(写真=TunedIn by Westend61/Shutterstock.com)

老後が不安でも、投資額をあまり増やさない方がいい理由

積み立て投資の金額を増額しようか迷っています

20代にして、将来の、特に老後の生活について漠然とした不安を抱えながらも積み立て投資を開始し始めた方からのご質問になります。

将来、お金が足りなくなるのかどうか不安になります

●2016年8月:中島ボブ様(男性・20代)よりのご質問

こんにちは。 私はこのサイトに出会って堀田さんのおすすめするセゾン投信とemaxisバランス(8資産均等型)をそれぞれ2万ずつ計4万円積み立てています。

私は現在27歳で60歳までの33年間でに利回り4%で運用すると3200万ぐらいになると聞きました。60歳で3200万だと十分な気もしますが途中に家を買ったり子供が出来たりするとお金が足りなくなるのではと不安になります。

将来的に年金も貰えるかどうかもわかりません。そこでまだ独り身のうちに積立額を上げたほうがいいのかと不安になります。(今なら7万ぐらいは積み立てができるので)

それとも積み立ては増やさずsbi債やマネックス債、定期預金などで運用したほうがいいのでしょうか?

ご回答:今の投資のペースを若干上げるだけで、特段の心配はありません

老後の生活費を必要以上に心配しない

老後、どの程度の生活費を考えるのか、ある程度イメージしておけば良いでしょう。この手の話しは頻繁に出てきますが、夫婦2人でおおよそ月に25万円としておけば、平均的な数字だと思います。

上記記事によると、モデル世帯の平均年金支給額が、夫婦2人で22万円との事ですから、私からすると、「何も心配ないな」くらいにしか思いません。差額の3万円分を貯蓄しておけば良いのですから、非常に楽なものだと思います。

また、65歳の年金支給の年から20年間生き延びたとして、85歳になります。この間の年金との差額は、トータルで720万円です。60歳から65歳まで無収入になった場合は、この間に25万円を5年分用意する必要があり、1500万円が余分にかかります。

一方で、現在保有のバランスファンドを年率約4%で、キリの良い数字として30年間積み立てたとしたら、どの程度の金額になるでしょうか。年率3%~5%の範囲で、複利計算してみたのが下の数字です。

そして念のため、積立金額を月に4万円から5万円に増額した場合に、どのような数字に変わるのかも計算してみました。(カッコ内の数字は、運用益です。)

老後不安,積立投資,投資額 (画像提供=ノーロード投資信託徹底ガイド)

やや堅く見積もって3%のリターンで推移したとしても、現状の積み立てペースで2300万円、5万円積み立てで2900万円貯まり、老後の貯蓄としてはそれほど不安ではないと思います。

仮に一生涯独身だったとすると、月5万円をはるかに上回る金額を積み立てに回せます。また、結婚したとしてもその直後はダブルインカムになるとしたら、夫婦1人の給料分を全額積み立てに回せます。であるならば、全く不安は無いように思えます。

なお、ここでは今後のインフレについては考慮していません。今後インフレになったとしても、そういう時こそ国際分散投資が大変な効力を発揮するわけで、起こるか起こらないか分からない事を必要以上に心配しなくても良いでしょう。

ほとんど大半の人が、上記程度の大まかな予測すら立てずに、キリギリスのような生活を送っています。投資どころか貯蓄すらしません。既に月4万円の積み立てを始めている中島ボブさんは、すでに先頭集団を走っているのです。

積立金額を若干増やすか、定期預金にするか

さらに投資金額を増やしたい場合、少し考えてほしいことがあります。それは投資金額が大きくなり、最終的に1000万円単位で資産を持つようになった時、市場の暴落などに対する耐性(=リスク許容度)が中島ボブさんにあるのかどうかです。

おそらくバランスファンドを2つ積み立て投資されているという事は、積み立てを始める際にアセットアロケーションを具体的に決めておられないのではないかと推測します。

今は世界的に相場が比較的好調に推移しているから良いものの、リーマンショックやITバブル崩壊のような大暴落が襲ってきたとき、大きな資金がみるみる減ってゆく恐怖を味わう訳で、それに一時的に耐えられるかどうかをイメージしましょう。

例えば2000万円に到達した時に暴落が襲って、半年間で500万円が吹っ飛んだとしたら、平然としていられるかという事です。

資産規模が大きくなると、今まで考えていたのと異なるプレッシャーを感じる事が多いと思いますので、もしも自分はとてもそれに耐えられないだろうなと想像したら、投資金額を引き上げるのではなくて、高金利の定期預金で元本保証で増やすのも選択肢です。

地方銀行も含めた定期預金金利のランキングなどを見て頂き、SBI債なども含めて、少しでも金利の高い定期預金への乗り換え戦略で、地道に資金を増やしてゆけば良いでしょう。

