(写真=Syda Productions/Shutterstock.com)

節約家ではなく、賢約家になろう

支出を抑える事も同じくらい重要です。

老後のための資金を用意するためには、資産運用も重要ですが、まずは原資となる運用資産を増やす事です。

1000万円を運用で1200万円に増やすのは幸運が必要ですが、200万円だけ余計に貯金する事は努力と工夫次第で何とかなります。最も重要なのは、老後も働いて収入を得続ける事ですが、支出を抑える事も同じくらい重要です。

「支出を抑える」と聞くと「遠くのスーパーまで発泡酒の安売りを求めて歩いて行く」というイメージがありますが、その前にするべき事があります。生活を見直すことです。

あなたの入っている生命保険は必要ですか?

生命保険は、期待値を考えれば「損な取引」です。保険会社が支払う保険金額を予想して、それに保険会社のコストや利益を上乗せして保険料を決めているのですから、当然ですね。それでも、保険に入る必要がある人は、損得と関係なく保険に加入すべきです。たとえば、専業主婦と幼子を養っている会社員は、自分に万が一の事があったら妻子が路頭に迷う事になりかねませんから、リスク回避のための生命保険は必要でしょう。

では、シングルの方は生命保険に加入すべきでしょうか?

共働きで子供がいない夫婦ならばどうでしょうか?

「自分が他界したら、誰かが路頭に迷うだろうか?」と考えてみましょう。悲しんでくれる人はいるでしょうが、路頭に迷う人はいないかも知れませんね。それなら生命保険は不要ですね。

あなたの入っている火災保険は必要ですか?

火災保険は、普通は必要なのですが、そうでない場合もあります。相続した親の家(空き家)の火災保険を引き継いでいる場合は、火災保険は不要でしょう。「万が一の場合には相続した古家に住む」覚悟がある場合には、自宅でさえも火災保険は不要でしょう。そうでなくても、「火災保険を受け取れれば今の家が再建できる」わけではない事を理解した上で、様々な選択肢を検討しましょう。

自家用車は必要でしょうか? 都会の会社員は、「自家用車を手放してレンタカーとタクシーを惜しまず使う」という選択肢を検討してみましょう。ちなみに、筆者は東京での会社員時代、自家用車を手放してから家計も楽になりましたし、歩く距離が増えて健康にも良かったです。 スポーツジム通いは必要ですか?

エレベーターを使わずに階段を使う習慣をつければ良いのではありませんか?

自動引き落としの項目をチェックしよう

毎回支払う支出は、その都度意識しますから、無駄は少ないでしょうが、自動引き落としの支出には無駄な物が潜んでいるかもしれません。最近読んでいない定期購読の雑誌、最近通っていないスポーツジムの会費、等々を見直しましょう。

こうして、必要性の低い支出を見なおした上で、なお不足するようであれば、ビールをやめて発泡酒で我慢しましょう。でも、それは最初にやるべき事ではないはずです。人生は豊かに過ごしましょう(笑)。

塚崎 公義
久留米大学商学部教授
1981年東京大学法学部卒後、日本興業銀行(現みずほ銀行)入行。主に経済調査関係の仕事に従事した後、2005年に銀行を退職して久留米大学へ。「退職金貧乏 定年後の『お金』の話」「老後破産しないためのお金の教科書」「増補改訂よくわかる日本経済入門」「世界でいちばんやさしくて役立つ経済の教科書」「なんだ、そうなのか! 経済入門」など著書多数。

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