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なんでソーシャルレンディングは預金よりも「高利回り」なの?

ソーシャルレンディングって何?・中編

資産運用したい個人と、資金を必要とする企業をインターネット上でつなぐ「ソーシャルレンディング」という金融サービスが今、注目を浴びています。

個人にとっての魅力はなんといっても、銀行預金などよりも高い利回りが期待できること。また、自分の余っているお金を、資金が足りないビジネスに有効活用できる、という「活きた」お金の使い方ができるのも、うれしいですね。

でも、高い利回りには何かウラがあるんじゃないの?と気になる人も多いのではないでしょうか。

ソーシャルレンディングの比較サイトを運営する「クラウドポート」の藤田雄一郎社長へのインタビュー、仕組みを理解した前編に引き続き、中編となる今回は、ソーシャルレンディングで利益が出るカラクリをとことん聞いてみました。

ソーシャルレンディングの仕組みをおさらい

ソーシャルレンディング, 高利回り, 理由, クラウドポート, 藤田雄一郎 (写真=sdecoret/Shutterstock.com)

まずは気になる、ソーシャルレンディングがなぜ、4〜10%という高い利回りを安定して実現できているのか?という部分です。

ソーシャルレンディングの利回りについて理解するためには、まずはソーシャルレンディングの仕組みを知る必要があります。

・ソーシャルレンディングの仕組み

imageTitle (画像=クラウドポートニュース提供)

前編のおさらいになりますが、私たちがもしソーシャルレンディングにお金を投資したとすると、そのお金はソーシャルレンディングの運営事業者を通じて、資金を必要とする企業に貸し出されます。

・ソーシャルレンディングのリターンは「分配金」

企業はその資金を使って事業に取り組み、貸付期間が終わると、元本と金利をソーシャルレンディングの運営事業者に返済します。その支払われた金利の一部が「分配金」となって私たちに戻ってきます。

つまり、私たちが受け取る「リターン」(=分配金)の源泉は、企業が支払う金利なのです。

「ソーシャルレンディングの利回りが良い理由は、高い金利を支払っでも、資金を調達したい企業があるからなんです」(以下、かぎかっこ内は全て藤田さん談)

企業がソーシャルレンディングでお金を借りるワケ

ソーシャルレンディング, 高利回り, 理由, クラウドポート, 藤田雄一郎 (写真=Atstock Productions/Shutterstock.com)

ではなぜ企業は、比較的金利の高い(企業にしてみるとコストが高い)ソーシャルレンディングで資金を調達するのでしょう?

・不動産の自己負担分を補う

「銀行だけで必要資金がすべて事足りるのであれば、それに越したことはないでしょう。ただ、すべての必要資金を銀行だけで賄えるかというと、そうとも限りません」

例えば、不動産事業者が物件を仕入れる際の融資では、通常は掛け目が設定され、購入資金の7〜8割に対してのみ、融資がつくという場合が大半です。不足部分は自己資金などで賄わなければならず、自己資金が足りない場合は、物件の仕入れを諦めなければなりません。

それであれば、多少、金利が高くても不足分をソーシャルレンディングで調達したいと考える事業者は一定数存在します。

・銀行の審査が通りにくい案件もある

ソーシャルレンディング, 高利回り, 理由, クラウドポート, 藤田雄一郎 (写真=Rawpixel.com/Shutterstock.com)

「また、銀行の審査基準では審査が通りにくい案件も、ソーシャルレンディングの使い途として有効です」

藤田さんによると、最近、増加傾向にある古民家の再生などは、まさにソーシャルレンディングと相性の良い案件なのだとか。

総務省のレポートによると、現在、日本には古民家が150万戸以上あると言われています。古民家を再生するためには当然資金が必要となりますが、銀行融資を受けようにも、古民家自体の担保価値が低いと見なされ、融資を受けるのが困難な場合があります。

ソーシャルレンディング, 高利回り, 理由, クラウドポート, 藤田雄一郎 (写真=johan.lebedevski/Shutterstock.com)

一方、ソーシャルレンディングでは、貸付の主体となる営業者が不動産事業者である場合なども多く、銀行よりも一歩踏み込んだ審査が可能です。古民家の現在価値だけで判断するのではなく、再生した後にどれくらいまで価値が上がるかを想定し、その再生後の価値を元に融資を行います。

「実際、ここ数年、古民家再生を目的としたファンドの数は増加傾向にあります。ソーシャルレンディングは銀行とは異なる柔軟な審査基準を強みに、多様な資金需要を抱える企業の新たな選択肢として存在感を強めています」

従来の銀行の審査基準では判定できない、新たな魅力あるビジネスを見つけることができるのが、ソーシャルレンディング運営事業者の強み、というわけです。

ソーシャルレンディングで貸したお金は返ってくるの?

