(写真=筆者撮影)

「退任後はもっと生きやすくなる」ライフネット出口流 人生の楽しみ方

ライフネット出口会長×Money&You・後編

「スーパー創業者」とも呼ばれるライフネット生命の出口治明会長がゲストとして呼ばれたイベント「未来の自分のために知っておきたい!女性の働き方、お金や保険との付き合い方」(2017年3月23日、Money&You主催)レポートの後編です。

※前編はこちらから

今回は、出口会長と、メディアにも多数出演している大人気の女性ファイナンシャル・プランナー(FP)高山一恵さん(Money&You取締役)による、会場参加型のトークセッションの模様をお届けします!

人生100年時代、老後不安を解消するには?

高山:私は女性のマネー相談を受けているのですが、いま特に『老後が心配』『先の見えない不安』という声が非常に多いように思います。

最近『LIFE SHIFT(ライフ・シフト) 』(リンダ・グラットン、アンドリュー・スコット著、東洋経済新報社) という本も流行っていて、人生100年時代とも言われていますよね。そんな現代に生きる女性が抱える悩みについて何かアドバイスはありますか?。

出口:若いうちは体力仕事ができますが、年を取ったらしんどいですよね。だから、体力仕事でなくても、好きなことをして稼ぐ方法を60歳ぐらいまでに身につければ良いと思います。

高山:60歳までですか!

出口:あとは、先のことなんて誰にもわからないので、わからないことで不安になっていても時間の無駄です。ちなみに僕は歴史オタクなのですが、人間の歴史で見ると、悲観論は全敗しているんですよ。『マルサスの人口論』とか、あと、僕が中学の頃は『石油はあと30年』と習ったので当時は心配したものですが、今では、『石油はあと50年』と言われているでしょう。

事実として悲観論は全敗しているので、わからないことを考えてもしょうがないし、元気で自分に力があったらご飯ぐらい食べられるよね、と思ってのんびり過ごす方が健康にも良いと思います。

高山:勇気づけられますね。

imageTitle (写真=筆者撮影)

年金はもらえると思いますか?

出口:不安といえば、みなさんに聞きたいのですが、みなさんが70歳になった時に年金もらえる、または少子高齢化で怪しい、どちらだと思いますか?

<参加者の8割ほどが「少子高齢化で怪しい」に手を挙げる>

出口:実は、ヨーロッパで同じ質問したら、少子高齢化が心配だから貯蓄しないと、という悲観論は皆無です。

日本の年金制度は今こうなっている!

…‥と、これには参加者のみなさんも驚きを隠せない様子。出口さんは、年金制度についてとてもわかりやすく解説してくれましたので、簡単にご紹介します。

【現状の年金の収支】

①毎年払われる年金:約53兆円
②社会保険料:約35兆円
給与明細から引かれているもの
③税金:約15兆円
基礎年金の半分は税金という法律がある(昔は1/3だった)
④過去の貯蓄:144兆円

つまり、収入が50兆円しかないのに、53兆円払っているという現状なのです。しかし、今は過去の貯蓄があるから無事に支払われていると言います。

収支の調整もできない政府は、選挙で落とせばいい

出口:少子高齢化となったら、普通は、①の年金額を下げようと考えます。

年金額減らされたら生きていけないという人もいると思います。そこで、前回の講演で紹介した、『年齢フリー原則』にしたらどうでしょう。社会保険料を払う人が増えるので、年金額を減らさずに済むのではないでしょうか。

もし、それでもダメだったら、③の税金を増やせば良い。 それでもダメなら②の社会保険料を上げるしかないということです。

年金とは、この①②③の調節をするということです。調節もできないような政府だったら次の選挙で落とせば良い。そう考えれば年金は破綻しないでしょ。

年金にはもちろん心配はあります。でも、先ほど言ったように、これから先にどうなるかわからないものを心配したってしょうがないです。

選挙に行かないから、不安になる

高山:会場のみなさんも、年金のお話に絡めて、こんなことを聞いてみたい、ということはありますか?

参加者:ヨーロッパのようにすれば上手くいくというのはわかるのですが、日本は真似して政策が進むのでしょうか?

出口:選挙に行かない人が多いから、そういった不安が起こるんだと思います。 今ドイツは民主主義の危機と言われていますが、その理由は、選挙の投票率が70%を切りそうだからです。

ヨーロッパの選挙の投票率は70〜80%です。これに対して日本は50%ぐらいでしょう。

経験的に投票率が50%ぐらいというのは、大政党に支援してもらっているとか組合の組織票を持っている人しか勝てないので、みんな出たいと思わないんですよ。そうすると新しい血が入らなくなってしまいます。だから、日本を良くしようと思ったら、みんなで選挙に行くしかないのです。

参加者:どの人に投票したら良いのかわからないときはどうすれば良いですか?

