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「積立保険」はお金を貯める選択肢となり得るか

保障を確保しながら上手に貯蓄する方法

「マイナス金利時代、どうすればお金を貯められるんだろう?」
「何かいい方法があれば教えてほしい……」

そう思っていたAさんは、生命保険の営業員から「保険は貯蓄になる」「積立保険にすればお金が貯まりますよ」と勧められたそうです。しかし「積立保険は本当にメリットがあるの?」「積立保険を貯蓄の選択肢に入れてもいいの?」という疑問がわいたといいます。

今回は、積立保険のメリット・デメリットなどを見ながら、このAさんの疑問を考えていきましょう。

積立保険っていったいどんな保険?

積立保険とは、満期や解約時に積み立てたお金が戻ってくる「貯蓄性の高い保険」の総称、つまり「掛け捨てではない保険」を指します。

積立保険の代表的なものに、終身型の生命保険、学資保険、個人年金保険、養老保険などがあり、損害保険でも火災保険、傷害保険には積立商品があります。

どの商品にも保険と付いているように、これらはすべて保険商品です。保険の機能と貯蓄の機能の両方を備え、契約者が払い込んだ保険料は保障部分と運用部分に分かれています。そのうち、保障部分に回されるお金が保障保険料として使われるというわけです。保険と預貯金の根本的な違いはここにあります。

そのことから考えても、一般的に途中で解約した場合などに戻ってくる解約返戻金は、払い込んだ保険料よりも少なくなります。ただし、一部の保険では100%戻ってくるものもあります。

積立保険でお金が貯められるか

かつてバブル時代と言われた1985〜1990年には、6%という予定利率だった時もありました。当時その利率で契約した保険を、今でも継続している人がいれば、まさに「お宝保険」といえるでしょう。予定利率が高ければ貯蓄機能が十分に発揮されるため、払い込んだ保険料より満期返戻金や解約返戻金が大幅に増えるからです。

しかし、今は低金利の時代です。しかも2017年4月から標準利率が0.25に下がり、貯蓄性のある保険の多くが保険料の値上げをしたり、保険商品自体を売り止めしたりしています。これから積立保険を考えている人にとっては残念なことですが、とても積立貯金の代わりになるとはいえない状況です。

では、終身保険を使ってどのくらいお金を増やすことができるのか 実例を見ながら説明をしたいと思います。

【終身保険―60歳払込満了・死亡保険金200万円の場合】

40歳女性
・月額保険料=6810円
・年間支払額=8万1720
・20年間(40歳~60歳)の保険料支払総額=163万4400円
・払戻率=102.9%
・払込満了時の解約返戻金=168万2380円

20年間で4万7980円、約3%増えたことになりますね。これを年利に直すと0.29%です。今、都市銀行の定期金利は0.01%、個人向け国債は0.05%、利率が高いとされるネット銀行などでも0.1%程度です。それを考えると年利0.29%はお得と考えていいでしょう。

積立保険をすると損をする商品もある?

積立保険は注意すべきポイントが多い保険です。

まず、終身保険の最近の傾向として「低解約返戻金型」の商品が多くなっています。低解約返戻金型とは、払込満了前に解約した場合の払戻返金額が、払込み保険料の累計額よりもずっと少なくなるタイプの保険です。その代わり、満期の解約払戻金はグッと増えます。言い換えれば、払込満了前に解約すると大きく損をするということになりますね。

次に抑えておきたいのが払戻率です。先の例で出した「約103%払戻率の保険商品」は払戻率が高く設定されていますが、この払戻率は保険会社によって違います。大手保険会社の低解約返戻金型ではない終身保険には、払い込んだ累計保険料の総額よりも、死亡時などに受け取ることができる保険金や、解約返戻金の額が少なくなる商品もあります。

例えば、60歳満期で死亡保障が300万円の終身保険に40歳男性が入った場合、保険料の累計払込額が約330万円になる商品もあります。つまり、満期まで払い込むと元本割れしてしまうというものもあるということです。

貯蓄性のある終身保険として加入したにもかかわらず、払い込んだ保険料より受け取れる保険金が少ないということもあるのです。ですから、積立保険を検討する際には、総支払額と解約返戻金の額は必ず確認することが重要です。

保険は超長期の固定金利!