ソーシャルレンディング, 高利回り, 理由, クラウドポート, 藤田雄一郎 (写真=Anton Violin/Shutterstock.com)

でも「ソーシャルレンディングで資金調達する企業にって大丈夫なの?貸し倒れするんじゃないの?」と不安になる方もいるのでは?

藤田さんにその気持を伝えると「ソーシャルレンディングの運営会社は、先述した通り、柔軟な審査基準を設けて融資を行っている一方で、貸付金がしっかり返済されるかどうかについては、かなり厳格な審査を行っています」と解説します。

ソーシャルレンディング, 高利回り, 理由, クラウドポート, 藤田雄一郎 (写真=Ivelin Radkov/Shutterstock.com)

「投資家から預かった資金で事業を運営している以上、彼らが一番気にするのは投資家に迷惑をかけないことです。万一に備えて、融資先から担保を徴求する、代表者に保証人になってもらうなど、慎重に保全を図っています(※)」とのこと。

※編注:担保・保証の有無はファンドにより異なります

事実、この3年間で「デフォルト」(債務不履行、利子の支払いが遅延したり、元本の償還が不可能となること)を起こしたファンドは全体の1%未満にとどまっています。(クラウドポート調べ)

「ただし、いかに保全性が高いといっても、リスクある金融商品であることに変わりはありません。当然、損失を被るリスクはあります。そのため、必ず余裕資金の範囲で投資することが重要です」

ソーシャルレンディングの具体例①不動産投資事業

imageTitle (写真=DAILY ANDS編集部)

より詳しくソーシャルレンディングについて理解するために、藤田さんに具体的な事例を教えてもらいました。

ソーシャルレンディングでお金を貸し付ける事業で最も多いのが「不動産投資事業」なので、一つ目の例は不動産投資事業です。

・1億円のビルを購入したい「あんず不動産」

ソーシャルレンディング, 高利回り, 理由, クラウドポート, 藤田雄一郎 (写真=hfzimages/Shutterstock.com)

例えば、不動産会社「あんず不動産」が、投資用不動産として1億円のビルを購入したいと考えていたとします。

しかし、銀行からは7000万円しか融資を受けられません。残りの3000万円をどうにかして集めたい!

そこで、あんず不動産はソーシャルレンディングを利用することにしました。

・銀行から7000万円、ソーシャルレンディングで3000万円調達

ソーシャルレンディング, 高利回り, 理由, クラウドポート, 藤田雄一郎 (写真=Number1411/Shutterstock.com)

銀行から借りた7000万円分のローン金利が1%、ソーシャルレンディングで借りた3000万円の金利が10%だったとします。

一見、ソーシャルレンディング分の金利が高すぎるように思えますが、ビルを購入するために使った「1億円」全体でみると、返済すべき利子は370万円(7000万円✕1%+3000万円✕10%)なので金利は3.7%だけ。

あんず不動産は、このビルを1億370万円以上で売却することができれば、収益を得ることができます。

ソーシャルレンディングの具体例②太陽光発電事業

ソーシャルレンディング, 高利回り, 理由, クラウドポート, 藤田雄一郎 (写真=Wang An Qi/Shutterstock.com)

ソーシャルレンディングには、先ほどのように「必要な資金の一部を補う」という活用法もあれば、「一時的に借りる」というケースもあるのだとか。

具体的な事例の二つ目は、「太陽光発電事業」です。

・太陽光パネルを購入、設置したい「すもも社」

ソーシャルレンディング, 高利回り, 理由, クラウドポート, 藤田雄一郎 (写真=Diyana Dimitrova/Shutterstock.com)

例えば、太陽光エネルギー事業を行う「すもも社」があるとします。

太陽光エネルギーなどの再生可能エネルギーの場合は「固定価格買取制度」というものがあり、発電した電力を国が定めた価格で買い取ってもらうことができます。

すもも社は太陽光発電に適した素晴らしい土地を見つけたので、ぜひここで発電事業をスタートさせたいのですが、事業には土地を切り開いて、太陽光パネルを購入、設置する必要があります。

