(写真=豊田さん提供)

【連載】「女性が住まいに「投資」をするということ」

#03 高収入じゃないからこそ不動産を購入。その「投資マインド」とは?

年収300万、30歳独身女性、豊田さんの場合

「投資マインドを持って、不動産を購入する」

といっても、家の購入は大きな金額が動くこと。現実的に考えるのは、なかなか難しいかもしれません。

そこで今回は、決して高収入とはいえない年収ながら、独身時代にマンションを購入した女性、豊田さん(仮名)のインタビューをお届けします。

豊田さんは金融関係の事務職に就いている34歳の女性。大阪府在住で、30歳の頃に約60平方メートルのマンションを購入しました。当時の年収は約300万円。不動産を購入したのは、「生涯を通じての家賃支出を減らしたいと思ったから」だそうです。

実際に購入し、その物件に住まうだけでは飽き足らず、不動産投資にさらに興味が出てきたという豊田さん。現在は結婚してパートナーと購入物件に住み、満足度の高い暮らしをしています。

筆者が初めて豊田さんにお会いしたのは2016年の夏、国立劇場の近くのホテルでした。豊田さんを紹介してくれたのは彼女のお姉さんで、お二人に、豊田さんと結婚したばかりのパートナーを交え4人でお茶をしました。

東京に住むお姉さんと観劇するために、大阪からやってきた豊田さんはフェミニンなワンピース姿。長い髪を留めていたピンには、さりげなく人のフィギュアが付いていて、おちゃめな遊び心に大阪を感じたのでした。

お話を聞いてから1年。現在の状況や若いうちに不動産購入をするメリット、また、彼女の投資マインドなどを聞かせていただきました

ごく普通の人が破産していく現実

——30歳、しかも独身で不動産の購入に踏み切る女性はまれだと思いますが、以前から不動産購入や投資をしていたのですか? 

豊田さん(以下、豊田):いえ。もともとお給料を貯めるという気持ちは少なかったですし、趣味の観劇のために遠征するなど、好きなことにはしっかりお金を使っていました。

とはいえ、家を買った後も極端な節約をすることはなく、趣味も同じように続けています。変わったのは、お金を使うときに必要な“投資マインド”を、少しだけ身に付けたことぐらいでしょうか。

——では、何がマンション購入へと気持ちを傾けたのでしょう。

豊田:私は金融系の事務の仕事をしています。そこで多数の破産した人を見たことから、計画なくお金を使ってはいけないと強く感じるようになり、投資に興味を持ちました。

私が見てきた破産者の方々の多くは、ごく“普通”の方です。破産の理由も、分不相応な散財をしたわけというではなく、生活費が家計を圧迫した結果という人が大多数。皆さん、ライフステージが上がると出費が増え、家計が苦しくなってしまうのですね。それで少しお金を借りて……ということが積み重なり、破産してしまう。

当時私は年収300万円ほどと、それほど多くの収入があったわけではなく、大幅な昇給も望めません。それならば、賢くお金を使わないと明日はわが身だと思ったのです。

不動産購入のきっかけは「投資での失敗」

——職場での経験から投資への興味がわいたのですね。実際に何かチャレンジした投資はありますか?

豊田:最初は外貨預金をしていました。夫と知り合ったのはその頃です。当時、証券会社に勤めていた夫は資産運用にも詳しく、彼に背中を押されて株をやったりもしました。それが結構利益を出したのです。それで調子にのってFXにも手を出したところ、20万円ぐらい失敗しました……。

FXは完全に勉強が足りていなくて。スピード感があるので、ギャンブルのノリでお金をつぎ込んでしまったのですね。理性を失っていました。

それで、私はもう少しゆっくりやれる投資がいいなと思ったのが、不動産に興味を持ったきっかけです。不動産は売るのも買うのも時間がかかりますが、そのぶんゆっくり考えながら動くことができますから。

——そして、まずは自宅を購入しようと。

豊田: (最初に買ったのが)今住んでいる部屋で、これは投資というより節約の目線で購入しました。といっても、月々のローン返済額は、同じグレードの部屋を借りたときの賃料とほぼ同じ。

私の場合、月々の支払いは賃貸と同等程度でも、早くローンを支払い終えることを優先しました。返済期間10年でローンを返せる物件に限定して買うことにしたのです。予算は1000万円までと決めました。

——不動産購入でも、特に自分が住む物件を買うときは、つい予算をよりも自分の希望を優先してしまいがちなのに、しっかりされていますね。購入物件の詳しいスペックを教えてください。

豊田:購入したのは諸費用込みで870万円程の物件で、現在の月々の支払いは、管理費などを含めて約7万6000円です。

購入物件詳細

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所在地:大阪市、JR東西線御幣島(みてじま)駅 徒歩7分
専有面積:59平方メートル
築年数:購入時31年(1981年建築)
間取り:団地間(1畳170×85cm)の1SLDK(LDK10畳、和室6畳、洋室8畳(納戸)、バス、トイレ)
価格:870万円(諸費用込み)
管理費:8600円
修繕積立:1万2460円
月々のローン返済:約5万5000円×10年
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——賃貸で7万6000円という家賃には違和感がない人も多いでしょう。それで10年後には物件が一つ手に入る。一方、賃貸であればそれからもずっと家賃を支払い続けなければなりません。この違いは大きいですね。

豊田: そうなのです。ずっと住み続けるなら、将来的には家賃の節約になりますよね。住み替える場合は、この物件を転売するなり賃貸に出すなりしてみないと、得になるかどうかの結論は出せませんが。

将来を見越して立地にはこだわった

——住み替えの予定があるのですか?

