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「結婚したら転職」で本当に大丈夫?メリット・デメリットは
ライフスタイルの転換期、転職のベストタイミングを見極めるには
最近は、結婚・出産後もバリバリ正社員として働いている女性が多くなりました。しかし、今の仕事をこのまま続けていけるのか不安を感じている方も多いのではないでしょうか。
「今はこの働き方ができるけれど、結婚・出産したら難しいかも……」と考えている女性が、ライフスタイルの転換期に差し掛かったとき、転職を図るタイミングをどう見極めていけばよいのでしょうか。
「結婚・出産の前後に転職をした」が64%
女性向け就職・転職情報サービスのとらばーゆが、30代の働く既婚女性1000名を対象に行った「結婚後の働き方」に関する調査(2014年)によると、「結婚・出産の前後に転職をしましたか?」の問いに対して、64%の女性が「転職をした」と回答しています。
結婚・出産の前後に転職をした女性に、現在の職場を選んだ理由を聞いてみたところ、
・前職より労働時間が短いから=46% ・休日・休暇が安定して取れるから=34%
この2つが全体の80%を占めていました。つまり、転職に際して、時間的に融通がきく職場を選んでいる割合が大きいといえます。
この調査により、結婚というライフスタイル変化に伴って仕事との両立を踏まえたとき、多くの女性が、家庭に軸足を置いた働き方をしていきたいと考えている傾向が見えてきます。
転職を勧めたいケースとは
転職は、やり方によってはそれまでのキャリアが一度リセットされてしまう恐れもあります。それでも転職したほうがいいケースとしてはどんなものがあるでしょうか。
とらばーゆが2015年に30~39歳の既婚女性1030名を対象に実施した「生活・仕事」に関する調査では、結婚をきっかけに転職した人は「給与」よりも「勤務時間」「勤務地」を重視していることが分かりました。
つまり、自身のキャリアアップや年収アップよりも、「働き方」に重きを置いたと見ることができます。
転職後の満足度にもっとも影響を与えた要因には、「土日休みの可否」「休日・休暇の取りやすさ」や「勤務時間」「勤務地」などが上位を占めています。
これらの結果から、結婚後は、ある程度柔軟に会社を休めることや、仕事に関わる拘束時間の少なさを重視したい人は、結婚を期に転職に踏み切ることを検討してみてもいいでしょう。
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結婚前転職のデメリット
逆に、結婚するからといって、安易な転職は避けたほうが良いケースには、どういうものがあるでしょうか。
大手転職支援サービスのDODAが2015年に開催した「DODA女性のための転職フェア」の講演では、転職を考える女性が視野に入れておきたいこと、結婚・出産などを含めた転職のベストタイミングなどについて語られました。
この講演で講師を務めたDODAキャリアアドバイザー ゼネラルマネジャーの川嶋由美子さんによると、産休・育休が必要になる可能性を考慮して転職を考えたとき、メリットよりもデメリットのほうが大きくなる可能性もあるといいます。
結婚前後の転職では、多くがまだ子どものいない時点での転職活動になります。入社後は基本的にフルタイムで働くことができ、ある程度の残業も可能であることから、志望先の選択肢を広く考えることができるでしょう。
注意したいのは、転職してから一定期間、出産や子育てがしにくくなる可能性もあるということです。企業によっては、入社後1年未満だと育児休業が取れないということも。また、転職後は新しい環境で仕事に慣れることが最優先になりがちなうえに、転職後1~2年は実績を積まないと、人間関係の面でも産休・育休が取りにくいという一面も考えられます。
出産のライフプランや待遇面など希望に合わない場合は、いったん思いとどまって現在の会社に在籍しつつ、様子を見ていくことを視野に入れてもよいかもしれませんね。
正社員ではなくなるということは
企業によって差はあるものの、一般的に、正社員に対して契約社員・パート社員は、給与・業績賞与の有無、退職金のダウンやカット、昇進・昇給の有無、福利厚生や各種手当の違いなど、さまざまな待遇に差があります。もちろん、キャリアの観点で考えても、任される業務範囲が狭くなるなど、やりがいの点においても大きく変わってくることが考えられます。
自分自身の優先順位を明確に付けたうえで、収入がダウンしてもライフワークバランス重視で生活していきたいのか、よく考えて選択していくことが大切なのではないでしょうか。
どんな選択にもメリット・デメリットがある
また、結婚後の働き方について、自分一人だけで決めてしまうのも考えものです。結婚して家族になる相手の考え方も聞き、話し合い、自分のキャリアプランやライフプランについて方向性をよくまとめておくことが大切でしょう。
優先順位をどのように付けていくかによって、転職するのかしないのか、そして、転職したい場合は候補の企業、さらに転職するタイミングなども変わってきます。当然のことながら、それぞれの選択にはメリットもあればデメリットもあるのです。
一度築いたキャリアを手放してしまうと、もう一度同じステージに立とうと願っても、たやすいことではないでしょう。さまざまな観点からよく見定めて、後悔しない選択をしていきたいものですね。