(写真=View Apart/Shutterstock.com)

新興国の定義って何? 投資をする意味ありますか?

銘柄入れ替えで、将来損はしない?

このご質問は、投資の中上級者さんの質問になりますね。回答する私はほとんど気にしない点なので、かなりお答えに窮しました・笑。

新興国に投資しても、途中で構成国の大きな入れ替えで損をするのではないか?

●2016年4月:YK様(男性・年代不明)よりのご質問

はじめまして。毎日のようにサイトを訪問して、勉強させていただいております。早速ですが、質問があります。

この度、勤務先で確定拠出金(DC)が始まることになりました。すでに個人的に資産運用を行っているので、DC内では今まであまり手を出してこなかった新興国ファンドを運用しようと考えています。

そこで質問です。上記のようなこともあり、連日・幾つもの新興国ファンドを調べていますが、一口に新興国といっても、各ファンドで対象としている国が異なります。そこでふと思ったのですが、そもそも「新興国」という言葉(括り)の定義は何でしょうか。

どの国が新興国で、どの国が先進国であるという、世界的な標準があるのでしょうか。それとも、各社ごと更にはファンドごとで新興国の定義がことなり、ある国が、ファンドAでは新興国扱いファンドBでは先進国扱いということはあるのでしょうか。

逆に言うと、現在・ブラジルはBRICsの一角をなす新興国とされていますが、今後、どのような状態になれば先進国として扱われるようになるのでしょうか。GDPがxxx億ドル以上とか他国からの借金が無いとかいった、新興国と先進国との境界がわかりませんでした。

というのも、例えばブラジルを含む新興国のファンドを購入し、その後ブラジルが目覚しい経済発展を遂げファンド価額も上昇し、さぁこれからウナギノボリにと思った途端、「ブラジルはもう先進国だから」と新興国ファンドから外れることになると、一番おいしいところを享受できず、結局・(失礼な言い回しになりますが)燻っているウダツのあがらない国の銘柄ばかりになるのを懸念しています。

それとも当初予定していた対象国を変更する場合は、事前にお知らせがあったりするものなのでしょうか。DCには新興国ファンドが最適と考えていましたが、ファンド内の構成銘柄対象国を好き勝手に何度も変えられてしまい、リスクに見合ったリターンが期待できないのであれば、考え直す必要もあると思い質問を投稿させていただきました。

以上、よろしくお願いいたします。

ご回答:特にはっきりとした回答ができないので、お答えできる点だけ

今回は難しい質問です・笑。投資の上級者向けと言って良いのではないでしょうか? 結論から書きますと、私も正直、よく分かりません。ですので、分かるところのみ、回答させてくださいね。

新興国に、明確な定義がある訳ではない

まず最初に、新興国には明確な定義がある訳ではないようです。MSCIエマージング・マーケット・インデックスのページに記したとおり、2013年11月にギリシャが入り、モロッコが外れています。2014年5月からは、フロンティア株式市場に分類されていたUAEとカタールが入りました。

MSCIの指数についてのPDFの説明を見ても、下記のように書かれていて、はっきりとしたことは分かりませんでした。(ちなみに、先進国にも特に定義は無いようです)

各国のステータス(先進国、新興国、フロンティア)の変更は、それぞれ 個別のスケジュールに沿って行われる。 年 1 回の市場分類の見直しの際、 MSCI は市場再分類の見直しの対象となった市場に関する投資家からの フィードバックを求め、分析する。 MSCI は毎年 6 月、見直し対象国のリス トについて投資家と協議した結論を発表し、次のサイクルで市場の再分類 が見直される可能性のある国の新しいリストを発表する。先進国、新興国、 フロンティアのステータスへの市場分類の変更を実施する前には、事前に 充分な準備期間が設けられる。

ファンドごとに構成国に違いが有る事もある

どの国を新興国とするのかは、指数によって異なります。上記のMSCIエマージング・マーケット・インデックスの他には、代表的な指数としてFTSE・エマージング・インデックスがあります。