また、注意していただきたいのは、多くの終身保険が超長期の固定金利だという点です。なかには、利率変動型保険などの変額保険もありますが、多くは申し込んだ時点の利率で運用されます。

保険は20年30年、場合によっては40年以上も契約が続く商品です。しかし、金利は変動するもの。この低金利はこの先何十年も続くでしょうか? 途中で金利が上昇するかもしれません。つまり、保険商品というのは、低金利のときに契約をすると、その後もずっとその金利が維持されるため、不利な商品になってしまう可能性があるのです。実際、予定利率が高かった20年以上前の保険商品は、今では「お宝保険」と言われています。

また、保険はインフレにも弱い商品なのです。バブル以降、デフレが続く日本では、物価が上昇するという機会があまり訪れていません。もし、物価が上昇すれば、お金の価値は下がります。

例えば、子供の入学金資金に400万円を貯めようとして、400万円の学資保険に入ったとします。ところがその後、物価が上昇して入学金が600万円になったとしたら、学資保険の400万円だけでは足りなくなってしまいます。

もっとも、今の経済を見ていると、物価がすぐに上昇するとは考えにくいのですが、20年後、30年後もそうだとは限りません。

積立, 保険, 積み立て, 死亡保障, 貯蓄, 終身保険 (写真=TijanaM/Shutterstock.com)

積立保険を選んだほうがいい人もいる?

積立保険のデメリットを書いてきましたが、有効活用する方法もあります。基本は保険ですので、死亡保険金を自分で受け取ることはできませんが、お金を残したい相手に託すことはできます。これが死亡保障としての活用です。

そして、終身保険の一番のメリットは相続税対策として有効な手段であること。死亡保険金には非課税枠があり、相続に活用することで相続税を抑えることができるのです。

また、貯蓄としてお金を毎月積み立てていくのが苦手な人には、この「積立保険」は魅力に映ることでしょう。しかし、貯蓄としては必ずしも良い方法とはいえません。なぜかといえば、もっと効率よくお得に毎月積み立てられる方法がいくつもあるからです。

そのお得な積立方法をいくつか紹介しましょう。

毎月積み立てるならコレがお得!

貯金が苦手と言う人の多くは、「毎月の給料から支出をして残ったお金で貯蓄をする」と考えていますが、それではなかなか貯まりません。本当に貯めようと思うのならば、逆に「給料から貯蓄分を差し引いた分が支出に充てられるお金」と考え、先に貯蓄分を確保するのです。

そこで、ほぼ強制的に貯蓄に回っていくシステムに加え、お得な制度がある金融商品を紹介しましょう。

確定拠出年金

もっともお得なのは「確定拠出年金(☆)」です。確定拠出年金は、掛け金が非課税なので税金が抑えられ、老後資金作りにもっとも適している積立方法なのです。毎月一定額が引き落とされ、年払いも可能です。また、契約者が死亡した場合も、死亡保険金と同じく非課税枠があります。

積立NISA

2018年1月から始まる「積立NISA」は、現行のNISA(☆)より小額で始められ、最長20年間保有できて、配当益・譲渡益に税金がかからないという制度です。こちらも積み立て分は毎月引き落としになるので、積極的に貯められないという人にもってこいでしょう。

財形貯蓄

「財形貯蓄制度」がある会社に勤めているなら、これを利用してはいかがでしょうか。給料から天引きされ、会社によっては金利の優遇も受けられます。また、年金貯蓄と住宅貯蓄は非課税扱いになり、有利に積み立てていけます。

☆確定拠出年金(かくていきょしゅつねんきん)とは?
公的年金や企業年金にプラスするかたちで自分で積み立てる「年金」のこと。拠出したお金を、投資信託などで運用する。個人でも節税ができることや、2017年1月から加入対象者が拡大したことから、いま、老後資金づくりの方法として注目を集めている。(参考:これなら分かる!「確定拠出年金」がお得と言われる理由

☆NISA(ニーサ)とは?
金融商品を売買する口座の一種。通常、株取引などで出た利益には20.315%の税金がかかるが、NISA口座であれば利益に税金がかからない。世の中のたくさんの人に投資を始めてもらいたい、という趣旨で設けられた制度。(参考:税金ナシ!NISA活用法と、お金のプロがコッソリ教える「お得」情報

低金利時代は「保障と貯蓄は分けて」がベター

このように、「積立保険」はそれ自体が損しやすい商品なのではなく、低金利時代では魅力が半減してしまうということなのです。

できるだけ効率よく保険も貯蓄も手に入れようと思ったら、保障と貯蓄は分けて考えるほうが有利になります。積み立ては、税金の優遇を受ける有利な方法として活用すれば、意外と貯まっていくものです。ぜひ試してみてください。

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