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投資でムリに増やすのも危険!貯金600万円夫婦に愛あるアドバイス

退職金無し&貯金少ないケース(40代ご夫婦)の投資について

インデックス投資は、投資の知識が少ない人でも無理なく小額から投資が出来て、更にはプロ並みの運用成果まで期待できる素晴らしい投資法ですが、その全段階として、そもそも投資をしても良い場合なのかどうかを考える必要もあると思います。今回はそんな話しです。

投資で出来る限り増やし、将来を明るいものにしたいです

●2017年7月:AS様(女性・40代)からのご質問

投資を始めるにあたって、堀田様のサイトを大変参考にさせていただいていて、いつも本当にありがとうございます。ぜひ教えていただければ本当にありがたく、どうぞ宜しくお願いいたします。

わが家は、夫(47歳)、私(42歳)で私は体が弱く子供はいません。主人は小さな会社で退職金もなく、今まで義母の介護でお金がかかり、貯金もなく結婚も遅かったのですが、住むところや二人の将来の生活を考えて、出来る限り投資で増やし、将来を明るいものにしたいと真剣に考え始めました。

当初は私一人で考えて、主人のイデコ(23000円)とセゾン投信(20000円)を積み立てはじめ半年ほどです。その間、堀田様のガイドを読んだり、本を読んだりして、インデックスファンドの組合せで、コストを下げて出来ないかと主人にも相談して、SBI証券で新たに積立を始めたところです。

私が働いていた時の貯金が600万円ほどあり、そのままなので、それを活用したいと考えております。ざっくりですが以下のような配分を考えました。

・ニッセイTOPIXインデックスファンド(20%)
・ニッセイ外国株式インデックスファンド(23%)
・たわらノーロード 新興国株式(13%)
・eMAXIS slim 国内債券(26%)
・eMAXIS slim先進国債券(17%)

最初は様子見もありごく少額で始めたのですが、元手を増やすためにも、月々10万円、または15万円に積立額を増やした方が良いのかなと思い始めました。貯金として残す部分や、予備費を除き、1~2年で元手が200万円になるように積立ていった方が良いかなと考え、 最初の1年位、15万円ずつ月々積立ようかと考えました。

ただ今は相場が良く株価も高いので、1年ほど15万円ずつ買っても、その後月々の積立額を下げてしまったら、分散効果は薄く、一括投資と同じようなリスクなのかな、5万くらいでも10年位ずっと同額を積み立てた方が良いのかなどと、とても悩んでいます。

主人ももう少しで50代ということもあり、なんとか大事に増やしていきたいと願っています。 文章おかしかったり、とんちんかんなことを言っていましたら すみません。アドバイスいただけましたら本当に幸いです。どうぞ宜しくお願いいたします。

ご回答:増える事を強く願っておられますが、減る事もイメージしておきましょう

ASさま、ご質問、ありがとうございました。いわゆる世間一般的に見ると、なかなか厳しい状況だとは思いますが、そこからイデコとセゾンで月に43000円もの投資を既に実行しておられるのには頭が下がりました。ハッキリ言って凄いです。

しかし同時に、ちょっと危うい感じもします。投資で過度にリスクを取って、危うい事が現実に影響を及ぼすといけませんので、その点について書いてみたいと思います。

まず、アセットアロケーションを決めてください

まず、アセットアロケーションが決まっていないのではないかと思います。ご主人のイデコ(中身が分かりません)とセゾン投信(セゾンのどちらのファンドでしょうか?)と、今回記述頂いた諸々のファンドを3つ、活用する訳ですよね。

となると、トータルした時のアセットアロケーションはどうなるのでしょうか。そこがまず大事な部分だと思います。

文章を拝見しますと、とにかくお金を大事にして何とか増やしたいと願っておられ、投資は減る事も十分にありうるという事は、どこか抜け落ちている可能性があると思いました。

インデックス投資, 退職金なし, 積立金額, リスク (写真=PIXTA)

現在40代後半ですと、今後10年くらいは積み立て投資をすることができると思います。となるとこの間に、とんでもない大暴落も必ず味わう事になると思います。この時、例えば現在の貯金600万円を丸々投資に回していたら、リーマンショッククラスの大暴落が襲った時には、投資資金は300万円に一気に減少する事になります。

