(写真=筆者提供)

結婚しても自立していよう。シンガポール、キャリア女性の資産運用事情

シンガポール女性向けワークショップリポート【後編】

「父が亡くなってから約半年、母は毎日のように泣いていました。それでも一生懸命働き、3人の子を育てる姿を見ながら、幼心に女性が経済的に自立する必要性を感じました」

現在37歳で、米系不動産投資関連会社のシンガポール法人でセールスチームのトップに立つフェニー・メイナードさんが資産運用に興味を持ったのは、お父様を早くに亡くされたことがきっかけでした。

2017年7月、シンガポールで開催したワークショップ(Girls Bee主催)のリポート後編では、キャリアウーマンであり、10歳と8歳の二人の女の子のお母さんでもあるフェニーさんが資産運用に興味を持ったきっかけ、失敗談、女性へのアドバイスをご紹介します。

【前編はこちら】
「投資経験あり」が7割。シンガポールに生きる女性たちの資産運用事情とは?

フェニーさんが投資に興味を持ったきっかけ

「私の家族はインドネシアのごく一般的な幸せな家族でした。ところが私が6歳のとき、父が突然病気になり、治療のために母とともに日本に行くことになりました。当時私自身も小さかったので、父の病気が深刻だということはあまり理解できていませんでした。そして約2年後、母は小さな箱とともにインドネシアの家族の元に帰ってきました。その小さな箱は父の遺骨を収めたものでした。そう、父は助からなかったんです」(以下、かっこ内は全てフェニーさん談)

フェニーさんには2人の兄弟がいます。フェニーさんのお母様は一家の大黒柱を失った後、フェニーさんを含めた子ども3人をひとりで育てられたそうです。

「父が亡くなってから約半年、母は毎日のように泣いていました。一方で私たち3人の子どもを育てていかなければならず、一生懸命働いてくれました。そんな母を横目に見ながら、私自身、幼心に女性が経済的に自立して行くことの必要性を感じていました」

今どんなに幸せな夫婦生活や家族生活があったとしても、ある日突然、予期せぬ事態が起こる可能性は誰にでもある、という言葉が参加者の心に響いていました。

imageTitle (画像=筆者提供)」

23歳、お金を稼げるようになってすぐ投資を実践

「最近では結果として離婚をすることになるカップルもたくさんいます。そう考えると、女性が仮に結婚して、家族を持つようになっても、経済的に自立・独立している状態で居られることはとても重要だと考えて居ます。それが私自身今の仕事をしている理由でもあります」

フェニーさんは18歳からインドネシアの家族の元を離れて、シンガポールに引っ越し、シンガポールの大学から奨学金をもらって進学。投資を始めたのは、そんな大学生活が終わり、就職をして自らお金を稼げるようになってすぐの23歳のころ。実はフェニーさんが投資を初めてしたのは、現在の勤め先であるWaltonでした。当時フェニーさんは全く別の会社で仕事をしていましたが、そののちWaltonに転職をすることになります。

「もともと不動産投資に興味がありました。というのも、インドネシアにいた頃、母を通じて、身近なお金持ちやビジネスマンの大人たちが投資の話、特に土地や不動産の投資をしている話をいつも聞かせされていました。そんなことを通じて、不動産投資について自然と興味を持つようになりました」

もともとWaltonの顧客だったフェニーさんですが、数年後、Waltonのセールスチームに入社することになり、投資や資産運用が仕事になりました。その後、順調にキャリアを積み重ね、現在ではWaltonのシンガポールオフィスの従業員数の約半数となる50人のセールスチームを率いるトップとして活躍をされています。

フェニーさん自身の投資失敗談

23歳で自分自身の資産運用・投資をはじめ、また仕事でも10年以上資産運用に携わっているフェニーさんでも、過去に「失敗した!」と感じている投資経験があるそうです。

失敗①海外の実物不動産への投資

「マレーシアのイスカンダル、それからオーストラリアのメルボルンで不動産を購入したことがあります。マレーシアのイスカンダルの物件は、当時シンガポールのセントーサ島(高級住宅が立ち並ぶエリア)のようなエリアになると言われていて」

高級なイメージに惹かれてマレーシアの物件購入を決めましたが、実際に買ってみると、マレーシアの銀行はシンガポールの銀行とは異なり、手続き自体にものすごく時間がかかったり、色々なトラブルがあったりということに気がつかされたと言います。

またオーストラリアの物件も、メルボルンの街の雰囲気が好きという理由で購入を決めましたが、実際に所有してみると、メンテナンスにものすごく手間やお金がかかったり、外国人として高い税金を納めなければならないなどといったことがわかりました。

「いずれの投資も、街の雰囲気やイメージなどをみて気持ちが盛り上がって思わず購入・投資してしまった案件。感情的になって決めた投資は失敗する可能性が高いということを身を持って経験しました」

失敗②ペーパーアセットへの投資

フェニーさんは、「株や債券などのペーパーアセットへの投資は個人的には合わないと感じている」と言います。

「ペーパーアセットは、不動産などのハードアセットと比較をして値動きが激しかったり、場合によっては購入した資産の価値がほぼゼロになってしまう可能性もあります。過去、ペーパーアセットへ投資をしたこともありましたが、私の場合はそのような市場の動きを細かくチェックしている時間もないし、そのような手間もかけたくないので、ペーパーアセットへの投資にはあまり前向きではありません」

女性の資産運用のアドバイス

フェニーさんから「女性の投資・資産運用」に対するアドバイスを聞きました。それが次の3つ。

①できる限り早く始めること
②元本を失うリスクの低い投資をすること
③ハードアセットに投資をすること

アドバイス ①できる限り早く始めること

資産運用には「時間」が持つ価値を理解してうまく使うことが重要。「時間」があるということは「複利」の力を使うことができるということ。複利を簡単に説明すると、運用で得た収益をふたたび投資することで、いわば、利息が利息を生んでふくらんでいく効果のことです。これは早めに投資をすればするほどそのメリットを享受することができます。

アドバイス②元本を失うリスクの低い投資をすること

資産運用で最も避けたいのは、投資をしたお金を失うこと。もちろん投資や資産運用にリスクはつきもので、それを認識した上で取り組むことが前提ではありますが、投資した貴重な自分のお金を失うのはできる限り避けたいもの。そのためにはしっかりとしたトラックレコード(運用実績)のある会社や商品をしっかり選んで決めるようにしましょう。

アドバイス③ハードアセットに投資をすること

先ほど少し話が出てきたように、ペーパーアセット(株や債券、投資信託など)は一般的に市場の動向によって値動きが激しく、また最悪の場合その価値がゼロになる可能性もあります。一方でハードアセットである不動産などは価値がゼロになるということはほとんどありません。投資の目的にもよりますが、激しい市場の値動きに一喜一憂することなく、長期でじっくり着実に運用する投資スタイルの人があうという女性も多くいます。

「経済的な自立が大切」は世界共通

幼少期のお母様の苦労から投資の必要性を感じた、というお話は説得力がありますね。

そして、経済的に自立していることはどの国に住んでいても、またどんなバックグラウンドを持っていても、予測不可能な世の中に生きている限りは重要なことだと、あらためて実感しました。

Girls Beeではこの後も様々な女性たちの”なりたい”をかなえるためのきっかけを提供していきます。ご興味をお持ちいただけた方は、ぜひGirls Beeのfacebookページをフォローください!(シンガポールのワークショップリポート、おわり)

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