豊田: 私は結婚しているので、将来子どもができたらこの家も手狭になると思います。そしたら、もう少し落ち着いた場所で、広い家に引っ越すつもりです。そのときにこの家を売った資金が新居購入資金の足しになることを期待しています。

もちろん、物件を購入するときには将来売ることも想定していたので、立地にはこだわりました。最寄り駅のJR東西線御幣島駅は、大阪で一番の繁華街である北新地から3駅です。そこから徒歩7分なので、梅田で遊んでタクシーで帰っても料金は2000円ほど。

街としては準工業地域ですし、それほど魅力にあふれているわけではないんですが、都心からのアクセスが良好なのは大きいです。

——予定通り売ることできれば、その金額がこの不動産購入で得た利益になるわけですね。それまで支払ってきたローンの金額は利益からマイナスになりますが、もしも賃貸していたら同等程度の家賃はかかっていたわけです。とすれば、賃貸で借りるよりも、賢いお金の使い方かもしれませんね。

豊田:この部屋がどのぐらい利益を生んでくれるのか、楽しみにしています。でも一方で、もしも期待していたような高値で売れなかったとしても、勉強代として割り切ろうとも思います。

30代で不動産購入をひと通り経験してみて、よかった点も失敗した点もあったのですが、それを知ったことが大きな財産ですから。今後は、さらにしっかりと投資の感覚を持って物件購入をしていきたいので、この経験は糧になりそうです。

リノベーション物件は内装も注意すべき

——不動産購入を経験して、よかった、失敗したと思われた点とはどのようなところでしょうか?

豊田:夫婦で快適な住まいで生活できているのが一番の成功ポイントです。お互いの職場に近いですし、立地は大切だと思いました。

認識不足だったなと思うのは内装のこと。私が買った物件は、販売業者がその物件を売るためにリノベーションされたものでした。ところが実際に住んでみると、そのリノベーションのクオリティーに不満を感じることが多いのです。

表面的にはきれいでも、建築資材は安いものを使っていると思いますね。次にリノベーション物件を購入するときは、実際の住人が愛情を持ってリノベーションした物件を買いたいと思います。

——ということは、次の不動産を買う計画があるということですか?

豊田:まだ具体的に動いていませんが、興味はあります。次にもしも狙うとしたら、一戸建てでしょうか。一度入居したら長く住んでくれる方が多いので、手間がかからなそうなのが魅力です。(物件としてだけでなく)土地として売ることもできるので、出口戦略を考えやすいのもポイントですね。

投資が将来への不安を和らげてくれる

——豊田さんは若い頃から、金融商品を購入したり不動産を購入したりと、投資マインドを持っている方だと感じました。豊田さんから見て「女性が投資マインドを持って生きる」とはどのようなことだと思われますか?

豊田:投資というのは、お金をただ消費するのではなく、将来さらにお金を生むような使い方をすること。投資の考え方を身に付けていれば、将来への不安は少し和らぎます。

特に女性の場合、結婚・出産などもあって、将来もずっと現在と同じように働き続けることができなくなる可能性は、男性よりも高いのではないでしょうか。だから、自分の体を使い労働で稼ぐ以外にも、お金が得られる方法を知っておいたほうがいいように思います。

あまり大げさに考えなくても、例えば、株なら5万円からでも始められます。それぐらいの金額なら、証券口座を開くなどの準備をしている間に貯められそうですよね。それで、少しもうけたり失敗したりしながら学んでいけば、その知識と経験はきっと将来役に立つと思います。

***

独身30歳で不動産を購入したと聞くと、金銭感覚のしっかりした人か、お金を持っている人だと思ってしまうかもしれません。けれども、豊田さんはごく普通の感覚を持った、親しみやすくやわらかな雰囲気の女性でした。

今回、彼女のお話を聞き、投資マインドは決して特別な人だけが持っているものではないと分かりました。投資マインドとは、不測の事態があったときに自分の生活を守るために必要なセンスであるともいえそうです。

●今回、お話を伺ったのは
豊田さん(仮名)
大阪府在住、金融関係事務職。30歳のときに自身の住まいとするために不動産を購入。当時は独身で年収は約300万円。現在は、1年前に結婚したパートナーと購入物件に住み、新婚生活を始めている。両親は愛知県、姉は東京都にそれぞれ在住。

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