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女性のお金の悩み「20代」と「40代」ココが違う

入り口は「オトクだから」でOK 今どきの「節税になる」制度を解説

12年前の独立から現在までに、数千人の女性からのマネー相談を手がけてきた、FP(ファイナンシャル・プランナー)で株式会社 Money&You取締役の高山一恵さん。セミナーには世代を問わず、多くの女性が詰めかける、人気FPです。

現在は、税金がおトクになる制度も増えましたが「私にはどれがいいの?」と戸惑うこともあります。高山さんに、今どきの「節税になる」制度を解説していただきましょう。

女性に共通する「老後貧乏」への不安

――高山さんはマネーセミナーも数多く手がけています。お客さまに共通の悩みのようなものはありますか?

高山氏:私は、主に女性に向けてマネー知識の啓蒙に力を入れてきたので、女性向けのセミナーに講師として呼ばれることが多いんですよ。お客様は、20代から40代くらい、まさにiDeCo onlineの読者世代ですね。幅広い層ですが、みなさん「漠然とした不安」という点では共通しています。

例えば20代のお客様は、デフレの世の中に育っていて、未来に対して明るい展望が全く描けないと言う方が少なくありません。お給料もどうせ上がらない、という危機感があるんですね。

一方、40代のお客様は、消費の意欲はあるものの、それとは裏腹にお給料が伸びないので、使うためのお金を殖やしたいという希望を持っている方が多い。その間に挟まれている30代のお客様からは、どちらの要素も感じます。

――世代ではっきり分かれるのですね。漠然とした「不安」に、キーワードのようなものはありますか?

高山氏:見ためはキラキラしている20代の方が相談にいらっしゃるケースが増えているのですが、「なぜ、相談に来たの?」と聞くと、「老後が不安だから」と答える方が少なくありません。年代を問わず、みなさん長生きすることを心配しているのです。

人生100年時代を描いた『LIFE SHIFT(ライフ・シフト) 』(リンダ・グラットン、アンドリュー・スコット)がベストセラーになりました。100年生きるかどうかはともかく、平均寿命が長い女性は、90歳までは生きる可能性大!では今からどうすればいいのか、というお話をしていきます。

入口は「節税」から。こんなにあるオトクな制度

――ただ、「投資をはじめましょう」と言っても、投資に対して抵抗感のある人も多いのでしょうか

高山氏:私のセミナーに何度も足を運び、雑誌の連載を読んでくださる方でも、なかなかアクションに結びつかない方が多いのが現状です。

そこで、この超低金利時代に資産運用をした場合としない場合をグラフで「見える化」したり、少子高齢化が加速し、経済は縮小していくという話をしたりして、投資をする必要性を丁寧にお話ししています。

分かりやすいという点では「節税」という切り口もあります。投資まではいかなくても、「節税して税金額を軽減した分貯める」という方法はシンプルで受け入れやすいようです。

――手軽に節税できる制度を、高山さんに簡単に解説していただきましょう。

【節税策①】今年からはじまっている「セルフメディケーション税制」

――確定申告の時期が近づくと、家族の医療費が年10万円(一般的な所得の場合)を超える場合に申告できる「医療費控除」が話題になります。この「特例」ができたのですね。

高山氏:はい、セルフメディケーション税制では、医療用から転用された医薬品「スイッチOTC医薬品」の購入が年間(1月から12月末までの間)トータルで1万2,000円を超えていて、さらに健康診断を受けるなどして「健康増進や病気予防などの取り組みをしている」とみなされる人が対象です。確定申告すると、1万2,000円を「超えたぶん」の金額が節税対象になります。

――医療費控除との選択制になるため、2017年分の確定申告シーズンが近づく頃に「どちらの制度を利用するのがオトクか」というテーマで、話題になるかもしれませんね。

医療費控除、セルフメディケーション税制、どちらも「レシート(領収書)」が必要になります。生計を同じくしている家族全員の分が有効となるため、1年の医療費はそれなりの額になることもあります。医療費関係のレシートは捨てないでとっておきましょう。

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【節税策②】豪華な返礼品は今年まで?「ふるさと納税」

――すごい量の肉や野菜などの「返礼(へんれい)品」がもらえると話題の「ふるさと納税」も人気です。

高山氏:はい、これは、自分の住民票がある自治体を除く、好きな自治体に寄付ができる制度です。手続きすることで、自分の税金が、寄付した分だけ安くなります(上限あり)。

