
(最新)特集:投資信託ってなんだ?
第5回 投資信託にかかる税金はどれくらい?
あんず×みらいの投信講座〜第5回「投資信託も税金はかかるの?」
この特集では、投資の知識がゼロでも分かるように、「投資信託」についてイチからじっくり解説していきます。
☆登場人物紹介 あんずちゃん……DAILY ANDSのゆるキャラ。株とお酒が好物。 >あんずちゃんとは? みらい……あんずちゃんの友人。ファイナンシャル・プランナー(FP)の資格を持ち、投資信託に詳しい。
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あんず「投資信託も株と同じように、儲けたら税金がかかっちゃうって本当?」
みらい「そうだよ。分配金をもらう時とか、解約した時に買った時より値上がりした場合に税金がかかるよ」
あんず「計算がややこしそう……」
みらい「投資信託には、簡単に税金を納められる仕組みがあるから大丈夫!今日は投資信託の税金について詳しく説明するね」
※前回の記事はこちら→第4回 投資信託にかかるコストはどのくらい?
投資信託に税金がかかるタイミングとは?
(写真=Africa Studio/Shutterstock.com)
<みらいちゃんは「投資信託」の税金について次のように解説してくれました>
税金がかかるタイミングは、「分配金を受け取る時」と、「解約する時」の2種類があります。
「分配金を受け取る時」は、受け取る「分配金」の全額が課税の対象になります。
「解約する時」は、解約代金のうち「運用で増えた部分」が課税の対象になります。
税率はいずれも、「20.315%」となっています(所得税+住民税+復興特別所得税)。
あんず「20.315%って、どこかで聞いたことがあるような……あっ!定期預金の利息や、株の利益にかかる税金と同じだ!」
みらい「正解!」
あんず「確定申告はしなくてもいいの?」
みらい「基本的には確定申告をしなくてもオッケー。でも、どんな風に計算されるかは知っておいた方がいいかも。簡単に説明するね」
税金の計算方法
(写真=Africa Studio/Shutterstock.com)
例えば、あんずファンドを、基準価額が1万円の時に買ったとします。
※投資信託の値段のことを「基準価額」(きじゅんかがく)と言います
※話を簡素化するため、買ったのはその1回だけで、追加購入はしないことにします
「分配金」にかかる税金の計算方法
分配金には「税金がかかる分配金」と「税金がかからない分配金」があります。
簡単にいうと、運用で増えた分から支払われる分配金は「税金がかかる分配金」、運用がうまくいかずに、元本を取り崩して支払われる分配金は「税金がかからない分配金」となります。
「税金がかかる分配金」と「税金がかからない分配金」についてもう少し、詳しく見ていきましょう。
<分配金その1:税金がかかる分配金「普通分配金」>
あんずファンドの決算時期が来て、500円の分配金が支払われました。この時の基準価額は1万1000円だったとします。
買った時よりも基準価額が1000円増えているので、分配金500円は「運用収益の一部」となります。
よって、分配金500円には20.315%の税金がかかります。
・分配金にかかる税金の計算方法
500円✕20.315%=101.575円
<分配金その2:税金がかからない分配金「特別分配金」>
あんずファンドの決算時期がきて、500円の分配金が支払われました。この時の基準価額は1万円だったとします。
買った時と同じ基準価額(増えていない)なので、この時の分配金500円は「元本払戻金(特別分配金)」と呼ばれます。実質、「払い込んだお金の一部」です。
よって、分配金500円に対しては課税されません。
あんず「課税されないのは嬉しいけど、元本を戻されるのは嫌だなー」
みらい「でしょ。投資信託の分配金は、運用中にもらえる単なる『おまけ』じゃないのよ。分配金のくわしい話は、次回あらためて説明するわ」
「解約する時」にかかる税金の計算方法
運用がうまくいって、あんずファンドの基準価額が1万2000円になったとします。
買った時よりも2000円増えているので、売却(解約)することにしました。
この時、運用益である2000円に対して、税金がかかります。
・「解約する時」にかかる税金の計算方法
2000円✕20.315%=406.3円
逆に、運用がうまくいかなくて、基準価額が9000円の時にあんずファンドを解約すると、利益がないから当然、税金はかかりません。
特定口座で手間なし納税
あんず「分配金にしろ、解約した時にしろ、とにかく運用して利益が出たら税金がかかるって覚えておけばいいんだね!……ところで、簡単に税金を納められる仕組みって、どんなものなの?」
みらい「特定口座っていうの」
あんず「とくてい……こうざ?」
<みらいちゃんは「特定口座」について、次のように解説してくれました>
特定口座とは?
