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結婚すると税金の何が変わる?配偶者控除、扶養控除、国民年金の保険料は

配偶者控除、扶養控除、国民年金保険料について知っておこう

人生における一大イベントの一つ「結婚」。婚姻届を提出しても、結婚したという実感はなかなかわかないものですが、名字が変わったことを意識したとき、ようやく「夫婦になった」と自覚する人も多いようです。

さて、結婚すると環境や姓が変わるだけでなく、家族だからこそ受けられる控除が加わります。今回は、結婚したら押さえておきたい税制優遇制度や社会保険について考えていきましょう。

結婚で発生するメリット!税金の控除とは?

結婚してパートナーと同じ家に住むようになると、公共料金や住居費、その他の生活費が一つになります。また、携帯電話の家族割引が受けられたり、共用のものが増えたりと、家族になることで節約できるポイントは色々とありますよね。

結婚するまで別々に暮らしていたカップルは、こうした経済的なメリットを感じやすいかもしれません。その他にも、勤め先の会社によっては、ハネムーン休暇が取得できる、結婚祝い金がもらえるなど、会社の福利厚生も受けられます。

このように環境や対象となる制度など、見えやすい変化がある一方で、税金の仕組みに関わる控除や社会保険の料金も変化しています。しかし、日常生活において直ちに影響があることではないため、「自分で調べてみるまで、詳しくは知らなかった」という人が多いのも事実。

そこで、今回は家族になると発生する「配偶者控除」と「扶養控除」について確認していきましょう。

配偶者だけの優遇措置「配偶者控除」とは?

配偶者控除とは、所得が少ないかゼロである配偶者(妻または夫) を養っている場合、家計を支える者(夫または妻)の所得税負担が軽くなるという制度です。例えば、妻がパート勤めで収入が一定額以下だったり、専業主婦であったりしたときに適用されます。

よく聞く「103万円の壁」とは、この配偶者控除を受けるための目安となる年収額のこと。そして、配偶者控除を受けるには、以下の条件を全て満たしている必要があります。

  1. 民法の規定による配偶者
  2. 納税者と同一生計であること
  3. 年間の合計所得額が38万円以下であること
  4. 青色申告者の事業専従者として年間通して給与支払いを受けていないこと、または、白色申告者の事業専従者でないことではこれら4つの条件について見てみましょう。

1の民法の規定による配偶者とは、婚姻届けが受理されている戸籍上の夫婦であることを指し、内縁関係は該当しません。

2は、必ずしも住民票の世帯が一致している必要はありません。「同一生計」とは生活費をともにしていることを指し、例えば、勤務上の都合で夫婦が離れて住んでいても、週末や長期の余暇では一緒に過ごし、生活費なども納税者から仕送りがあるといった場合も含まれるのです。逆に、住所が同じであっても、二世帯住宅で生活費や公共料金を完全に分けている場合は、同一生計とは見なされません。

3は、収入が給与のみのしたとき、給与収入が103万円以下であることが条件です。合計所得額の38万円とは、給与収入が103万円としたとき、給与所得控除の最低額65万円を差し引いた金額です。例えば、パート勤めの妻が年間103万円を超えないようにシフトを入れるのは、多くの場合、この金額を超えると控除が受けられなくなるから。その結果、所得税が上がり手取りが減ってしまうからです。

しかし、年間103万円を超える所得があって配偶者控除が受けられない場合でも、適用される控除がもう一つあります。それが「配偶者特別控除」です。配偶者特別控除を受けるためには、
・納税者本人の合計所得金額が1000万円以下
・配偶者の合計所得金額が38万円を超え76万円未満
この2つに該当することが条件です。

4の「青色申告者の事業専従者」とは、例えば、青色申告の事業者である夫の事業の手伝いを、妻が仕事として行っているといったケースが該当します。夫がその報酬を給与として妻に支払っていれば、妻の給与は経費として計上できるため、控除の対象外となります。

また「白色申告者の事業専従者」も同様です。このとき、夫は年間86万円まで必要経費にすることができるため、やはり控除対象になりません。

事業専従者の条件は、どちらも同一生計の親族で、年間6カ月以上仕事に従事していることです。配偶者が事業主で、ときどきバイト感覚で手伝いをしているような場合は、自分が事業専従者であるかどうか確認しておきましょう。

配偶者控除が引き上げられた!

