(写真=筆者撮影)

今、なぜ日本で小屋ブームが起きているのか?【小屋ブームを知る・前編】

始まりは「幸せって何だろう?」でした

今、「小屋」が密かなブームになっているらしいです。

2017年4月には、良品計画 <7453> が「無印良品の小屋」を発表。今秋から税込み300万円にて、一般向けに発売することが決まっています。

そんなことは言っても、自分の周囲で小屋に暮らしている人なんて聞いたことがないんですが……。

「小屋ブーム」は本当なのでしょうか?小屋暮らしの認知拡大・普及に取り組む「YADOKARI」にインタビューをしてきました。

「小屋ブーム」は本当だった!

YADOKARIは、ミニマルライフやタイニーハウス、多拠点居住といったライフスタイルに関する情報を発信することで、時間や場所、お金に縛られない新たなライフスタイルを提案している株式会社です。2015年には、10棟限定で約14平方メートルの小屋を販売し、すでに完売。今年7月26日には小屋に特化したメディア「TINYHOUSE ORCHESTRA」をリリースしました。

今回、取材に協力してくれたのは、同社のTINYHOUSE ORCHESTRA事業部長、相馬由季さんです。

ーー今日はよろしくお願いします!今、小屋ブームって聞くのですが、本当に注目されているのですか?

ここ数年でブームが来ていて、小屋専門の雑誌や書籍もけっこう出版されています。雑誌ではタイトルに「小屋」と入っているだけで売れるそうですよ。2年ほど前には「小屋フェス」も開催されて、盛況だったそうです。

ーー良品計画以外にも小屋を販売するメーカーはあるんですか?

最近は良品計画以外にも、小屋を販売するハウスメーカーや工務店が増えています。車輪が付いているもの、基礎を地面に固定するものと両方あるんですが、小さくて、気軽に買えて、移動ができる。住まいとまで言えるのか分からないですが、今、そういった小屋は増えていて、注目を集めていると思います。

日米で「タイニーハウスムーブメント」が起きた理由

ーー小屋が注目を集めるようになったきっかけは何なのでしょうか?

アメリカでタイニーハウス(小屋)ムーブメントが起きたことは知っていますか?

ーーいえ、知りません……

きっかけはリーマンショックだったと言われています。

それまで、アメリカではいわゆる「プール付の一戸建て」が夢だとされていました。でも、リーマンショックが起きて「幸せってなんだろう?」と考えたときに、家賃のために働き、家のために働く場所を考え、家賃のために生き方が決まっていくのって本当に豊かな生き方なのかと、住まいについて考え直す人が出てきたんですね。

ーー相馬さんはアメリカに行って、実際にタイニーハウスに住まれている方とお会いしたことがあるそうですが、そういう方はどういうことをおっしゃっていますか?

かつては忙しく毎日過ごしていた人や、大きな家に住んでいた人も多いです。みんないろんなきっかけで「幸せって何だろう?」って見つめ直して、タイニーハウスを知って、作れるなら作ってみよう、作ってみて、住みはじめた人が多いですね。

小屋7 (写真=筆者撮影)

ーー幸せってなんだろう?と考えたきっかけはどういうものがあるんですか?

例えばリーマンショックもそうですし、大切な人の死、激務で体調を崩したとか。

タイニーハウスに住む人はすごく幸せそうでした。何かから解放されたような……。

タイニーハウスに住むようになって、人とのコミュニケーションも逆に密になった、という人もいますね。タイニーハウスって狭いんですけど、逆に、人が遊びに来るようになったとか。

タイニーハウスを自分で作る過程を通して、タイニーハウスの仲間とも知り合ったとか。人とのつながりがあったり、暮らし方が本当に丁寧だったりして、すごく豊かだなぁと思いましたね。

ーー1回、自分の暮らしを見直したというか、過去の暮らしを整理整頓した結果、余計なものがなくなって、幸せになった、ということでしょうか?