この2つの違いは、SBIアセットマネジメントのウェブサイトを見ると、分かります。大きな違いは、韓国を新興国として組み入れているか否かです。FTSEでは、韓国は先進国としての取り扱いです。

それらの指数に連動したインデックスファンドの基準価額の推移を、見てみましょう。韓国の有無だけでなく、各国の組み入れ比率にも大きな違いが有り、過去3年間で見ると、以下のような値動きの違いとなって表れてきます。

新興国,定義,投資,銘柄入れ替え (画像提供=ノーロード投資信託徹底ガイド)

だったら韓国を先進国に含めた、FTSE Kaigai・インデックスに連動するEXE-i 先進国株式ファンドのほうが、韓国を含めないMSCI コクサイ インデックスに連動するSMTグローバル株式インデックスよりもリターンが良いのかと言うと、そうでもなかったりします。

新興国,定義,投資,銘柄入れ替え (画像提供=ノーロード投資信託徹底ガイド)

異なる指数同士を比較しても、本来はあまり意味を成しませんけれども、いちおう、指数が異なる事で、それに連動する投資信託のリターンも変わってくるのです。

銘柄を入れ替えると、当然、大きな影響はある

どの国を入れ替えるか、あるいはその国の中でどの銘柄を入れ替えるかは、定期的に見直されます。見直しによって、新たに組み入れられる銘柄の株価は上昇しますし、外される銘柄は下がりますから、比較的大きな影響があります。

ただ、ブラジルなどのかなり大きな国が外れたり組み入れられたりする影響については、どの程度のインパクトがあるのか、過去に事例を見たことが無いので、よく分かりません。

こういう入れ替えはインデックス投資の欠点でもありますが、仕組み上、やむを得ない部分でもありますから、受け入れざるを得ません。

しかし、ブラジルが新興国から外れても、それはすなわち先進国に組み入れられるという事でしょうから、国際分散投資を徹底していれば、理屈としてはその影響を最小限にできるのではないかと考えられますね。

YK様より、お返事をいただきました!

早速のご回答、ありがとうございます。まさかこんなに早くご回答頂けると思っていませんでした。しかもサイトにまで掲載してくださいまして、お忙しい中、ありがとうございます。非常に詳しく、またわかりやすく掲載していただき、なにか恐縮な思いです。

新興国という言葉の定義に関しては、DCに限らず新興国関連ファンドを色々漁っていて疑問に思ったことなので、これといった特定のファンドはありません。 ただ、サイトに掲載されている「韓国」に関しては、ファンドによって扱いが違うのに気づいたのがこの度質問させていただいた発端でした。

最初は新興国関連でもアジア系/グローバル系などの地域の違いからと思っていましたが、 何かずっと頭にひっかかって不思議に思っていました。本件のサイトをなるほどと読み進めていましたが、最後の一文に衝撃を受けました。

「しかし、ブラジルが新興国から外れても、それはすなわち先進国に組み入れられるという事でしょうから、国際分散投資を徹底していれば、理屈としてはその影響を最小限にできるのではないかと考えられますね。」

...そうですよね。 国際分散をしていれば、全てでは無いにしろ、いずれかのアセットの対象になるわけですよね。 自分が素人みたいな質問をしていたことに、はじめて気づきました。

新興国、新興国、...と突き詰めていくうちに、頭の中の国際分散が崩れていたようです。 非常に恥ずかしく思うのと同時に、丁寧なご回答を掲載していただき感謝いたします。

それにしても、資産運用に関する多少なりの経験があっても、新しい分野に手を出そうとすると 今まで知らなかったことが色々とあるものですね。奥が深いというのは、飽きずに楽しめるという点では、良いことだと思いました。特に長期運用する際には。

新興国ファンドに関しては、もっと調べて、DCに組み込んでみようと思います。この度は、本当にありがとうございました。 失礼いたします。

この記事をシェアする

個性的な連載で「投資」を身近に

一つのテーマを深掘り、おすすめ特集