(写真=筆者撮影)

シングルよりも既婚者が有利?私たちの「信用力」をアップさせるポイントは

信用力の診断ツールを開発したMFSにインタビュー【前編】

マイホームのような大きな買いものに「ローン」は付きものです。ローンには「借金」というネガティブな印象があるかもしれませんが、見方を変えれば、私たちの可能性を広げてくれる強い味方でもあります。

でも、いざというとき、私たちは一体どのくらい借りられるものなのでしょう? 私の、そして彼や夫の「信用力」……気になりますよね。

そこで今回は住宅ローン審査にかかわる信用力の診断ツールを開発したフィンテックベンチャーのMFSを訪ね、信用力とはそもそもどういうものなのか、そして信用力をアップさせるコツにはどのようなものがあるのか、お伺いしてきました。

銀行が見ているのは「収入の安定性」

この日、取材に応じてくれたのはMFSの取締役COOの塩澤崇(しおざわ・たかし)さんと、同社モーゲージスペシャリストの大越恵美子(おおこし・えみこ)さん。

まず、信用力について塩澤さんは「銀行が見ているのは、収入の安定性です。同じ年収でも、会社の規模や上場、非上場といった勤務先の違いで借りられる額が違い、さらに経営者や自営業はビジネスの状況も考慮されます」と説明してくれました。

試しに、MFSの診断ツールを使って、信用力のチェックをしてみます。

imageTitle (写真=筆者撮影)

既婚者のほうが「信用力」が高い理由

私たちの「信用力」は、MFSのwebサイトでチェックすることができます。フォームに年齢、年収、職種/業種、勤務先の規模、勤続年数、既婚/未婚、扶養家族数の7項目を入力すると、自分の信用力を示す「モゲスコア」と「借り入れ可能額」が表示される仕組みになっています。

31歳、年収400万円、中小企業の一般職、未婚、とDAILY ANDSの平均読者をイメージして入力してみました。その結果がこちら。

imageTitle モゲスコアのチェック画面

「モゲスコア=530」という数字は、年収の530%まで借りられるという意味です。ただこの数字、条件を変えていくことでアップすることもできます。

結婚すると、信用力がジャンプアップ!?

例えば「未婚」から「既婚」に条件を変えると、モゲスコアがなんと739までジャンプアップ!理由は?

「独身者の不動産購入は既婚者に比べ投資用物件として購入される可能性が高く、より慎重に審査されるためです。逆に既婚で、さらに子どもがいるとなれば、購入物件は自宅として利用される可能性は高いでしょうから、住宅ローンとしての借入額の審査は独身者より厳しくなくなる傾向があります」。前職の大手銀行で住宅ローンの審査を手掛けていた大越さんは、独身者と既婚者の違いをこのように話してくれました。

このほか、年収を400万円から500万円にするとモゲスコアは547に、勤務先を東証一部上場企業に変更すると601にそれぞれアップしました。

ちなみに、診断には「自己資金」を記入するフォームもあります。自己資金が多くなったからといってモゲスコア自体は変化しませんでしたが、「借り入れ可能額」はアップするという結果に。これは、

貯金がある=お金を計画的に使える人である=ローンを返済してくれる見込みがある=たくさん貸しても大丈夫

と金融機関が判断するためだそうです。

住宅ローン利用者の6割はミスマッチ !?

入力項目を色々といじっていると、だんだんモゲスコアをアップさせるコツがわかってきて、ゲームのように楽しくなってきました。

……ところでMFSはなぜこのような診断ツールを開発したのでしょうか?

塩澤さんはその理由について、「住宅ローン市場は現在1200万世帯、186兆円の規模があり、毎年100万件、20兆円の新規融資がある巨大市場と言われています。でも、その半分は間違った住宅ローンを選んでいるのではないかと私たちは思っています」と話します。

MFSが2016年、同社の住宅ローン借り換えアプリモゲチェック利用者約1万2000人に取ったアンケートによると、全体の約60%の人が住宅ローンの見直しを実践すると100万円以上お得になるという結果が出たそうです。ちなみに300万円以上お得になる、という人は32%にも上ったのだとか。

なぜこんなにたくさんの人が「間違った住宅ローン」を組んでしまうのでしょう。塩澤さんは、住宅を購入するときの手順に問題があると考えています。

imageTitle (写真=筆者撮影)

物件を決めてからローンを組むのはミスマッチのもと

現在、家を購入するときはまず物件を見つけ、その後に住宅ローンを組むのが通例です。しかし、この流れだと、利用者はとにかく早くお金を借りたい!となってしまい、本来ならばもっと低い金利で借りられたのに、審査が通った金融機関でとりあえずお金を借りる、というケースが出てきてしまうそうです。

実はこの流れは、不動産販売の担当者にも負担が大きく、もし顧客がローン審査に落ちてしまうと、せっかく物件を買ってもらえそうだったのに契約が白紙になってしまいます。そもそも、不動産会社がローンを斡旋していることも不自然です。

「物件を探す前にまず自分の信用力を把握し、予算を明らかにしてから、その金額の範囲で家を探すという流れにすれば、今起きているミスマッチやムダが防げるのではないでしょうか」(塩澤さん)

ローン審査で落ちても理由は教えてもらえない

住宅ローンをめぐる問題点はこれだけではありません。

大越さんは、「住宅ローンの審査に落ちてしまった場合、銀行側にも決まりがあって、その理由をお客様にお話できないんです。あとちょっとで審査が通ったのに、という『残念な例』もありました」といいます。

例えば、ほかの条件は全てクリアしているのに、勤続年数がちょっとだけ足りなかったことも。「半年後に審査を申し出てくれれば、問題なく通ったのに」といったケースであっても、銀行側は「半年後にまた来てください」とは言えないのです。

審査に落ちた人はショックを受けますし、もう二度と同じ金融機関で審査をお願いすることはないでしょう。これでは、銀行側もビジネスチャンスを失っています。

MFSでは、こうしたミスマッチを防ぐために、モゲスコアのような診断ツールを入り口に、申し込みがあった人には住宅ローンの個人向けのコンサルティングを行っているそうです。

「今はこういうわけで審査から落ちてしまったけれど、ここを改善すればいい」というアドバイスを行うシステムがあれば、利用者側も金融機関側もメリットがあるというわけです。

一度お金を借りた後でも、よい条件で借り換えられる

モゲスコアで遊んでいると、東証一部上場企業や官公庁と、ベンチャーやフリーランスとの、あからさまな「信用力」の差につい、ため息が出てしまいます。

信用力だけのために転職するわけにはいかないし……。こんなときは、どうしたらいいのでしょう?

「たとえ金利4%からスタートしても、数年経てば低い金利に借り換えができるケースがあります。借り換えを3回目くらい繰り返せば、最も金利が低いランクのローンに借り変えられる場合もありますよ。これが住宅ローンの面白いところです」(塩澤さん)

初めてローンを借りるときは返済の実績がないため、統計に基づいた信用力で判断されます。でも返済していくことで、新しい信用力が積み重なっていくのだそうです。「信用力、返済能力と金利は密接に関わっているんですよ」(大越さん)

imageTitle (写真=筆者撮影)

後編は住宅ローンのウワサの真偽

信用力はいまの自分のスペックだけで判断されるわけではない、というのは嬉しいですね。

ローンについてはほかにも、「一度審査に落ちると通りにくくなるってホント?」「夫婦で住宅ローンを組むときって、どこを見られているのか?」など、聞きたいことがたくさんあります。

そこで次回は、住宅ローンにまつわるウワサの真偽を尋ねてみました。(後編に続く)

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