そうですね。今までの暮らし方が180度変わったという人も多いようでした。

アメリカと日本で事情は違うと思いますが、フリーランスみたいにパソコン1台で仕事ができる人が多いですね。タイニーハウスで暮らすために、自由にできる仕事に変えたっていう人もいました。一方で、行政の仕事をしながらタイニーハウスに暮らしている人もいました。

ーー日本で注目されたのはいつごろなんでしょうか?

日本で小屋暮らしが注目されたのも3.11の後だったのではないかと思います。

アメリカのリーマンショック後と同じことが起きたんですね。幸せってなんだろう、本質的な豊かさってなんだろう、と考え直したときに、出費の大きな家賃を見直して、本当に好きな人、好きなものにお金や時間をかけようと考える人が増えてきたのではないかと思います。

本来、居住にかけるお金や空間はもっと小さくていいのではないかと。お金の使い方と、物をどう持つのかと幸せって関連してきますよね。

タイニーハウスに「幸せの可能性」を感じた

ーー相馬さんご自身が小屋に興味を持たれたきっかけは何だったんですか?

私はもともと不動産というか、ライフスタイルとか生き方全般に興味ありまして、大学卒業後、ログハウスのハウスメーカーに勤めていて、そこで小さいログハウスを扱ったりしていました。

そんな中、今から3〜4年前にたまたまタイニーハウスに関する記事を読んだんですよ。「なにこれ、車輪ついて動いてる!しかも家なんだ!」っていうのにすごく衝撃を受けて。

タイニーハウスについていろいろ調べているうちに、ワークショップに参加してタイニーハウスを作ったり、アメリカに行ってタイニーハウスに住んでいる人の話を聞いたりするようになりました。単にデザインが良いとか、小屋が動くのが面白いとかっていうのじゃなくて、タイニーハウスに住んでいる人の考え方、生き方とかが、すごく面白いんですよね。キラキラしているというか。

タイニーハウスって深いんですよ。知れば知るほど、いろんな可能性があるなと感じます。

そこで、勤めていたハウスメーカーは今年の4月末に辞め、5月からYADOKARIに転職しました。好きで調べていたものが、いつの間にか仕事になっちゃいました(笑)。

ーータイニーハウスに魅了されたときって悩みとかあったんですか?

うーん、そうですね……。もともとお金持ちになりたいとか、大きな家に住みたいとか、ものをたくさん持つことに幸せを感じてはいなくて、(幸せは)もっと違うところにあるんだろうなとは思っていました。もっと、好きな人と、好きな場所で、好きな仕事をしながら生きていたいなと。

ーー「お金持ちになりたくない」と思ってはいたけど、何かそこに疑問を持っていたということでしょうか?

私個人の環境というよりは、社会全体として、ひたすら働いて稼いだお金はほとんど家賃に消費されていって、それを繰り返して年を取って死んでいく、という環境があり、そこに疑問を感じていたのだと思います。

もっと、幸せに生きられるんじゃないか。もっと、選択肢が多い世の中になればいいのに、と。

そんな中でタイニーハウスを見て、生き方が広がっていく可能性を感じたんですよね。

小屋5 (写真=筆者撮影)

中編では、小屋の購入費用の相場やコスパを深掘り!

小屋(タイニーハウス)ブームの出発点が「幸せってなんだろう?」だったとは、少し驚きました。小屋にはまだまだ、私たちの知らない世界がありそうです。

中編では、気になる小屋の購入費用やコスパについて深掘りしてみました。(中編に続く)

取材に協力してくれたのは

YADOKARI

タイニーハウスの販売や、タイニーハウスに関連するメディアやイベントの企画・運営を行う。「ミニマルライフ」「タイニーハウス」「多拠点居住」などを通じて、場所・時間・お金に縛られないライフスタイルを実現し、人生の満足度、幸福度を向上させることを目指している。豊かなライフスタイルをテーマにした書籍『月極本』も発行しており、最新刊に『月極本3 好きなお金、嫌いなお金。』がある。日本の小さな住まいの実例集、『ニッポンの新しい小屋暮らし』(光文社)も発売中。

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