・一時的にソーシャルレンディングを利用

ソーシャルレンディング, 高利回り, 理由, クラウドポート, 藤田雄一郎 (写真=create jobs 51/Shutterstock.com)

そのお金を本来ならば銀行から借りたいところなのですが、金融機関は発電所が完成してからでないとお金を貸してくれないことが少なくありません。なぜなら、発電所が完成しなければ、その土地はただの空き地であり、担保価値がないと見なされてしまうからです。

そこで、すもも社はソーシャルレンディングで1億円を調達します。

・設備が整ったら金利の低いローンに「借り替え」

ソーシャルレンディング, 高利回り, 理由, クラウドポート, 藤田雄一郎 (写真=Burlingham/Shutterstock.com)

そのお金で発電所をつくったら、金融機関でお金を借り替えてソーシャルレンディングの資金を返済します。あとは、売電により金融機関のローンを返済していけばよいのです。

ソーシャルレンディングは企業にとってまさに「痒いところに手が届く」サービスなのかもしれません。

ソーシャルレンディングと株や投資信託との違いは?

ソーシャルレンディング, 高利回り, 理由, クラウドポート, 藤田雄一郎 (写真=William Potter/Shutterstock.com)

ここまで聞いて株や投資信託とはどう違うの?と思う方がいるかもしれません。ここで、「クラウドポートニュース」に載っている情報を参考に、違いをいったん整理してみました。

・株との違い

株とソーシャルレンディングの違いは大まかに次の4つ。

  • 株は常に「株価」が動いているが、ソーシャルレンディングには原則値動きがない
  • 株は企業の「株主」になれるが、ソーシャルレンディングは株主になれない(株主総会に出席したり、経営に口を出すことはできない)
  • 株の保有期間は決められていないが、ソーシャルレンディングには決められた貸付期間がある
  • 利益が出た際の税金のかかり方が違う

・投資信託との違い

ソーシャルレンディング, 高利回り, 理由, クラウドポート, 藤田雄一郎 (写真=gpointstudio/Shutterstock.com)

投資信託とソーシャルレンディングの違いは大まかに次の4つ。

  • 投資信託は基準価額が動くが、ソーシャルレンディングには原則値動きがない
  • 投資信託の保有期間は決められていないが、ソーシャルレンディングには決められた貸付期間がある
  • 利益が出た際の税金のかかり方が違う

「企業の活動にお金を出して応援する」という意味では、ソーシャルレンディングも株も投資信託も同じです。

ただ、私たちのお金が企業の手元に届くまでのルートや、企業から私たちに利益が還元されるときの仕組みに違いがあるので、「日々価格が動くかどうか」「どのようにして手数料がかかるか」、などの違いが出るようです。

特に違うのは、ソーシャルレンディングは「値上がり益」を期待する投資ではなく、コツコツ金利を受け取る投資であること。

ソーシャルレンディング運営会社が資金需要者にお金を貸して金利をつけて返してもらう「融資」の仕組みなので、値上がり益も無い一方、返済が滞らない限り値下がりも原則ありません。

ソーシャルレンディング運営会社やファンドの選び方

imageTitle (写真=DAILY ANDS編集部)

2017年11月現在、日本国内のソーシャルレンディングの運営会社は23社。複数のテーマのファンドを扱う運営会社もあり、「どれを選べばいい?」「違いがわからない」と考える人も多いかもしれません。

そこで、藤田さんにソーシャルレンディング初心者は、どのような観点で運営会社やファンドを選べば良いのか聞いてみました。

・実績のある運営会社を選ぶ

ソーシャルレンディング, 高利回り, 理由, クラウドポート, 藤田雄一郎 (写真= GaudiLab/Shutterstock.com)

初めてソーシャルレンディングをする場合、大手が運営していたり、上場企業として安定した経営をしている運営会社を選ぶという方法があります。

また、ソーシャルレンディングの運営会社のサイトには、過去の償還実績(投資家に資金を返済した実績)や貸付金額、貸付件数などの数字が記載されていることも多いです。過去の実績を参考に検討してみるのも良いそうです。

