(c)梧桐柾木・小学館/裏サンデー

【連載】「オタクFPの『金融マンガ』愛」

#02 学園マンガで経済がわかる!『市場クロガネは稼ぎたい』

テーマは学園生活✕資本主義

「お金の本って難しい」と思うことはないでしょうか。でも、マンガとなると話は別。絵があるだけで、とってもわかりやすくなりますよね。そこで、この連載「オタクFPの『金融マンガ』愛」では、実はマンガオタクなファイナンシャル・プランナー(FP)の横川楓さんに、ちょっとでもお金のことを身近に感じられるような、お金にまつわる素敵なマンガを紹介していただきます。

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こんにちは! ファイナンシャル・プランナー(FP)の横川楓です。

今回取り上げるのは前回の少女マンガから一変して少年マンガ『市場クロガネは稼ぎたい』(梧桐柾木著、小学館)です。

DAILY ANDS読者の中には、熱血根性系少年マンガはちょっと苦手……という方もいるかもしれません。でも、これからご紹介するのは、経済・社会問題にガッチリ取り組んだ作品。さわやかでかわいらしいテイストの絵柄ですので、女性も読みやすいですよ。

もちろん、熱く繰り広げられるマネーゲームは、少年マンガファンにもおすすめです!

【前回の記事はこちら】
#01 もし税金を払えなかったら…滞納者に向き合う漫画『ゼイチョー!』に涙

『市場クロガネは稼ぎたい』テーマは、学園生活×資本主義

この作品のテーマは学園生活×資本主義。

大財閥の御曹司である主人公・市場クロガネ(いちば・くろがね)が、島まるごと学校施設という超巨大校「学円園学園(がくえんぞのがくえん)」を舞台に、自分の力で“何か”を成し遂げようと奮闘する姿が描かれます。

頭脳明晰、容姿端麗、おまけにお金持ちと、一見言うことナシのクロガネですが、実は、自分自身では何も成し遂げていないということにコンプレックスを持っていました。

そこでクロガネが目を付けたのは、資本主義を採り入れた教育システムを基とする私立学円園学園です。

大富豪のボンボンが、学園一の借金持ちに

私立学円園学園では、簡単にいえば、自身で稼いだ学園通貨の額で学生としての評価が決まるというシステムが取り入れられています。

クロガネは一念発起し、自分の力だけで実績を手に入れようと実家を離れ、学園に入学します。ところが、なんと入学早々に多額の借金を背負うことに……。

超絶大富豪のボンボンから学園一の借金持ちとなったクロガネが、借金を返済したうえで、さらにどのように収益を上げていくのか。そして、学園にとってクロガネがどんな存在になっていくか——というのが、このマンガの見所です。

周囲の生徒を励ます言葉が心に響く

私立学円園学園では、稼いだ総額が学校内の評価となるだけでなく、進級・卒業でさえもお金が必要。お金がなければ寮に入ることもできないという過酷な校則の下、生徒たち皆必死になってお金を稼ぎます。

誰もが何かしら夢を持って入学してくるものの、なかには、自分の能力がうまく発揮できなかったり、ビジネスがうまくいかずに挫折してしまったりする人もいます。

そんな中、クロガネは「大借金持ちの変人」という扱いをされながらも、並外れた観察眼により「人の真の価値を見極められる」という能力をフルに生かし、「人材派遣部」を起ち上げます。そして、学園内で埋もれている生徒たちが才能をいかんなく発揮できるよう、彼らを導いていくのです。

頑張っても結果が出なかったり、自分にはどんな仕事が向いているのかと悩んだりといった経験、誰でも一度はあるのではないでしょうか。クロガネが、学園内でくすぶっている生徒たちにかける言葉は、現実世界で生きる私たちの心にもズッシリと響きます。

学園マンガらしさにあふれる

筆者がこの作品を推す一番の理由は、キャラクターたちが皆、自分の考えを持って行動し、主人公と関わることでどんどんと成長していくという、学園マンガらしさにあふれているところです。

お金をテーマにした少年・青年マンガというと、シリアスで暗い話になりがちですが、『市場クロガネは稼ぎたい』はそんな作品とは対照的に、サラッと読めるところが魅力となっています。

経済・社会の仕組みを描いたといっても、ベースは学園生活物語。数ある経済ものの中でも、とっつきやすさはダントツだと思います。

いつの間にか経済知識が頭に入ってくる

ダントツにとっつきやすい上に、日頃、ニュースで目にするような経済の仕組みもさらっと紹介されているのがこの作品のすごいところでもあります。

学円園学園では、実社会でいう株式会社の役割を部活動が担っていて、部活にも上場という仕組みがあります。また、学園の方針を決めることができる生徒会役員は、実社会における政治家と同じ。生徒会選挙の話では、候補者たちが掲げる方針の争点となるのが「ベーシックインカム」であったりと、今まさに社会問題となっている内容が反映されています。

収益を上げるために各部活がどのように収益モデルを立てているかといった経営戦略も紹介されますし、部活の合併を題材にしてM&Aの仕組みを見せる場面も。

ストーリーを読み進めていくうちに、いつの間にか経済知識が頭に入っていることが分かるはず!

身構えず、気軽にマネーリテラシーを学べる一冊としても非常に優秀! 中高生から大人まで、男女問わず、ぜひ読んでいただきたい作品です。(#03に続く)

【「オタクFPの『金融マンガ』愛」#01はこちら】
#01 もし税金を払えなかったら…滞納者に向き合う漫画『ゼイチョー!』に涙

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