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転職する人は要注意!「企業型」確定拠出年金を放置した時のデメリット

絶対知っておきたい確定拠出年金の取り扱い

iDeCo(イデコ)という愛称も付けられ、税制の優遇が受けられる制度という魅力も相まって、「個人型確定拠出年金」が注目を浴びています。

しかし実は、確定拠出年金(☆、DC)は2001年10月から始まった制度で、2017年7月31日時点で加入者数は約686万人となっています。しかも、企業型と個人型に分かれていて、内訳を見ると、企業型が約628万人、個人、型が約58万人とその差は10倍以上。(出典:「確定拠出年金制度」厚生労働省ホームページ)

このように、企業型DCには非常に多くの人が加入しているにもかかわらず、その制度についてよく知られていないように見受けられます。一体なぜなのでしょう。

今回は、確定拠出年金の企業型と個人型の違いや、確定拠出年金で注目すべき特徴である「ポータビリティ」について、転職する際の取り扱いや注意しておきたいポイントも含めて、解説していきます。

☆確定拠出年金(かくていきょしゅつねんきん)とは?
公的年金や企業年金にプラスするかたちで自分で積み立てる「年金」のこと。拠出したお金を投資信託などで運用する。(参考:これなら分かる!「確定拠出年金」がお得と言われる理由

確定拠出年金の特徴をおさらい

まずは、「確定拠出年金」の特徴を確認しておきましょう。

  • 老後の「自分年金づくり」のための制度
  • 積み立て額(拠出額)を自分で決められる
  • 積み立てたお金は原則として60歳まで引き出すことができない
  • 利用しているとさまざまな税制優遇が受けられる
  • 運用する金融商品を自分で選び、自分で運用する
  • 運用成績次第で60歳以降の受取額が変わる
  • ポータビリティ(年金資源の持ち運び)制度がある

いずれも、企業型・個人型ともに共通する特徴ですが、なかでも、確定拠出年金の大きなメリットといえるのが「ポータビリティ」です。

確定拠出年金の「ポータビリティ」とは?

これは、将来、転職して勤め先が変わったり、会社を辞めて働き方自体を変えたりしても、それまで加入していた確定拠出年金の資産を持ち運べるという仕組み。

つまり、このポータビリティを活用しながら、60歳の受取時まで資産形成を継続していくことができるということです。

加入する確定拠出年金が企業型になるか個人型になるかは、転職先の制度や働き方によって変わります。これまで企業型に加入していた人が個人型に変更したり、個人型に加入していた人が企業型の加入者となることもあり得ます。

企業型と個人型の違いは?

どちらも同じ確定拠出年金ながら、企業型と個人型にはなぜ違いがあるのでしょうか。

企業型は従業員の退職金制度として会社が用意した年金です。それに対して、個人型は、公的年金の不足分を補うために個人で準備する年金です。それぞれ位置づけが異なるのですね。

企業型と個人型では、まず掛け金を誰が出すのかという点から大きく異なりますが、ほかにもいろいろと違いがあります。それぞれどう違うかを以下にまとめました。

企業型確定拠出年金の違い

【掛け金を出す人】

  • 企業型=会社(個人での上乗せ可)
  • 個人型=個人

【加入方法】

  • 企業型=原則、その企業に勤める人全員
  • 個人型=加入したい人だけ

【掛け金の上限】

  • 企業型=企業年金の有無による
  • 個人型=働き方による
        

【利用する金融機関】

  • 企業型=会社が選定
  • 個人型=自分で選定

【手数料を負担する人】
▽口座管理費用

  • 企業型=会社
  • 個人型=個人

▽信託報酬

  • 企業型=個人
  • 個人型=個人

【受取方法(一時金か年金)】

  • 企業型=会社の規約による
  • 個人型=選んだ金融機関による

転職する人は要注意! (写真=SukanPhoto/Shutterstock.com)

企業型確定拠出年金がある企業に転職したら?

ここまで、企業型と個人型での違いを見てきましたが、もし、転職して働く環境が変わったらどうなるでしょう。

これは、勤務先の制度により取り扱いが変わります。

ここでは、すでに企業型確定拠出年金に加入している人が、転職した場合の事例を紹介します。

①転職先に企業型確定拠出年金制度が「ある」場合

転職先に企業型確定拠出年金の制度があれば、そちらに移換手続きをします。

ただし、同じ「企業型」から「企業型」に移す場合でも、会社が変われば、その勤め先が用意している金融機関も商品ラインナップも異なります。

これまでの運用資産は一旦現金化し、新たに加入した企業型確定拠出年金のラインナップから運用商品を選び直す必要があります。

転職先の担当部署に、確定拠出年金資産を持っていることを伝えて、手続き方法を確認しましょう。また、掛け金を個人で上乗せできる「マッチング制度」が導入されていたり、会社の規約によっては、企業型と個人型の併用が可能な場合もあります。これらもあわせて確認しましょう。

②転職先に企業型確定拠出年金制度が「ない」場合

転職先の会社に、企業型確定拠出年金も確定給付企業年金(DB)もない場合は、

①個人型(iDeCo)に資産を移し、新たに掛け金を拠出し運用を継続する
②新たに掛金を出すのはストップし、過去に積み立てたお金の「運用指図者」となって60歳に引き出せるようになるまで運用を続ける

の2択になります。

①の場合、一旦、これまでに積み立てたお金は現金化し、新たにiDeCoで加入する金融機関と運用商品を自分で選び、資産を移します。この手続きは必ず、転職・離職した月の翌月1日から数えて6カ月以内に行いましょう。もし、手続きしないまま6カ月を超えて年金資源を放置すると、自動的に国民年金基金連合会に移換されてしまいます。

ここで注意しなくてはいけないのは、自動移換されたときのデメリットです。

手続きを忘れて「自動移換」された時のデメリット

  • 運用の指図ができない
  • 通算加入者期間にカウントされない
  • 自動移換手数料や管理手数料がかかる

運用の指図が行えないということは、運用されないまま、ただ管理されるだけとなり、利息も付きません。また、年金を受けるための加入者期間にもカウントされないため、場合によっては給付開始時期が遅れてしまうことも。

さらに、自動移換時の手数料として4269円、自動移換後4カ月経過以降は管理手数料として月額51円が差し引かれ、その後、企業型、個人型どちらに加入するにしても、資産を自分の口座に移換する際には手数料1080円もかかります。

無利息のうえに本来不要な手数料が発生し、年金給付も遅れるかもしれないとなれば、手続きを延ばすことにメリットはありません。移換期限は必ず確認しておきましょう。

「脱退一時金」としてお金を受け取れるケースもある

勤務先や働き方にかかわらず、60歳まで年金資源を運用し続け積み立てていくのが基本の確定拠出年金ですが、場合によっては「脱退一時金」として受け取ることができます。

ただし、その受給要件は複雑かつ厳しく、要件を満たして受け取れる人は非常に限定されると言われています。気になる人は、iDeCoポータルの「企業型確定拠出年金資格喪失時のお手続きご案内サイト」で判定できますので、調べてみるといいでしょう。

***

確定拠出年金には、会社の退職金制度の一つである企業型と、老後資産を自分で準備する個人型があり、たとえ、会社員をやめて個人事業主になったとしても、いずれかの方法で老後のための資産形成が継続できる制度です。

確定拠出年金のタイプの違いを知り、転職や働き方が変わった場合には適切な手続きをとってムダなく運用を続けられるよう、今から準備をしておきましょう。

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