(写真=筆者撮影)

投資で失敗する2つ目のタイプ「ルールを守れない人」

Good Moneyger 清水社長インタビュー・中編

金融の基礎知識を学べるカードゲーム「Asset Allocation(アセットアロケーション)」を開発した、Good Moneygerの設立者で社長の清水俊博さんにインタビューをしています。

ゲームの遊び方を教わった前編に続いて、中編となる今回は、「投資に失敗する人の2つの特徴」を聞いてみました。

投資で失敗する人 2つのタイプ

ーー「Asset Allocation」を開発した背景には、新卒時にリーマン・ブラザーズにてリーマンショックを経験したことがあると聞きました。投資に失敗する人の特徴って何ですか?

2つのタイプがあると思います。「ルールを知らずに適当にやる人」と「ルールを知っていても、守れない人」です。

まず、前者については「投資はちょっとやめた方がいい」と言いたい。クルマで言うと、アクセルとブレーキ、赤信号と青信号の違いを知らずに運転をしていると、事故を起こすのも仕方がないですよね。それに近いということです。基本的なルールを学んでからはじめましょう、と。どうしてもやりたいなら、全額失ってしまったとしても諦めのつく、限られた資金にとどめておくことをお勧めします。

ーー後者の「ルールを守れない人」ってどういうことですか?

感情的になってルールを破ってしまうんです。例えば、基本的なルールは知っているんだけど、「本当は投資するつもりなんてなかったけれど、誰かが良い会社だと言っていたからこの銘柄はなんとなく上がりそうだ」というように、ルールを破ってしまったりするケースは多いんです。

また、失敗すると「取り返そう」「こんなはずはない」と熱くなってしまって、どんどんハマっていく人も危険ですね。

例えば、過去、私の知人で、イギリスの通貨であるポンドに投資をしている人がいました。ポンドってボラティリティ(価格の変動幅のこと)が高いので、すごく値動きが激しく、投資上級者向けの通貨かなと私は思っています。で、実際その知人も「ポンドは難しい」と言っている。ところが、動きが激しいから、大きく利益が出ることもある。それがどうしても魅力的に見えるみたいで、「ポンドは投資しない」と言っていたはずなのに、「今回はいけるかも!」と思ってよくルールを破っていましたね。

ルールを知っていても、失敗する人の心理

Good Moneyger, 清水俊博, Asset Allocation (写真=筆者撮影)

ーーなぜ、「今回はいける!」って思っちゃうんでしょうか?

「そういうもの」なんだと思います。

ーー「そういうもの」?

人は自分が見たいものを見る生き物なので、どうしても希望的な観測を持ってしまう。「こうなったらいいなあ」っていう希望を、「そうなる確率が高そうだ」って脳が変換してしまうんですよ。感情を排して冷静に見ることがいかに難しいか、ということですね。

相場には波があります。一度「今がチャンスだ」って思うと、「今を逃したらもうチャンスは来ないかもしれない」とも思えてきて、追い立てられて、冷静に判断できなくなることもあります。

ーー欲が出てしまう、ということでしょうか?

欲だと思います。欲があるから希望的に見ちゃう。「こうなって欲しい」はただの自分の願望なんだけれども、「きっとそうなるはずだ」と思い込んでしまうことはよくあります。

ーーそうすると、もし金融の基本的なルールをたとえ学んだとしても、いざ相場に出るとそのルールを守れない可能性があるということでしょうか?

はい、そうです。実は、このゲームをやった後、「わかりました、勉強になりました。ちなみに私こういう投資をしているんですけど、これってやめた方がいいんですか?」と質問されることも多いんです。

金融のルールを知っているだけではダメ

ーー基本的なルールを知るだけでは不十分だとすると、私たちはどうしたらいいんでしょうか?

なので、VESTA(ベスタ)という資産運用ツールを作ったんです。僕たちのアドバイス通りに投資をしたらいい、というサービスです。

ーーVESTAはどんなサービスですか?

証券口座を連携すると、相場環境に合わせてもっとこうしたらよいのでは?とアドバイスを受けられるサービスになっています。

ーーVESTAはロボアドになるんでしょうか?

一応、そうですね。ロボアドにも3種類あって、「お金をぽん、とまるまる預けてお任せで運用してくれる」パターン、「質問に答えると資産配分を提案してくれる」パターン。僕らはそのいいとこ取りをして、アドバイスがもらえて、しかもそのアドバイスの通りにお任せで運用できるようになっています。リーマンショックみたいなものが近づいてきたら、「相場が怪しいから気をつけた方がいいよ」というアラートを出します。

ーー例えばどんな感じですか?

例えば2016年から今年にかけて、私はREIT(リート、不動産投資信託)を持っている人には「そろそろ売っでも良いですね」と言っています。というのも、アメリカは今、金融引締の方向に動いています。そうすると、金利が上がります。借金して不動産に投資するケースが大半ですので、金利が上がるとそれだけ借金返済の負担が増え、収益が減ることが予想されます。単純ですよね。実際に、REITの相場はあまり調子が良くありません。

ちなみに、グローバルREIT(海外の不動産全体に投資する投資信託)といっても、アメリカの不動産が多くのウエイトを占めていることが多いので、アメリカが金融引締をすると影響が大きいんです。

ーーどうしよう、REIT持っています。

僕はそういう方には「売りを検討してみては」と言っています。ちなみに、もしVESTAを使って、「アドバイスの通りにトレードをする」というボタンを押してもらえれば、VESTAから証券会社に「売り」の発注をして、実際に売買が行われるというシステムになっています。

ロボアドで初心者向けにアドバイス

Good Moneyger, 清水俊博, Asset Allocation (写真=筆者撮影)

ーー他のロボアドとの違いは何でしょうか?

