(写真=baranq/Shutterstock.com)

「離婚率40%」フランス人カップルらしい共通口座の仕組みとは?

日本にはないシステムがありました

フランス人女性は結婚しても子どもを産んでも働き続けるのが当たり前。男性も子育てに家事にたいへん協力的で、家計についても、フィフティフィフティが原則です。

ただ、フィフティ・フィフティと言っても、管理方法は家庭によってまちまちです。今回は筆者の周囲の人々にインタビューした家計管理法を、フランス人ならではの結婚観や人生観などを織り交ぜて紹介します。

フランスでは、カップル共同名義の口座が作れる

共通口座, 家計, カップル, 共有財産, 離婚 (写真= Khongtham/Shutterstock.com)

フランス人カップルの家計管理方法の前に、日本とは少し異なるフランスの「共同口座」について紹介します。

日本で夫婦共有の銀行口座を作る時はどちらか片方の名義にしなければいけませんが、フランスでは夫婦二人の名義の口座を作ることができます。

共同名義の口座には2タイプがあり、1つ目は「ムッシュー(夫)&マダム(妻)」、2つ目は「ムッシューouマダム」。ouはフランス語で“または”の意味で、英語のorにあたります。

「ムッシュー&マダム」口座と、「ムッシューouマダム」口座の違いは、「&」口座の方がお互いの同意がなければ自由に使えない点にあります。

例えば、小切手を使う時。フランスでは日常的に小切手を使いますが、小切手を使用する時には名義人のサインが必要です。「ou」の口座だとどちらか片方のサインがあれば小切手を使えますが、「&」の口座では二人のサインが必要となります。

キャッシュカードも「ou」の口座は2枚発行されますが、「&」の口座は1枚しか発行されません。

ちなみに、フランスでは籍が入っていなくても、また同性同士でも共同名義の口座を作れます。男性の同性カップルなら、「ムッシュ―○○&(ou)ムッシュー××」という名義になるわけです。事実婚や同性カップルが珍しくないフランスならではと言えるでしょう。

「共同口座+個人口座」を持つのが多数派

では、実際にフランス人カップルがどのように家計管理をしているでしょうか。最も多いのは「共同口座+個人口座」タイプです。

フランスでは女性が出産後も正社員として働き続けるのがごく当たり前なので、各自が毎月、給与が振り込まれる個人口座から共同口座にお金を移し、家計費として使います。

筆者の知人のカップルは、二人で同じ額を月末に共同口座に入れ、そこから、家賃、光熱費の引き落とし、子どもの習いごとの月謝から、ヴァカンスの費用まで賄っているそう。

食料は週末に二人で買い物に行って、共同口座のカードで支払い。個人口座のお金は何に使おうとお互い干渉しません。彼女は「共同口座からの出費が予定より多くなった時も、きっちり同額を足すようにしているわ」と話していました。

一方で、夫婦の収入に差があるため、共同口座への入金額に傾斜をつけているというカップルも。ある知人は、子どもが生まれてからは夫の方が収入が高くなったので、夫の共同口座への入金額を妻の1.5倍にしているそうです。「ただ、夫は忙しいので、育児や家事の負担は私の方が大きいわね」と家事労働でバランスを取っているのだそうです。

「共同口座のみ」カップルの例

レアケースですが、個人口座は持たず二人の給与振り込みも共同口座に、というカップルもいます。

ある知人男性は「子どもたちも一緒に家族として暮らしているのに、自分のお金、妻のお金と分けるのはおかしい」とその理由を話します。ただ、妻へのプレゼントを買う時にカードを使うと、プレゼントの金額が妻に分かってしまいます。それを避けるために、時々、現金を引き下ろしているそうです。

結婚後もプレゼントを贈りあったり、子ども抜きで食事に出かけたりと、夫婦間の愛情表現を大切にするフランス人夫婦にとって、ガラス張りの家計は、ロマンチックではないというデメリットもあるのですね。

「個人口座のみ」カップルの例

一方、共同口座は作らない、というカップルも。

筆者のある友人女性は、家賃はパートナーが払い、光熱費と食費は自分(女性側)が負担。ヴァカンス費用は二人で折半し、外食はどちらかが払ったりして毎月支払う分がだいたい同じになるようにしているそうです。「一緒に暮らして2年、お金でもめたことはないわね」ときっぱり。

彼女の友人の中には、パートナーが共同口座で私物を買うようになったのが原因で別れたり、離婚の際に共同口座に残ったお金のことで争った人もいるのだとか。彼女曰く、「幸せな生活が続くとも限らないし、お互い自立した関係でいるためにも、共同口座は作らない方がいいと思うわ」。

相手の合意がなくても自分の名義を外せる

家計管理にどのような口座を利用するかは、各カップルの価値観やライフスタイルが強く反映されているように感じました。

ちなみにフランスの共同口座は、相手の合意がなくても、自分の名義をはずすことができます。離婚率40%を超える国ならではの、安心して共同口座を利用するためのシステムなのかもしれません。

▲最新記事はTOPページから

この記事をシェアする

個性的な連載で「投資」を身近に

一つのテーマを深掘り、おすすめ特集