「特定口座」とは、銀行や証券会社が税金を納めるための書類を準備してくれる制度のこと。
しかも、特定口座には、納税までお願いできちゃう仕組みがあるんです。
その仕組みにする方法は、証券会社や銀行で口座を開設する時に「特定口座」の「源泉徴収あり」を選択するだけ。
分配金や解約したお金を受け取る時に利益が出ていれば、自動的に税金を計算し、税金を差し引いた後の金額を私たちに振り込んでくれるので、楽ちんな制度です。
また、特定口座に投資信託や株をいくつか持っていた場合は、利益と損した分を合わせて計算してくれる「損益通算(そんえきつうさん)」っていうことも勝手にやってもらえます。
もし、銀行や証券会社を複数使っている場合や、損益通算しても引ききれない損がある場合は、「特定口座の源泉徴収なし」や「一般口座」を選んで、自分で確定申告して納税をした方がおトクな場合もあるので注意してください。
運用で利益が出ても税金がかからない方法
(写真=Africa Studio/Shutterstock.com)
あんず「へぇー、特定口座って、便利なんだねー」
みらい「ところで、あんずちゃん。運用で利益が出ても税金がかからずに、まるまる受け取れる仕組みがある、って知ってる?」
あんず「えっ!?そんな美味しい話があるの?」
みらい「今、話題の確定拠出年金(iDeCo・企業型DC)やNISAを使えば、運用益が非課税になるわ」
☆確定拠出年金(かくていきょしゅつねんきん)とは? 公的年金や企業年金にプラスするかたちで自分で積み立てる「年金」のこと。拠出したお金を投資信託などで運用する。個人でも節税ができることや、2017年1月から加入対象者が拡大したことから、いま、老後資金づくりの方法として注目を集めている。(参考:これなら分かる!「確定拠出年金」がお得と言われる理由)
☆NISA(ニーサ)とは? 2014年1月にスタートした少額投資非課税制度のことで、運用で出た利益に税金がかからない。子ども用の「ジュニアNISA」、投資信託専用の「つみたてNISA」などもある。(参考:税金ナシ!NISA活用法と、お金のプロがコッソリ教える「お得」情報)
あんず「すごーい!じゃあ、投資信託をやる時は、『特定口座』よりも確定拠出年金やNISAの方がおトクってこと?」
みらい「税金のことを考えたらそうなるね。ただし、どちらも投資できる金額に上限があるから、上限いっぱいまで投資した後は『特定口座』を使った方が良いかも。あと、確定拠出年金は投資したお金が引き出せる年齢が60歳だったりする。それぞれの長所・短所を比較して活用したいね」
次回は投資信託の分配金について
みらい「税金の話、そんなに難しくなかったでしょ?」
あんず「うーん、難しくはなかったけど、まだ完全にわかったわけじゃないかも……。なんか、分配金のことが、気になってきちゃった」
みらい「そうね。分配金のことは大切だから、次回しっかり説明するね。ちなみに分配金って聞くと、あたかも『おまけ』や『お小遣い』のように思ってしまうけど、実はそうじゃないんだよ」
あんず「分配金って言葉にちょっとワクワクしてたんだけど、違うの?」
next>第6回 投資信託の「分配金」とは?受け取らない方がいいものなの?
執筆=冨田仁美/みらい女性倶楽部