他のロボアドの場合、年齢やリスク許容度によって資産配分が決められると思うのですが、「どんな相場であってもそのポートフォリオ(資産配分)なのか?」という疑問がありますよね。そうすると、もし買ったとしても、なぜそれがいいのかわからない。VESTAはそういうのではなく、「今、こういう状況だからこれを買った方がいい、これを売った方がいい」っていうところを、毎月発信しているんですよ。

これは僕個人の意見ではありますが、資産配分を組むときは、景況感の判断やその理由が入っていないと納得感がないし、僕だったらその判断がなく手数料がとられるのは嫌だな、と思います。

ーー友人にロボアドってどう思う?と聞いたら、「何に投資しているのかわからないからやらない」と言っている人がいました。

当然だと思います。なので、VESTAは毎月、景況感のアドバイスを出し、ユーザーはそれを見た上で納得したらトレードできるようなシステムにしました。もちろん、納得しなかったらトレードをしなくても大丈夫です。

マーケットを予測するには自信が必要

Good Moneyger, 清水俊博, Asset Allocation (写真=筆者撮影)

ーー景況感を判断した上でトレードをせよ。言われてみれば当然のことですが、これまでにそういうサービスってあまりなかったのではないでしょうか?それはなぜですか?

みんな自信がない、というのもあると思います。マーケットは予測ができません。なので、景況感を判断すると揚げ足を取られる可能性がある。でも、みんなが知りたいのはそこですよね。なので、そこはやっぱり勇気を持って言うべきだと僕は思っています。

怖いな、と思ったら無理に投資をする必要はない。ただ、その判断材料は提供すべきだと思っているんです。

私は「絶対に投資をしたらいい」とは決して思ってはいなくて、やりたくなかったらやめてもいい。一番安心な「投資」って労働ですからね。「元本割れ」がありませんから。

ーー確かに。働いていれば月に何万円かは必ず入ってきます。

そういう意味で言うと、金融商品への投資で月に20万〜30万円稼ごうと思うと、結構難しいですし、そうなるために投資の勉強をみなさんがするのは大変です。かと言って、誰かに完全に「お任せ」するのも心配です。なので、僕らは皆さんの代わりに勉強をして、景況感を判断するアルゴリズムを開発したんですよね。

ーーどういうアルゴリズムになっているんですか?

野村アセットマネジメント、バンカーズトラスト(現ドイチェアセットマネジメント)などの金融機関で25年以上、ファンドマネージャーをしていた共同創業者の岡崎良介という人間がいるのですが、彼と一緒に「こういうやり方ならマクロ経済の大きな流れを見極められるのでは?」というやり方を見つけて、それをアルゴリズム化して、ブラッシュアップしました。

ーーファンドマネージャーの「コンピューター版」という感じですね。

よく外資系の投資銀行だと、トレードで一時的にすごく儲けるファンドマネージャーっていたりするのですが、再現性のある人はあまりいません。

以前は勝てたルールがもう通用しなくなる。どんなに有名なファンドマネージャーでもいつかは勝てなくなる、ということがマーケットの世界ではよくあります。

「再現性」をもたせるためには、大きな景気の流れ、相場の流れというのを見ることが大切になってきます。

ーープロのファンドマネージャーでもいつか通用しなくなるのであれば、アルゴリズムもどんどん変える必要があるのではないですか?

そうです。なので、常に見直していますね。毎月、景況感を出しているのですが、その時に「アルゴリズムがこう判定しているけれど、本当にこれで大丈夫か?」というのをチェックしています。

ぶっちゃけ、おすすめの金融商品は?

Good Moneyger, 清水俊博, Asset Allocation (写真=筆者撮影)

ーーぶっちゃけ、「今」(取材時点、2017年11月)おすすめの資産運用って何ですか?

今は難しいですね。月並みですけど債券でしょうか。先進国債券や、「AAA格」など格付けの手堅い債券に投資するようなファンドとか、そういうところに分散投資していくのが無難かなと思っています。

ーーそれはなぜですか?

今、相場がいい(日本株や米国株が好調)じゃないですか。だから株式にももちろん投資せざるを得ないんですけど、この「相場がいい」っていうのが結構気持ち悪くて。

事実、カルパース(カリフォルニア州職員退職年金基金)という、カリフォルニアの公務員の退職金を運用する米国最大の年金基金があるのですが、ここは債券への投資を今の2倍以上に増やすことを検討しているという報道もありました。株式の強気相場が9年も続いているので、ここらでちょっとリスクを控えようとする動きは増えているように思います。

ただ、相場は上がっていっているんで、多少は株を買ってもいいとは思いますが、「100%株式!とかはちょっとお勧めできないです」と言っています。

ーーそれで債券が一番無難だと。

なんじゃないかなと。もちろんリスクを取りたい人は止めませんが、どちらかと言うと安定運用したい、という人には「もし株に投資をしていたら、そろそろ利益を確定して株式の割合を少し減らしていく」っていう選択肢もあると思います。

ーーなるほど、大変タメになります。最後に、資産運用をこれからしたいという女性に向けて、何かアドバイスをお願いします!

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