(写真=XiXinXing/Shutterstock.com)

あの「消滅可能性都市」が「共働き子育てしやすい街」グランプリに輝いた理由

東京以外では松戸市がトップ評価

「消滅可能性都市」という言葉が話題になったのを覚えていますか?

2010年からの30年間で、20~39歳の女性人口が半減して人口を維持できなくなる。そんな自治体を、民間有識者組織の「日本創成会議」が「消滅可能性都市」として2014年に指摘しました。

人口が一極集中している東京23区の中で、まさかの「消滅可能性都市」に指摘された「あの区」がなんと、2017年、「共働き子育てしやすい街」としてグランプリに輝きました。

この3年で「あの区」に一体何が起きたのか? 授賞式の模様とともにお伝えします。

消滅可能性都市, 共働き, 認可, 保育園, 子育て, 待機児童 (写真=筆者撮影)

子育てしながら働きやすい街をランキング

2017年12月1日、働くママとパパのための情報サイト「日経DUAL(デュアル)」と日本経済新聞が「子育てしながら働きやすい都市」を独自指標でランキングし、その結果を発表しました。

共働き子育てしやすい街ランキングで重視しているポイントはこの3つ。

  • 保育園に入れるか
  • 子育て・教育費
  • 学童保育の整備

都市部では、子どもが認可保育園に入れないケースも珍しくはありません。そうした場合の代替策の充実度、病児保育施設への預けやすさ、ファミリーサポートセンターの人員、就学後の学童保育に預けられる時間帯や年齢上限など、共働き夫婦目線の細やかな評価項目が特徴です。

共働き子育てしやすい街ランキング2017 総合編

1位~15位にランクインしたのはこちら。

14位:品川区/東京都
14位:福岡市/福岡県
11位:荒川区/東京都
11位:北区/東京都
11位:羽村市/東京都
8位:宇都宮市/栃木県
8位:杉並区/東京都
8位:調布市/東京都
7位:新宿区/東京都
6位:松戸市/千葉県
3位:渋谷区/東京都
3位:東大和市/東京都
3位:福生市(ふっさし)/東京都
2位:港区/東京都
1位:豊島区/東京都

1位となったのは「豊島区」でした。

16位に秋田県秋田市と兵庫県神戸市が、18位から25位まで首都圏の自治体が続きます。

1位は豊島区「おしくらまんじゅうの街」

授賞式に、満面の笑みで登壇した豊島区の高野之夫(たかの・ゆきお)区長は、3年前に「消滅可能性都市」と指摘されたときのことについて、

「日本一の高密都市であり、若者に人気のある池袋もある豊島区。それが、なぜか30年後に消滅してしまうと。大変なショックでした」

と振り返りました。

消滅可能性都市, 共働き, 認可, 保育園, 子育て, 待機児童 (写真=筆者撮影)

しかし、「消滅可能性都市」とされた理由が「30年後には20代、30代の女性が半分になってしまう」ことだという指摘を踏まえ、民間から公募して「女性にやさしいまちづくり担当課長」を任命するなど、子育てしやすく、長く住みたくなるような街を目指すための対策に乗り出したといいます。

「豊島区は日本一高密な街で、どこも『おしくらまんじゅう』の状態です。保育所も、いろいろな可能性を模索しています。区の庁舎の2階も保育園なんですよ」(高野区長)

1年間で50位からランクアップ

その対策あってか、2014年に過去最高の270人を記録した待機児童数も、2017年4月にはゼロに解消されました。

一方、保育園に空きができれば引っ越してくる人も増え、せっかく空いた枠もどんどん埋まってしまいます。豊島区はそれに対応するため、年間600人ずつの定員枠を2020年まで増やし続けるとしています。

2016年の同ランキングでは50位にも入っていなかった豊島区が、たった1年でグランプリに輝くことができたのは、ランキングの基準が「認可保育園への入りやすさ」だけでなく、「認可保育園の今後の新設計画の見通し」を重視したものであったことも影響しているでしょう。

豊島区には2017年12月現在で22の区立小学校がありますが、2016年からその全校で、下校後から19時までの学童保育を実施しました。これも、働く親にとって高ポイントとなったはず。

東京を除いたランキングでは松戸市がグランプリに

「共働き子育てしやすい街グランプリ2017全国編」では、トップ25うち16自治体が東京です。そんななか、東京を除いた順位で1位の座についたのが千葉県松戸市でした。

消滅可能性都市, 共働き, 認可, 保育園, 子育て, 待機児童 松戸市の本郷谷健次(ほんごうや・けんじ)市長(写真=筆者撮影)

「松戸市内にはJRや私鉄の駅が23ありますが、駅の改札を出たところ――駅ビルや少なくとも駅の近く――に、0~2歳のお子さんを預かる小規模保育所を設置しています。2017年6月には全ての駅に(設置が)完成しました」(本郷谷市長)

待機児童の実態は「0~2歳の子どもが対象の保育所がない」こと。松戸市から都内に通勤する人も多いことから、子どもの預け先は駅前・駅ナカがいいだろうという判断したというわけですね。

また、3~5歳の子どもに対しては、2歳まで保育園に通っていた子どもを幼稚園で預かってもらうという試みもおこなっています。これは、駅前の保育園に預けていた子が3歳になったら、その子の親が次の預け先を探すのではなく、次の預け先が自動的に決まるシステムです。

実際のところ、働きながらの子育てには「3歳の壁」問題が大きく立ちはだかっています。2歳までは預け先が見つかっても、3歳になるときに保育園探しで「共働き子育て」に挫折してしまう人も多いのです。

3歳になるときの預け先があらかじめ決まっているという松戸市のシステムは、働く親にとって大きな魅力でしょう。

本郷谷市長は、「まだ課題も多いのですが、こうした方向で進めています」と現状を語ってくれました。

結婚後に住む街を決めるときの判断材料にも

2015年から始まった「共働き子育てしやすい街グランプリ」。

「子育てのサポート制度が整っていないと、怖くて2人目、3人目の子どもが持てない。でも情報がない」

そんな読者の声を受け、「自治体の取り組みを指数化し、発表することに意味があるのではないか」という日経DUAL編集部の取り組みから生まれたのが同ランキングです。

羽生祥子(はぶ・さちこ)編集長によると、編集部のメンバーも子育て中のママやパパで、子どもが3歳になったときに保育園が見つからなくて悩んだ人もいたとのこと。

自治体の制度は独自のものも多く、口コミなどで聞くことはあっても、実際どうなのか自分で調べるには限界があります。

今回のランキングのように、同じ尺度で点数化されたものがあれば、より客観的な判断の目安になるのではないでしょうか。

また、結婚後の新居を決める際にも参考になりそうですね。

残業しなくても残業代がもらえる!?「共働き子育てしやすい企業」の秘策に続く)

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