円超85万円以下……38万円/26万円/13万円
85万円超90万円以下 …36万円/24万円/12万円
90万円超95万円以下 …31万円/21万円/11万円
95万円超100万円以下 …26万円/18万円/9万円
100万円超105万円以下…21万円/14万円/7万円
105万円超110万円以下 …16万円/11万円/6万円
110万円超115万円以下 …11万円/8万円/4万円
115万円超120万円以下 …6万円/4万円/2万円
120万円超123万円以下 …3万円/2万円/1万円
(国税庁ホームページ「No.1195 配偶者特別控除」より)

これからは「150万円の壁」

節税, 配偶者, 控除, 所得税, 確定申告, 税金 (画像=SFIO CRACHO/ShutterStock)

配偶者特別控除は2018年分から大きく変わります。うれしいのは、配偶者控除と同じ38万円の控除対象が、これまでの配偶者所得40万円未満に比べて、85万円(給与収入のみなら150万円)以下までへと広がったこと。そして、納税者本人の所得額によって金額は変わるものの、配偶者の所得123万円(給与収入のみなら201万円)までは段階的に控除が受けられるということです。

2018年分から「103万円の壁」が「150万円の壁」になるのは大きいでしょう。

ただし、ここで注意しなければならないのは、今回の改正で減税となるのは納税者本人の所得税であって、配偶者自身の所得税・住民税、そして社会保険(健康保険・年金)に関しては従来通りのルールが適用されるということです。

つまり、配偶者の年間合計所得額によっては、配偶者自身にも住民税・所得税が発生し、社会保険の扶養から外れるという状況も生まれてしまいます。

このような問題もありますから、150万の壁になるとはいえ、目先の手取りだけでなく、健康保険や年金、配偶者自身にかかる税金なども合わせて判断する必要があるでしょう。長い目で見た働き方を夫婦で話し合っていきたいですね。

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