(写真=Olena Yakobchuk/Shutterstock.com)

老後のリスクは「長生き」「インフレ」。3つの対処法って?

長生きとインフレに対する最強の備えは?

「長生き」は良い事ですが、老後資金の事を考える際には、リスクです。

老後資金に関するもうひとつのリスクはインフレです。インフレとは物価上昇のこと。長生きをしている間にインフレが来たら、若い頃にいくら老後の資金を貯めてあっても、底を突いてしまって悲惨な老後が待っているかも知れません。

人生100年時代、60歳はまだ老後ではない

60歳で定年を迎える人は多いと思いますが、60歳時点の女性の平均余命は約29年です。退職金をもらってからの老後は非常に長いのです。しかも、医学が進歩していますから、過去の統計よりも更に長生きになるかも知れません。しかも、これは平均の話ですから、平均よりも長く生きてしまう「リスク(笑)」だって約5割もあるわけです。

しかし、悪い話ばかりではありません。医学が進歩しているので、高齢者が元気です。しかも、少子高齢化による労働力不足が深刻化していきますから、高齢者でも元気なら働ける場所はいくらでもあるでしょう。

今の若い人は、定年後も新しい仕事に就いて、70歳まで働くのが普通になっているでしょう。

高度成長期には、15歳から55歳まで働いて、70歳くらいで他界するのが普通でしたので、人生の半分以上は働いていたわけです。ならば、今の若者は人生100年時代に20歳から70歳まで働くのは、自然な事でしょう。

寿命が伸びた分だけ働けば、「老後」が伸びませんから安心です。しかも、インフレがくれば収入も増えますから、インフレのリスクもカバー出来ます。

インフレに対する最強の備えは公的年金

次に、公的年金を大切にしましょう。公的年金は、どれだけ長生きしても受け取れますし、どれだけインフレになっても原則としてインフレ分だけ受取額が増加しますので、長生きとインフレに対する最強の備えになるのです。

会社員は給与天引きですから考える余地は小さいですが、自営業者は、きちんと年金保険料を支払いましょう。年金は、受取の開始を65歳ではなく70歳にすると、70歳以降の毎回の年金支給額が42%増えるので、これは是非検討しましょう。特に女性は平均寿命が長いので、是非ともお勧めです。

それから、金融資産を全額預貯金で保有するのは危険です。インフレのリスクを考えると、預貯金はリスク資産なのです。株式投資信託や外貨預金、あるいは個人向け国債10年物(変動金利)などへの分散投資を検討してみましょう。

「少子高齢化」と「大地震」がインフレを加速

筆者がインフレのリスクを強調する理由は二つあります。

一つは、少子高齢化で労働力不足になり、賃金が上がって物価も上がる、といった予想です。すでに労働力不足で非正規労働者の賃金が上がりはじめ、サービス価格が上昇の兆しを見せています。クロネコヤマトが値上げする、というニュースは、今後の日本がインフレ時代に入る号砲なのかもしれません。

二つ目は、大地震のリスクに備える必要性です。巨大地震と津波で東京、大阪、名古屋が壊滅したら、まずは食べ物、次ぎに家や工場を建て直す材料が必要ですが、それを生産する工場は壊れてしまっているため、食べ物や建設資材が何倍にも値上がりする、といった事になりかねないからです。

塚崎公義
久留米大学商学部教授
1981年東京大学法学部卒後、日本興業銀行(現みずほ銀行)入行。主に経済調査関係の仕事に従事した後、2005年に銀行を退職して久留米大学へ。「退職金貧乏 定年後の『お金』の話」「老後破産しないためのお金の教科書」「増補改訂よくわかる日本経済入門」「世界でいちばんやさしくて役立つ経済の教科書」「なんだ、そうなのか! 経済入門」など著書多数。

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