・「テーマ」「利回り」「担保の有無」をチェック

ソーシャルレンディング, 高利回り, 理由, クラウドポート, 藤田雄一郎 (写真=Mila Supinskaya Glashchenko/Shutterstock.com)

「ファンドを選ぶ時は、自分が興味・関心のあるテーマや、利回り、担保の有無などを参考にしてみると良いと思います」と藤田さん。

事業のテーマは自分が興味・関心のあるジャンルであればより興味を持って調べることができますし、当然、利回りも高いと嬉しいですよね。

また、担保があるかどうかもファンド選びの一つの基準。「担保あり」のほうが貸し倒れ時のリスクが限定的な分、人気なのだそうです。

・ファンドの担当者にも注目

ソーシャルレンディング, 高利回り, 理由, クラウドポート, 藤田雄一郎 (写真=Gianluca Ciro Tancredi/Shutterstock.com)

運営会社のサイトには、ファンドの担当者のコメントが掲載されているものもあります。「このファンドはどういう内容なのか」「どこがおすすめなのか」など、ファンドのメリットや特徴を見ることができたりするので、参考にしてもいいですね。

・キャンペーンを活用するのも◯

ソーシャルレンディング, 高利回り, 理由, クラウドポート, 藤田雄一郎 (写真=Rawpixel.com/Shutterstock.com)

投資金額によってAmazonのギフト券などがもらえたり、キャッシュバックが受けられたりするなと、運営会社によってお得なキャンペーンをやっていることもあります。

「ちなみにクラウドポートでは、キャンペーンファンドだけを表示させる機能があるので、最初はここからチェックしてみてもよいかもしれないですね」

ソーシャルレンディング初心者の注意点

藤田さんにソーシャルレンディングを初めて行う際の注意点も聞いてみました。

・少額からスタートする

ソーシャルレンディング, 高利回り, 理由, クラウドポート, 藤田雄一郎 (写真=graphbottles/Shutterstock.com)

ソーシャルレンディングは3万〜5万円程度からスタートすることができます。

「いきなり、数十万円などの高額な資金を用意するよりも、まずは無理のない範囲からスタートするのが良いと思います」

・分散投資を徹底する

ソーシャルレンディング, 高利回り, 理由, クラウドポート, 藤田雄一郎 (写真= Sarah_Baird/Shutterstock.com)

株や投資信託で投資を行う時と同様、損失が発生する可能性を考え、分散投資をすることが大切です。

  • 金額を分散させる
  • 口座を持つ事業者を分散させる(複数のソーシャルレンディング運営会社に口座を持つ)
  • 投資テーマを分散させる

など、さまざまな切り口で分散をさせることで、致命的な損失を被る可能性をゼロに近づけていくことができます。

・運用期間の短いファンドを選ぶ

ソーシャルレンディング, 高利回り, 理由, クラウドポート, 藤田雄一郎 (写真=NaruFoto/Shutterstock.com)

最初は、運用期間が短いファンドを選ぶことを藤田さんはおすすめしているそうです。

「例えば、運用期間が3カ月のファンドを選んで投資をすると、運用期間の3カ月を過ぎれば、通常であれば口座に分配金が振り込まれます。そこで実際に『投資したお金がきちんと戻ってきた』『分配金を受け取ることができた』という感覚を得られます」

ソーシャルレンディングの口座開設は誰でもできるの?

ソーシャルレンディング, 高利回り, 理由, クラウドポート, 藤田雄一郎 (写真= Rawpixel.com/Shutterstock.com)

ソーシャルレンディングの口座開設は無料ですが、開設する時には投資家審査があります。審査に落ち、ソーシャルレンディングの口座開設ができないということはあるのでしょうか。

「例えば収入がなく預金もゼロで、加えて投資経験がないなどの場合には審査に落ちてしまう可能性もあると思います。ソーシャルレンディングに限りませんが、生活資金を投資に充てるべきではありません。普通に会社などで働いていてある程度安定した収入や預金がある人であれば、投資経験がないというだけで、審査に落ちてしまう可能性は低いのではないかと思います」

次回は「これからソーシャルレンディングはどうなるか?」

ソーシャルレンディングの運営会社やファンド選びに注意すれば、投資初心者でも安心してソーシャルレンディングに取り組むことができそうです。

次回は、ソーシャルレンディングを続けていく際のポイントや、今後の展望についてお伺いします。(後編に続く)

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