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9月までに確定拠出年金を始めないと年末調整できなくなる!?

会社員でもできる老後の資金と節税の一石二鳥な年末調整

会社員でも年末調整で節税できる方法があることをご存知ですか? 将来の年金も増やすことができ、手元のお金も節税できる賢い方法、それが「確定拠出年金」です。

では、いつまでに始め、申告はどのようにすればいいのでしょうか。確定拠出年金を開始するタイミングから書類の書き方、必要書類まで、まるっと解説していきます。

年末調整とは

会社員であれば、「年末調整」についてはご存知の方がほとんどではないでしょうか。しかし、何を調整しているかまで把握している方は案外少ないかもしれません。年末調整では、私たちが本来納税すべき所得税を正確に計算し直しているのです。

所得税は、その年の収入に(1月1日~12月31日)から個別の条件を差し引いた「課税所得金額」に税率をかけて決まります

  • 所得税額= (年間収入−控除額) × 税率

けれども、会社員の場合は毎月の給与からあらかじめ決められた一定金額が先に差し引かれていて、これを「源泉徴収」といいます。

源泉徴収には、給与所得者の所得控除、配偶者控除または配偶者特別控除、生命保険料控除、地震保険料控除、住宅ローン控除といった個別の事情が反映されているわけではないので、年末にそれら個別の事情を差し引いた「本来納付すべき所得税額」を正しく計算し直しているのです。

例えば、1年の途中で生命保険などに加入した場合も、年末に生命保険料控除を使うことによって所得税の還付につながります。つまり、1年の間には個別の事情も変わるので、最終的に年末で全て調整して納税をする仕組みというわけです。

確定拠出年金で年末調整得するためのステップ

確定拠出年金で年末調整する手順は次の通りです。

①「証明書」を受け取る

確定拠出年金をスタートしていると、10月から11月下旬に運営管理会社から「小規模企業共済掛金払込証明書」というものが送られてきます。これを大切に保管しておいてください。もし紛失したときは、運営管理会社に問い合わせて再発行してもらいましょう。

年末調整では以下のようなものが控除され、人それぞれ控除される項目が異なります。

・基礎控除
・配偶者控除または配偶者特別控除
・生命保険料控除
・介護医療保険料控除
・個人年金保険料控除
・地震保険料控除
・小規模企業共済等掛金控除

確定拠出年金は「小規模企業共済等掛金控除」に該当します。

確定拠出年金を年末調整するためには、生命保険料控除などを使うときと同じように「小規模企業共済掛金払込証明書」が必要となるのです。

②書類に金額を記入する

いよいよ、年末調整の時期になりました。

「給与所得者の保険料控除申告書 兼 給与所得者の配偶者特別控除申告書」という書類の右下に「小規模共済等掛金控除」という欄があります。ここに、自分が払い込んだ金額を計算して記入し、会社の担当者に提出しましょう。

確定拠出年金として支払ったお金は個人年金保険料ではなく、制度上は「小規模共済掛金」となります。個人年金保険料とは異なりますので注意が必要です。

imageTitle 「給与所得者の保険料控除申告書 兼 給与所得者の配偶者特別控除申告書」を見ていただくと、右下に「小規模共済等掛金控除」という欄があります。確定拠出年金はここに記入します。(画像=筆者提供)

気を付けねばならないのは、年末調整で記入できるのはその年の9月までに始めた人に限られるということです。10月以降に始めた人にこの証明書が届くのは、年明け1月もしくは2月ですので年末調整に間に合いません。

さらにもう一つ注意していただきたいのは記入する金額です。「小規模企業共済掛金払込証明書」には毎月の掛金の金額しか記載がありません。生命保険料控除証明書のように、払い込んだ金額と12月までに払い込むであろう「見込み」の保険料が書いてあるわけではないのです。自分で払い込んだ金額を計算して記入しなければなりません