一見、よく配慮された制度と思える配偶者控除ですが、「103万円の壁」があるために、この金額を超えないよう働く日数や時間を調整する女性が多いことも事実。近年、それが女性の社会進出を妨げているのではないか、また、時代遅れなのではないかという意見が噴出しました。

もともと配偶者控除は、「夫が家計を支え、妻は家庭を支える」ことが前提であった時代につくられた制度です 。しかし、内閣府の2015年版「男女共同参画白書」によると、共働き世帯と専業主婦世帯の割合は6:4と逆転しています。今では、夫婦共働き世帯が一般的になっている と十分言えますね。

2016年に、配偶者控除を廃止して新たに夫婦控除を設けるという案が出て話題になりました。結果はといえば、配偶者控除を103万円から150万円に引き上げる法案が国会を通過し、あわせて、配偶者の所得が38万円を超え76万円未満だった場合に受けられる「配偶者特別控除」の金額も、141万円から201万円に引き上げられることが決定しました。新たな控除は、2018年1月1日~12月31日の所得から対象となります。

ちなみに、配偶者特別控除は配偶者自身の年収に合わせて徐々に減額されていく仕組み。新制度では世帯主の年収を3段階に分けてかけられる制限が加わりました。例えば、妻の年収が150万を超えたとき、妻だけでなく夫の収入によっても控除額は変化します。

結婚しても変わらず正社員として働き続ける女性がいる一方で、結婚や出産を機に、退職や働き方を変える人もいます。それによって税金はどう変化するのか、配偶者控除の仕組みとともに、しっかり認識しておきたいところですね。

結婚, 税金, 配偶者控除, 扶養控除, 年金 (写真=Rinelle/Shutterstock.com)

配偶者控除と似ている「扶養控除」

配偶者控除のほかに、結婚したら知っておきたい控除にはもう一つ、「扶養控除」があります。扶養控除とは、納税義務者に扶養している家族や親族がいる場合、以下の条件を全て満たしていれば適用される控除です。配偶者控除との違いは、対象者が配偶者かそうでないか。

  1. 配偶者以外の親族、里子や市町村長から養護を委託された老人など
  2. 納税者と同一生計であること
  3. 年間の合計所得額が38万円以下であること
  4. 青色申告者の事業専従者として年間通して給与支払いを受けていないこと、または、白色申告者の事業専従者でないこと

養っている家族が多いと生活費がかかるため、その分減税してもらえる税制優遇制度です。親族の場合、対象となるのは「6親等内の血族および3親等内の姻族」で、両親や実子・養子、祖父母や孫に加え、兄弟姉妹、祖父母の甥や姪の子、そして義両親や兄弟姉妹の配偶者まで、広くカバーされています。

控除額は、一般の控除対象扶養家族の場合は38万円ですが、扶養親族の年齢や同居の有無などによって変わってきます。また「児童手当」に該当する16歳未満の子どもは、扶養控除の対象外です。

結婚したときにまず押さえておきたいのは配偶者控除ですが、いずれ、扶養控除について考える日も来るでしょう。今から頭に入れておくといいですね。

国民年金保険料はどう変わる?

最後に、結婚すると国民年金の保険料はどう変わるのかを見ていきましょう。その前に、国民年金の仕組みについてはご存じですか?

国民年金は、第1号被保険者から第3号被保険者まで、次のように分かれています。

  • 第1号被保険者=自営業者や学生、無職の人。保険料は収入にかかわらず一定
  • 第2号被保険者=会社員や公務員など。保険料は厚生年金や共済に含まれ給料から天引きされる
  • 第3号被保険者=第2号被保険者の被扶養配偶者。会社員や公務員の妻などで、保険料の支払いはない

結婚して姓が変わった場合、国民年金や厚生年金は、それぞれ所定の手続きが必要になります。第1号被保険者は、住所地の市区町村の国民年金担当課に年金手帳を持参し、「被保険者氏名変更届」を提出します。第2号被保険者は、勤め先の会社に「被保険者氏名変更(訂正)届」と年金手帳を提出します。

国民年金の保険料は結婚によって変わることはありません。また、結婚を機に夫または妻の扶養に入り第3号被保険者になる場合、保険料は配偶者の加入厚生年金・共済からまとめて支払われるため、個人で支払う必要はなくなります。加入 手続きは配偶者の勤め先で行われるので、「国民年金第3号被保険者該当届」と、夫・妻両方の年金手帳を提出しましょう。

なお、配偶者の扶養に入ると、厚生年金の保険料が高くなるのでは……と心配される方もいるかもしれません。ですが、厚生年金の保険料は、扶養のあるなしに影響を受けない仕組みになっています。扶養に入ったからといって保険料が高くなることはありませんが、それでも、将来は老齢基礎年金を受け取ることができるのです。ただし、夫が自営業など第1号被保険者であれば、妻も同じく第1号被保険者となることには注意が必要です。

結婚後の手続きはすみやかに

引越しや挙式準備、そのほかにも各方面への報告など、結婚後はとても慌ただしいもの。そのうえ、税金・社会保険関連の手続きも……となると、面倒に思えるかもしれません。しかし、必要事項を押さえ確実に申請をしないと、後々不都合が生じることもあります。新たな生活がスムーズに運ぶよう、これらの手続きは早めに行いましょう。

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