(写真=HAKINMHAN/Shutterstock.com)

10年以上の長期投資をするとき、NISAの恩恵はあるの?

NISAのメリットは?

これから長期投資をなさる予定の方から、NISAにかんしてのご質問をいただきましたので、回答させていただきたいと思います。

長期投資する時に、NISAのメリットは有るのか?

●2015年1月:すずき うみこ様(女性・年代不明)よりのご質問

初めまして。 まだ投資について学び始めたばかりの初心者です。 HP、とても参考にさせていただいております。

質問なのですが、今話題のNISAについてです。 私はバランス型の投資信託(無分配)を長期運用(10年以上)で考えているのですが、 そういった場合、NISAを利用する意味があるのでしょうか?(世界経済インデックスファンド

5年もしくは10年以内に売却するつもりだったら非課税になって恩恵を受けるかと思いますが、 そのつもりはほとんどありません。どうなるか自分でもわかりませんが、少なくとも10年以上は持っていたいなと思っております。

今すぐにでも投資信託を始めたいのですが、まだNISAの口座を開設申し込みしたばかりで、 開設まで1ヶ月~2ヶ月ほどかかると言われています。それを待ってまでNISA口座で上記の運用をする意味があるのか・・・とても疑問です。

よかったらご教授頂けますと幸いです。どうぞ、よろしくお願い致します。

☆投資信託(ファンド)とは?
資産運用の専門家が株や債券などを取りまとめて運用してくれる金融商品。ひとたび資金を預ければ、その道のプロが経済動向や個別の企業についての情報収集をし、タイミングをはかって売買してくれる。ただしプロが運用することに対して手数料がかかる。商品選びの際はよくチェックしよう。(参考:5分でわかる! 積立投資信託のアウトライン

☆バランス型とは?
投資信託の中でも、債券や株、不動産などさまざまな種類の資産に投資をするもののこと。バランス型ではない投資信託には、「新興国の株ばかりで運用するもの」、「日本株ばかりで運用するもの」などもある。(参考:数が多すぎて選べない…そんなあなたに2016年「投信」ランキング10位→4位

☆NISA(ニーサ)とは?
金融商品を売買する口座の一種。通常、株取引などで出た利益には20.315%の税金がかかるが、NISA口座であれば利益に税金がかからない。世の中のたくさんの人に投資を始めてもらいたい、という趣旨で設けられた制度。(参考:税金ナシ!NISA活用法と、お金のプロがコッソリ教える「お得」情報

ご回答:いちおう、けっこう有ります

今後、10年以上の長期投資の旅に出るとの事で、未来の事を考えると、非常にワクワクしますね。NISAの話になると、非課税期間内の高いところで売ってしまおうと考える投資家が多のだろうと思いますけれども、確かに超長期に渡って保有する場合はどうなのでしょうか?

実は管理人もあまり考えた事が無かったので、新鮮なご質問でした。ありがとうございます。次の通り、回答させていただきますので、どうぞご覧くださいませ。

NISAの仕組み、基礎の基礎(と言ってもこれだけだが)

まず、NISA制度実施中(~2023年)は、5年間の非課税期間終了後も、延長して、新たに開設するNISA口座に投資信託を移管できます。 新たに開設したNISA口座に株式等を移管後、その年から5年間がふたたび非課税期間になります。

長期投資家,NISA (画像提供=ノーロード投資信託徹底ガイド)

上記は、SBI証券のウェブサイトから引用しています。NISAの仕組みについては、マネックス証券のNISAセミナーのコンテンツでもFPの方から解説していただいているので、あわせてそれもご覧になって下さい。

さてこの時、考えられる可能性として、非課税期間の延長が有るのか?と言う点です。今後10年間のうちに、制度が変更にならないとは言い切れません。

NISAがスタートして1年余りなのに、もう、非課税枠を120万円にするという流れになっていることから考えても、あるいは年金制度の問題なども含めて、貯蓄から投資への流れは今後ますます避けられない世の中になる大きな潮流をイメージすると、制度の改善は念頭に置いておきたいところです。

意図しない利益が生じる場合がある

世界経済インデックスファンドを利用して10年以上積み立てるとの事ですが、人生には「まさか」という事がよく有ります。

例えば管理人は、離婚した妻に毎月一定額を財産分与しています。昨年一時期、それの支払いが苦しくて、長期保有を前提に運用している不動産投資物件を意図せずに売却する可能性が生じて、かなり悩みました。

人生には、当初想定していなかった出費と言うのが、いきなり出てきたりするので、すずきさまも、世界経済インデックスファンドを突然全解約する必要性が生じないとも限りません。

そういう意味では、非課税口座であったほうが、断然メリットが有りますよね。

それと、投資信託ですから、分配金が発生する可能性もあります。世界経済インデックスファンドもここ3年間、連続して1万口あたり20円の分配金を出しています。

長期投資家,NISA (楽天証券より)

長期投資家としては、極力分配金は出さないでほしいですが、勝手に出されてしまってはどうしようもありません。この時に、NISA口座であれば分配金に課税されませんので、例え売却の予定が無かったとしても、NISAの非課税メリットを受けることが出来ます。

非課税期間終了後に、隠れたメリットが生じる

最初に書いた通り、NISA期間が終わると、通常の証券口座に投資信託が移管されます。この時、保有している投資信託の取得価格が、移管時の価格になります。NISAで、最初に買い付けた時の価格ではなくなります。

これが何を意味するのかと言うと、投資信託の取得価格が10年後、随分高くなった時の価格に置き換えられるという事です。

という事は、さらにそこから10年間保有して、基準価額がもっと上振れした時点で売却したとすると、納税金額が圧縮される効果が有ります。

超単純に言うと、NISA口座開始時にいきなり100万円投資したとします。NISAが終わった時点で120万円になっていて、それを通常口座に移します。その後さらに値上がりして、10年後に150万円になっていたとすると、

・100万円⇒150万円・・・50万円の利益に20%の税金がかかるとすると納税は10万円 ・120万円⇒150万円・・・30万円の利益に20%の税金がかかるとすると納税は6万円

いかがでしょうか? NISA期間内に売却しなかったとしても、取得価格が変わるという事で、大幅な減税効果が生じますね。

ま、移管時に取得価格が切り替わるという時点で、実質的にはその時に売却したとみなしているので、その時点で本来発生する税金4万円がお得なったという事なんですけどね。

以上、見てきました通り、NISAの利用は明らかにメリットが有ります。NISA口座開設まで2か月くらいなのであれば、その間に資金をストックしておいて、NISA口座スタートと同時に、その分のお金を追加投入すればよいのではないでしょうか?

(とはいえ1,2か月の差異は、10年以上の長期投資からすると、ほとんど誤差のようなレベルだとは思いますので、NISAでも一般の口座でも、どちらでも構いません)

なお補足ですが、考えたらキリが有りませんけど、NISA期間終了時に100万円が60万円になってしまった場合は、

・当初10年:100万円⇒60万円・・・利益が出てないので無税、損益通算も無い ・その後の10年:60万円⇒150万円・・・90万円の利益に20%の税金がかかるとすると納税は18万円

と、NISAなんぞが有ったせいで、余計に納税額を支払う羽目になったという事になりますね。ですが長期分散投資は、世界経済が右肩上がりでゆったりと上昇することが前提となっての投資手法です。

悪いケースについては、腹をくくってやるしかありません・苦笑。

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