最低2,000円は自己負担になりますが、自治体が自主的に用意している「返礼品」には、寄付額を上回るようなゴージャスなものも登場しました。今後は制度の目的をふまえて、徐々に縮小する動きになっています。

また、魅力ばかりが伝えられるふるさと納税ですが、実際、相談にのっていると、使い勝手の部分で二の足を踏んでいる方もいるようです。例えば、専業主婦の家庭でふるさと納税を活用したいと思っても、お金のかかる子育て世帯では、家計から寄付金を捻出するのが難しいところもあり、「先に寄付して、あとで税金がおトクになる」先払いであることが、ネックになるようです。

また、節税のメリットをなかなか受けられない独身の方にはぜひ活用してほしいのですが、「返礼品」はボリュームが重視されることが多く、独身の方から「使い勝手が悪い」という声をよく聞きます。独身者のニーズをとらえたものは少数のようですね。

とはいえ、ふるさと納税に興味を持っている方も多いのは事実です。今年の「ふるさと納税」は、2017年12月31日までの、今まさに稼いでいる金額にかかる税金が対象になります。「ふるさと納税」にはいくつか専用のサイトがあり、最低の自己負担金でいくらまで寄付できるかという、上限の目安や返礼品、各自治体の取り組みなども調べられますよ。

【節税策③】子どものいる人は「ジュニアNISA(ニーサ)」にも注目

――「なんとかNISA」という名前が乱立しているようですが(笑)それぞれ解説をお願いします。

高山氏:NISAは「少額投資非課税制度」のことです。株式や投資信託の配当金や売却益からは20.315%の税金(復興特別所得税を含む)が引かれてしまい、投資する人にとってこれは結構痛いのですが、NISA口座での取引であれば、非課税になります。非課税期間は5年、現在では年間の投資できる上限金額が120万円、制度自体は2023年までとなっています。

年間120万円の枠は12月31日で消滅してしまい、1月からまた120万円の新しい枠ができます。これを使うことも使わないこともできる自由さは魅力です。ただ、節税になるのは「配当金や売却益」ですから、投資をしないとメリットは享受できません。

未成年を対象にした「ジュニアNISA」は、未成年者の名義でできるもので、仕組みはNISAと似ていますが、上限の金額は年間80万円まで。子ども向けというだけあって「口座名義人である未成年者がその年の3月31日において18歳である年の前年12月31日までは原則として払出すことができない」という、ちょっと面倒な払い出しの制限があります。

お客さまの中には、自分や夫の親(おじいちゃん、おばあちゃん)がお金を出し、子ども(孫)の名義で口座開設している方もいます。1人につき年間110万円までの贈与には、贈与税の基礎控除によって贈与税がかからないので、年間80万円をもらっても大丈夫。税務署への対策として、念のため、贈与する旨の証明を一筆書いてもらうといいでしょう。

2018年1月からは、「つみたてNISA」が登場します。非課税期間は20年間と長く、投資できる年間の上限金額は40万円まで。長期の積み立て投資を前提に選ばれた投資信託などから選択する仕組みで、初心者向けといえるでしょう。「つみたてNISA」は、これまでのNISAと併用はできないため、どちらかを選択する必要があります。

【節税策④】掛け金が所得控除、定期預金もOKの「iDeCo(イデコ)」

――2017年1月から、加入対象者が拡大になり、注目されるiDeCo(個人型確定拠出年金)

高山氏:iDeCoは月額5,000円以上、1,000円単位で加入対象者ごとに決められた上限まで積み立てることができ、掛け金は全額所得控除、運用期間中の利益は非課税、年金として受け取るときには「公的年金等控除」「退職所得控除」と、税の優遇が3段階もあります。

NISAとの大きな違いは、商品ラインナップの中に「定期預金」があることです。馴染みのある商品なのと、元本割れがないという安心感からか、多くの方がiDeCoで定期預金を活用しています。

定期預金での運用よりも、投資信託(元本変動型の商品)で運用するほうが運用期間中の節税メリットも得られる場合もありますが、まず公的年金にプラスαになる自分年金を作るアクションを起こすことは老後を豊かにする1歩だと思います。

注意点としては、公的年金に上乗せする年金という性質上、60歳までは原則として引き出すことができません。そこさえふまえておけば、初心者にとってiDeCoはおすすめできます。

高山 一恵(たかやま かずえ)
Money&You取締役、ファイナンシャル・プランナー(CFP)。2005年に女性向けFPオフィス、エフピーウーマンを設立、2015年から現職。全国で女性の人生に不可欠なお金の知識を伝えている。FP Café®を運営。

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