(写真=森口新太郎撮影)

「中金持ち」を目指してがんばりたい【マクロエコノミストの失敗談③】

デキる女性の「投資の失敗談」シリーズ:崔真淑さん

各方面で輝く女性に「投資の失敗談」をお聞きするインタビューシリーズの第3弾。最終回となる今回は、マクロエコノミスト崔真淑さんの「失敗」に対する考え方から、現在興味・関心があること、投資に挑戦したい女性へのアドバイスなどをお伺いします。

【これまでの記事はこちらから】
マクロエコノミストの失敗談①
マクロエコノミストの失敗談②

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ANDS NOTE(アンズノート)とは?

失敗を重ね、「失敗のフェーズ」が変わった

――崔さんのモットーに「高速で失敗する」とありますが、どういう意味ですか?

「高速でトライする」のトライの部分を、失敗に置き換えて考えています。トライには失敗がつきもので、大きくではなく、高速で小さくトライする、失敗することを前提にして行動する。躊躇しているヒマがあったら人に合う、どこかへ行くとか、そういう考え方ですね。

――株での失敗、ミャンマーでの事業の失敗と、2度お金にまつわる失敗を経験して、いかがですか?

私の場合、失敗したことが、今に活かされているなと思います。無謀に大金持ちになろうという考えではなく、堅実にどう稼ぐか、という視点ができました。自営業なので、極端に言えば来年ホームレスにならないように気をつけていて、大金持ちを目指すことはしていません。ベンチャー起業やIT長者などを目指しているわけではないので、「中金持ち」を目指してがんばりたいですね。

また、去年は、お金にまつわる人間関係のトラブルを経験しました。でも、失敗の仕方のフェーズが変わってきていることは、喜ばしいと感じています。

損してもいい金額を自分の中で整理しよう

――現在、「投資をやりたいけど怖い」と考える女性が多いのは、なぜだと思いますか?

「損してもいい金額」が、具体的に自分の中で整理できていないのではないかと思います。時間もそうですが、「どこまで使っていいのか」「どれくらいなら損していいのか」などですね。上場企業の社長さんに話を聞いていると、みなさん、「損切り」のタイミングを常にすごく考えて経営をされています。

あとは漠然と「投資で失敗すると大きな金額の損失を背負わされるのでは」と、思ってしまうのかもしれないですね。ですが、たとえ10万円の株を買ったとしても、それが1円以下になることはないですから、どこまで損失を許容できるか、自分の中で一度整理するといいと思います。

でも、若い女性ひとりからお金をぶんどってやろう、はめてやろう、なんて思っていないですから、あまり怖がらなくても大丈夫だと思いますよ。今は、例えば怪しい高額商品とか、そういうのでお金を損している女性の方が多いんじゃないかな?とすら思います(笑)。

imageTitle (写真=森口新太郎撮影)

ビジネスモデルがわかりやすい会社の株が◎

――初めて投資をする人におすすめの商品はありますか?

最初は、株がいいのではないかと思います。大学生の頃、アルバイトタイムスの株を買ったことがあったのですが、「これ見てアルバイトしたな~」とか、やっぱり身近には感じましたね。

例えば、「サンリオのキャラクターが好きだからサンリオの株を買った」とか、そういうきっかけで全然いいと思います。銘柄を選ぶ時は、例えば銀行などのどういう事業をしているか見えにくい会社よりも、お酒や車を作っている会社とか、ビジネスモデルが分かりやすくてシンプルな会社を選ぶといいと思います。株主優待の制度があるのも日本だけなので、そういう面でも楽しいと思います。

アルバイトタイムスの株価情報をチェックする
サンリオの株価情報をチェックする

――外貨預金などはどうですか?

外貨預金だと、外国の国に愛着がないと難しいですよね。でも、例えばアメリカが大好きで、いつかニューヨークで暮らしたい、とか、そういう夢があるなら、例えば米ドルで外貨預金をやってもいいのかもしれません。

――崔さんの資産の割合はどのような感じですか?

約半分が現金、4分の1が株、4分の1が外貨です。

会社員や公務員などで安定していたら、株などをたくさん保有していてもよいと思うのですが、私の場合は自営業でいつどうなるかわからないので、現金は多めの配分にしています。株はETFで日本株・外国株を保有しています。外貨は、米ドル、ユーロ、オーストラリアドルの3種類です。経済が発展していて、浮き沈みが少なそうな国の通貨を選ぶようにしています。

リスク分散のため日本円だけでなく「米ドル」で稼げるように

――これから挑戦していきたいことはありますか?

