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扶養家族とは何か説明できる?健康保険と厚生年金で異なる扶養条件を徹底解説

定義が違うこと、知ってますか?

社会保険の仕組みについて調べると、たびたび「扶養家族」という言葉を目にします。何となく「保険料を支払ってる人に養われている家族」という意味であることは分かっていても、その基準をしっかり説明することはできますか?

また、健康保険と厚生年金では「扶養」の条件や定義が異なることにも注意が必要です。この機会に、社会保険における扶養家族とは、どのような人が当てはまるのか確認してみましょう。

社会保険の扶養家族とは?

社会保険制度における「扶養家族」とは、被保険者(保険加入者)の収入によって生活する者(被扶養者)のことを言います。

では、一体どのような人が「被扶養者」に当たるのかというと、「扶養」の条件や定義は保険によって異なります。

そもそも社会保険とは、

 ①国民年金や厚生年金などの「年金保険」
 ②国民健康保険と、健康保険組合や全国健康保険協会による健康保険を含む「公的医療保険」
 ③その他、40歳以上の人が被保険者となる介護保険、雇用保険、それに労災保険など

のことを言い、「扶養家族」を基準に考えた場合、社会保険は「①年金保険」と「②健康保険」に分けることができます。

健康保険の扶養の条件・定義

まず、健康保険における扶養の条件や定義を確認してみましょう。健康保険の場合、加入している組合ごとにルールが異なり、被扶養者の定義も組合によって幅広いものとなっています。今回は、全国健康保険協会(以下、協会けんぽ)が管理する「全国健康保険協会管掌健康保険」に加入しているとして、扶養の定義を解説していきます。

被扶養者とは?

協会けんぽでは、被扶養者を以下のように定めています。

  1. 被保険者の直系尊属、配偶者、子、孫、兄弟姉妹で、主として被保険者に生計を維持されている人
  2. 被保険者と同一の世帯で、主として被保険者の収入により生計を維持している人のうち以下の者
    a)被保険者の3親等以内にあたる親族のうち1に該当する人を除く
    b)被保険者と婚姻の届出はしていないが事実上婚姻関係と認められる人(事実婚)の父母および子
    c)aの配偶者が亡くなった後における父母および子

それでは、上記2つの条件を詳しく見ていきましょう。(1)の「尊属」とは、親、祖父母、曾祖父母、父母やそれよりも目上の血族を指します。また、ここで言う「配偶者」には、戸籍上の婚姻関係はなくても事実上同等と認められる、事実婚の相手なども含まれます

「主として被保険者に生計を維持されている」とは、必ずしも被保険者と同じ家で一緒に生活している必要はなく、被保険者の収入によって生計が成り立っている状態を指しています。例えば、夫と世帯を別にしていても夫からの金銭的支援によって生活している妻子や、家を出ていても、親からの仕送りで生活が成り立っている子は、それぞれ夫、親の「被扶養者」となります。

一方、(2)の「同一の世帯」とは、被保険者と同居して家計を共にしている必要があります。(a)の「3親等以内の親族から1を除く人」には、曽孫、叔父叔母、伯父伯母、甥姪とその配偶者が該当します。また、後期高齢者医療制度の被保険者等である人は、上記の被扶養者から除外されます。

なお、被扶養者が「主として被保険者の収入によって生計を維持されている状態」は、認定対象者が被保険者と同居しているかどうかにより、以下の基準で判断されます。

【被保険者と同居の場合】
原則的に、認定対象者の年間収入が130万円未満かつ被保険者の年間収入の1/2以下であること。

【被保険者と同居していない場合】
認定対象者の年間収入が130万円未満かつ被保険者からの援助による収入額より少ないこと。

いずれの場合も、認定対象者が60歳以上であったり、障害厚生年金受給対象になる程度の障害がある場合は年間収入180万円未満とされます。

社会保険, 保険, 健康保険, 年金, 扶養, 被扶養者 (写真=Evgeny Atamanenko/Shutterstock.com)

厚生年金の扶養の条件、定義

厚生年金における扶養の条件や定義はどうでしょうか。厚生年金の場合、被扶養者に該当するのは「20歳以上60歳未満の配偶者」となります。年齢に加え、該当するのは配偶者に限定されていることが、健康保険の被扶養者の条件・定義と大きく異なる点です。なお、収入の基準は健康保険と同じです。

また、厚生年金の被扶養者は、国民年金の「第3号被保険者」となります。「第2号被保険者」(妻が第3号被保険者の場合は夫)が厚生年金に加入して保険料を支払いますが、被扶養者分の保険料負担が増えることはありません。

2017年度の国民年金保険料は一律で月額1万6490円ですが、この負担額で被扶養者の将来における老齢基礎年金をまかなうことができるのです。

手続きの際はしっかり確認しよう

健康保険と厚生年金では、扶養家族の条件や定義が違うことを知らなかった人もいたのでは? 社会保険の手続きをする機会はそう多くはないため、間違ったまま過ごし、いざそのときになってから慌ててしまうことがないよう、しっかりと確認しておきたいですね。

なお、企業ごとの健康保険組合など、協会けんぽ以外の健康保険に加入している場合は、その組合における扶養家族の基準を照合する必要があります。自分の加入している健康保険組合に問い合わせてみましょう。

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