また、10月~12月に払い込んだ分は、払い込み済みが明記された通帳のコピーを一緒に提出することで年間分の控除ができます。確定拠出年金を10月以降に始めた人は、証明書が届いたら確定申告をすることで、所得税の還付が受けられます

その年の年末調整に間に合わせるなら7月までに加入申し込みを

個人型確定拠出年金は、公務員や専業主婦なども誰でも加入できる制度です。しかし、会社によっては個人加入できない人もいるので、自分は加入資格があるのか確認しましょう。

加入資格があれば、まず、金融機関で確定拠出年金の口座を開きます。各金融機関より、さまざまな特色があり、商品ラインナップや手数料などを比較検討して、自分に合ったところを選ぶとよいでしょう。

ただし、加入申し込みの書類請求し、必要事項を記入して返送したとしても、実際に運用が始まるまでには2カ月程度かかるのが一般的です。確定拠出年金の控除をその年の年末調整で使いたいならば、7月くらいまでには手続きを始めていきましょう。また、10月以降に始めた人については年明け2月頃に「小規模企業共済掛金払込証明書」が届くので、自分で確定申告をしてください。

9月までに確定拠出年金 (写真=sakkmesterke/Shutterstock.com)

年末調整に必要な書類一覧

年末調整にはさまざまな控除がありますが、会社員の場合、健康保険や厚生年金などの社会保険料は会社から納付しているので証明書を添付する必要はありません。

準備の必要がある書類には下記のようなものがあります。該当書類がない人は、もちろん準備の必要はありません。

  • 給与所得者の扶養控除異動申告書
  • 給与所得者の保険料控除申告書 兼 配偶者特別控除申告書
  • 配偶者の源泉徴収票など配偶者特別控除
  • 生命保険料控除証明書
  • 医療介護保険料控除証明書(生命保険料控除証明書等に記載)
  • 個人年金保険料控除証明書(生命保険料控除証明書等に記載)
  • 地震保険料控除証明書
  • 小規模企業共済掛金払込証明書
  • 「住宅借入金等特別控除証明書」と「住宅取得資金に係る借入金の年末残高等証明書」(住宅ローン控除用、2年目以降)

なぜ確定拠出年金がお得なの

年末調整で支払った保険料が控除されることは知っていても、どんな計算で控除金額が決まるかを知っている方は少ないようです。

生命保険料控除などでは、年間に支払った保険料が全て控除されるわけではありません。何種類も保険に加入していたとしても、税法上で定められた上限以上の控除はできないのです。

2010年の税制改正により、新生命保険料控除では年間の支払い保険料が8万円以上で4万円が控除されます。3つの控除を全て満額使っても控除できるのは12万円の控除となります。

しかし、確定拠出年金は支払った金額が全額所得控除できるので、同じ24万円支払ったとすると、差額の12万円×税率分が節税できます。この全額控除になるということが、確定拠出年金はお得だと言われている理由です。

確定拠出年金は老後のために節税しつつ貯蓄できる最強の制度

会社員の方は年末調整で所得税の納税までが完了してしまうので、「年末調整を使って節税する」という意識がない方も多いかもしれません。しかし、公的な制度を使うことで老後のための年金も準備でき、節税にもつながるとしたら、活用しない手はないと思いませんか。

手元に残るお金を増やすことができるということは、普通預貯金に貯蓄している金利以上の収入があったことと同じです。例えば、企業型年金がない会社員が拠出できる上限金額の2万3000円を1年間続けると、27万6000円控除できますね。所得税率が10%なら、2万7600円の所得税還付と、さらには住民税10%の節税にもつながるのです。

年金の準備もできて節税にもなる確定拠出年金。この夏からから始めてみてはいかがでしょうか。

黒須 かおり
AFP、相続士(日本相続士協会)。女性を中心に、一生涯を見守るFPとしてライフプランのコンサルティングを行う。現在女性起業家を中心とするコンサルタントとしても活動中。FPcafe登録FP

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