国内債券は安全資産ですからそう大きく動かないとしても、株式クラスは5割~6割くらい、外国債券でも4割くらいは平気で下落することが有り得ると、肝に銘じてください。

大暴落は絶対に来ますし、その時はASさまもその荒波から逃げる事は決してできません(唯一、大損して投資から撤収する、という事は可能ですが)。

投資をするときには、こういった最悪のケースをしっかりとイメージしたうえで、「では自分だったらそれに精神的にどれだけ耐性があるのか」をおぼろげながらも分かっていなくてはなりません。

最大で5割の資産減なんてとんでもない!と言うのであれば、リターンは少なくなってでも安全資産である国内債券の比率を大きくする必要が有ります。

このあたりの比率の調整を、まずは考えましょう。これこそが長期投資で極めて大事な、アセットアロケーションというものです。

アセットアロケーションを最初に決めておけば、とんでもない事態が発生しても、気持ちは動揺するでしょうが、「ああ、なるほど、これがあの時想定していた最悪のケースに近いやつなのね」と、理屈で冷静さを取り戻しやすくなります。

積立金額は、いくらでも構いません

今の株価が高いから、投資金額を押さえたほうが良いのかどうか、これは後講釈の世界になりますので、何とも申し上げようがありません。

確かに世界的に株高だとは言われていますが、だからといって今後株価が安くなるのかは分かりませんし、今後10年でさらに2倍になるかもしれません。株価の見通しなど、プロでも当たらないのですから、私たちのような超素人がが想像するだけ、無駄ではないでしょうか。

そもそも、アセットアロケーションを考えるのであれば、投資元本に対してどの程度の損失に耐えうるかどうか、投資の最初の段階で決まっている事になります。損失が出たところで、それが想定の範囲内であれば、全く心配するところでもなんでもありません。

投資において、時間の分散をどう考えればよいか?の質問にもあった通り、一括投資も時間分散の投資も、投資先の期待リターンが変わらないのですから、どちらが有利とか不利などと言うものはありません。単に、ご自身の精神的な負担のみの世界です。

ASさまがどちらかと言うと不安症気味なのであれば、とうぜんアセットアロケーションは安全資産重視でやるべきでしょうし、一括投資よりも時間を分散したほうが、精神衛生上宜しいかと思います。

しかし、お金は今の現実を如実に映し出す鏡です

お便りを拝読していると、要は現在は600万円の貯金しかない状態で、もう10年しか投資する期間もありません、そして退職金が出ないので資金を増やす手段が極めて少ないです、というようなことが分かってきます。

インデックス投資, 退職金なし, 積立金額, リスク (写真=PIXTA)

元も子もない事ではありますが、お金は100%現実を映し出す鏡なので、とにかく現実を直視するしかありません。退職までにどのくらいのお金を貯めることができるのか、年金と貯金でどの程度の水準の老後の暮らしを実現できるのか、そこをイメージして投資金額を出すのも1つの手だと思います。

投資期間が10年では、本当に資金を増やせるかどうか、不安なところが有ります。基本的には600万の貯金はリスクにさらさないで保有したままのほうが良いような気がします。

そして、現在のお給料から、既に実施しているイデコとセゾン投信での積み立て投資を継続して実行するほうが現実的なのではないでしょうか?(今後10年間、43000円を積み立てるとしたら、これだけで、元本は516万円にも上ります。)

投資をすると、どんな人でも必ず欲望に目が眩みます。そして当初とは違って、妙な行動をとらないとも限りません。

これが無くなったら本当に人生が詰んでしまうゾーンに近いような600万円を、僕だったら投資には回さないと思います。600万円は、姉妹サイトの定期預金の鬼を見て頂いて、少しでも高金利のところに預け入れて、無リスクで極力増やすようにすると良いでしょう。

お金がない人がやるべきは、投資よりもまず、収入を増やす事と支出を減らす事です。少額の積み立て投資以外は、その後で考える事です。(というか現状の43000円で十分な投資額だと思います)

収入を増やす手立ては他に無いのか、夫婦で徹底的に話し合って、アイデアを出すのが先決ではないでしょうか。体が弱くてもお金になる事なんて、世の中にはたくさんあるのですから。

たぶん、節約はもう十分にやりつくしているでしょうから、とにかく収入増を図るのが一番だと思います。老後も働ける手段を確保するのも大事ですね。

可能性は低いとはいえ、生活が破綻する可能性がある人は、投資で無理に増やす事を考えるのは、とても危険です。今一度冷静に考えて頂いて、現実的な対処をしましょう。

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