私たちは日本で生まれ育って日本で仕事をして、日本円でお金をもらっているので、万が一日本に何かあったら終わりですよね。今後の日本に絶対何もないとは言い切れないので、米ドルで稼ぐ道を作りたいです。

実は今年の春から大学院で博士号取得を目指して、大学の研究機関で再び勉強をすることにしたんです。学会で海外に行って発表をしたり、外国での交流などもあるので、そのような中で仕事のチャンスを作れたらと考えています。

――大学院では何を学んでいるのですか?

「組織の経済学」です。

以前、大学院で学んでいた時は、株価や企業価値はどうしたら上がるか、などのコーポレートガバナンスを学んでいました。今回は、例えば企業で「なぜこの人が採用されたか」「社外取締役に就任する時には何が影響するのか」など、人材決定の決定要因について学んでいます。

取締役に誰かが就任する時は、組織の力学が働くんですね。私も独立して6年目ですが、今やっていけているのも、いろんな人が仕事をくれたり、一緒にやったりできたからです。会社を運営していくうえで、人がどう登用されて、それがどう企業価値と結びつくのかということに興味があり、勉強しています。

――それは面白そうですね!

また、いろいろな企業を見ていても、大企業よりも小さな会社の方が、よほどコーポレートガバナンスが効いていることは少なくありません。吹けば飛んでしまうかもしれない小さな会社が、危機感を感じて必死に頑張っている反面、大企業はどこかしら「うちの会社はつぶれないでしょ」と考えている部分があります。

私も昔、大企業に勤める若手の男性社員と話をしていて、「自分の会社の決算書は読んでおいた方がいいよ」といったら、「うちの会社がつぶれるわけない!読むわけないじゃん!」と言われたんですが、その後、その会社の問題が明るみになり、社会問題になってしまったことがありましたね(苦笑)。

今興味があるのは組織内での「嫉妬マネジメント」

――今、崔さんが興味のあることは何ですか?

「嫉妬マネジメント」ですね。

――初めて聞く言葉です。

例えば上場企業の社長は、「嫉妬」を皆気にしています。社長になるとどうしても、会社の中に敵も多くなります。日本の役員報酬は社長が決めますし、時には創業者も恨みを買われたりすることもあります。そこをどうマネジメントしているのか、気になっています。

――研究の結果、楽しみにしています。ありがとうございました!

imageTitle (写真=森口新太郎撮影)

「失敗を前提に行動する」という発想に納得

普段、経済メディアで拝見するイメージとは良い意味で異なり、ユーモアを交えてご自身の失敗談を明るく話してくださった崔さん。現在のご活躍には、ご本人の実力はもちろん、そのお人柄も、慕われる理由のひとつなんだろうなと感じました。

失敗は「するもの」と考えておくことで、積極的に行動することが怖くなくなりそうです。私もさっそく、新しい投資商品にチャレンジしてみようかな、と思いました。

最後に、インタビューを終えてから、2つの質問に答えていただいたので、その回答をご紹介します。

Q1.「資産運用で失敗」をした原因を3つ挙げるとしたら、何ですか?
①自分だけは大丈夫という盲信
②自分だけは成功するという盲信
③自分だけは失敗しないという盲信

上記すべてが間違いということを、まず認識することが大切だと思います。

Q2.今から資産運用を始めようとする人に伝えたいことを3つ挙げるとしたら、何ですか?
①まずは、口座を作る!
②まずは、株友達を作る!(ネットでも、リアルでも何でもOK)
③まずは、先入観の原因を探る!

(マクロエコノミストの失敗談、おわり)

【この記事に出てきた銘柄一覧】
アルバイトタイムス
サンリオ

今回、取材に協力してくれたのは…

imageTitle (写真=森口新太郎撮影)

崔 真淑(さい・ますみ)さん
マクロエコノミスト。2008年に神戸大を卒業し、大和証券SMBC金融証券研究所(現:大和証券)に入社。当時最年少の女性アナリストとして、NHKなどの主要メディアで経済解説者に抜擢される。12年に独立、経済学を軸に、経済ニュース解説、マクロ経済・資本市場分析を得意とするマクロエコノミスト・コンサルタントとして活動。若年層の経済・金融リテラシー向上のため、東京証券取引所のPRコンサルティングなども手がける。13年からは日経CNBCで最年少の経済解説委員として出演中。16年一橋大学大学院(MBA in Finance)修了。17年4月からは一橋大学大学院イノベーション研究センターに所属し、組織のインセンティブ設計と資本市場の関連性についての研究を行う。

【デキる女性の「投資の失敗談」シリーズはこちら】
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