マイホームは持たなくても良い、はじめから持つ前提で考えない

上記の前提で、今後、子供ができてマイホームを購入する必要に迫られた時の事を考えてみましょう。基本スタンスとしては、いつ結婚するのか全く予定が無い状態ならば、余計な貯金をするよりも、積み立て投資に回すべきでしょう。

途中で急きょ結婚する事になったとしても、積み立て投資をした部分から一定金額取り崩せば、どうという事はありません。(貯金を取り崩すのと全く同じ感覚です。)

頭を使うべきは、マイホームを買うか買わないかの問題です。この問題は投資家の中でも必ず意見が割れる点であり、最終的に正解など有りません。金銭的にもマイホームを買っても賃貸で過ごしても、特に損得は無いと言われていますから、個人の価値観が非常に大きな部分を占めます。

不動産投資家の私からすると、もしも賃貸に出してプラスのキャッシュフローを十分に得られるならば買うべきで、そうでなければ賃貸の方が良いと思っています。

プラスのキャッシュフローが得られるかは、物件の購入価格、立地や間取り、銀行の融資期間などによって大きく異なります。もしも最悪、マイホームを賃貸に出しても良いとお考えならば、マイホームの話しが具体化した時点で、別途相談をお受けします。

ほとんどの場合、マイホームを賃貸に回してプラスのキャッシュフローにはならないと思いますので、ダブルインカムで子供を作る予定の無い人など、よほど資金面で余裕のある人以外は、個人的には賃貸の方が良いと思っています。

参考までに、私の考える賃貸住宅住み替えのイメージはこうです。自宅に過大なコストをかけないようにするのがポイントです。可能ならば社宅は絶対に使いましょう。安い賃貸に住み続ければ、十分にお金は増えると思います。

①独身時代:ワンルームの安いアパート
②結婚した直後:子供1人(小学校に入学前まで)ならば子育てもできる1LDK
③子育て期間中:子育てで家がぼろくなってもOKな築古ボロマンションなど
④子供が独立:夫婦二人でゆったりと暮らせる&掃除が楽な1LDK

賃貸は資産が残らないとかいう人がいますけど、賃貸のメリットは多大です。思いつくところを挙げていくと次の通り、住宅に係るめんどくさい部分のかなり多くを、回避できます。

・家が壊れても、全て大家が修繕を負担する
・大規模な修繕の費用など一切不要
・子供が生まれたら広い家に引っ越し、独立したら狭い家に自在に引っ越せる
・転勤などでも、家の事で全く思い悩むこと無し
・弱った老人になったら、もっと便利なところに引っ越せる
・死んだ後の資産の処分とか、余計な事を考える必要なし

上記のメリットを考えても、個人的に嫌だと感じるデメリットの方が大きければ、マイホームと言う選択肢になります。

マイホームを購入する場合は、必ず年収の4倍以内の物件にしたいところです(できれば3倍まで)。そうなると、ダブルインカムでないと到底マイホームなど買う事はできないですね。

結婚してダブルインカムになって、さらに投資の一部、あるいは貯金を取り崩して、マイホームの頭金や諸費用などを負担できるようになってから、買うか買わないかを検討すれば良いでしょう。あくまでも結婚相手が具体化してからで、遅くはありません。

というか、マイホームを持つか持たないかで金銭的な損得が無いのであれば、慌てる必要は全くありません。漠然とした不安感は金融機関(あるいは不動産業者)の格好の標的になりますから、注意してくださいね。

年金が無くなる事は考えにくいが

ところで中島ボブさんは、「年金がもらえるかどうか分からない」と、やはり漠然とした不安を持っておられるようです。そういう不安のある人が銀行に行くと、毎月分配型投資信託の格好の餌食になります・苦笑。

夫婦で22万円貰えるはずの年金がゼロになる時は、想定外の大混乱が起きています。そんな事態になったら日本は沈没しているでしょうから、周りの全員も飢え死にしています。そんな暗い事を考えても仕方ありません。

ただし30年以上先の話しですから、支給額の減額だったり、支給開始年齢の引き上げなどは十分に考えられます。そこが不安の源だったとしたら、ご自身のアセットアロケーションを再考したうえで、さらに投資金額を引き上げる事が解決策です。

あるいは、より長く働く事を考えたり、今のうちから副業に精を出すことも考えておきましょう。節約するよりも、はるかに金銭的に楽になります。

ただし副業をする場合でも、ご自身に学力が無かったり社会経験が無い人は、深夜のコンビニバイトくらいしか副業の選択肢が無いのも現実です。積立資金を必要以上に増額するより、趣味でも何でも良いので、自分に投資をして様々な経験をしておく方が、私は良いと思います。

この記事をシェアする

個性的な連載で「投資」を身近に

一つのテーマを深掘り、おすすめ特集