出口:中学校、高校の生徒会でも半分ぐらいは真面目だけど、あと半分はいい格好したい人とかでしょう(笑)

でも、その中から『相対的にましな人』を選ぶ忍耐が選挙、だと考えればどうでしょうか。 もし、どの人に入れたら良いかわからないときは、簡単です。『女性』に入れましょう。日本は先進国の中でぶっちぎりに女性議員の割合が少ないのですから。もし、女性がいなかったら、『一番若い人』を選ぶ。

あとは、10問程度の質問に答えたら自分に近い政党がわかるようなマッチングサイトもありますから、参考にすると良いと思います。

選挙に若い人が誰も行かなかったら、出馬する人は高齢者向けの話しかしません。若いみなさんが投票に行くようになって、マシな人を選び続ければ、世の中は少しずつ変わってきます。

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本物の教養の身につける方法

高山:私も昔はダメダメOLで勉強するとかお金のことを考えるということをしてこなかったので、社会に入ってから苦労したのですが、社会で役立つ『本物の教養』を身につけるにはどうしたら良いでしょうか?

出口:好きなことをやることですね。好きなことをやることは楽しいことですし、何か1つのことを学んだ人は、できることの選択肢が増えたということです。その方が人生楽しくなりますし、お金も入ってくるかもしれない。

先日、機会があって、北海道のとある大学の構内を訪問したのですが、そこに『カタコトでも良いから中国語話せる人:時給3000円』という薬局チェーンの張り紙があったんですよ。その大学の時間給は平均で950円くらいとお聞きしたので、この場合、多少でも中国語が話せるだけで3倍以上稼げるということになります。何がいつ役に立つか、わからないものです。
自分の選択肢が増えて、お金にもなる、というのが自己投資です。

参加者:出口さんはものすごい読書家とお伺いしましたが、こうやったら自分に落とし込めるという本を読むときのコツは何かありますか?

出口:面白いものを読むのに限りますね。自分の好きなこと、興味のあること、知りたいことって自然と身につくんですよ。

あと、たまに、自分がすごく苦手だから勉強したいもの、という逆張りもありますね。

本を読むときはゆっくり読むことです。僕は、速読なんて時間の無駄と言い切っています。速読するならウィキペディアを引いた方が早いですからね(笑)

資格試験に受かるためなどの場合はまた違いますが、何かを身に付けようと思ったら、人の話と一緒で、丁寧に聞かなければ身につかないのではないでしょうか。読書は著者との対話だと思うのです。

お金を増やす投資とは?

参加者:お金を増やす投資のコツはあるのでしょうか?

出口:まず、72のルールというのがあるので覚えておいてください。

「72÷金利=元本が倍になる年数」ということです。

僕のサラリーマンになった頃は金利8%で、72のルールに当てはめると、9年(72÷8=9)で100万円が200万円になるという計算になります。当時は『ゴールデン8』と言われていましたね。この単純なルールを知っているだけでも、現在の金利では、銀行や保険会社に預けているだけではお金は増えないとわかります。ゼロ金利やマイナス金利の時代では、株や投資信託などの変動商品以外にお金は増えないのです。

では、変動商品で儲けるコツは、というと、これもシンプルで『安い時に買い、高い時に売る』これだけです。問題は、いつ安いかがわからないことですよね。

そこで、人間が何百年も投資をやっていて考えついた方法が、毎月定額で投資信託を買っていくということです。

例えば、毎月1万円買うとしてその投資信託が1万円だったら、1個買えます。 次の月に5000円になっていたら、2個買えますよね。その次の月に2万円になっていたら、0.5個ですね。

このように機械的に毎月同じ額を買っていたら、いつ安いか高いかはわからないけど、結果的に安い時にたくさん買っていることになります。

なので、意見を求められた時には、難しいことはわからなくても良いから、騙されたと思って毎月一定金額ずつ買い続けてはどうですか、とお伝えしています。

あとは、税金でいかに得をするかです。折角そのような制度があるのなら、利用しない手はないですよね。どういう制度を使ったら税金がお得になるかは、是非高山さんのようなプロにご相談を(笑)。

高山:確かに、値動きがあると怖いと言う方もいるので、節税とか、税金を戻すということは初心者にもおすすめですね。

imageTitle (写真=筆者撮影)

ダーツを投げて決めましょう

ここからは出口会長と参加者のお悩み相談が始まりました。

参加者:これもしたいあれもしたい、というように、やりたいことはいっぱいあるのですが、そのときはどうしたら良いでしょうか。

出口:全部同じぐらいやりたいことだったら、まず全部紙に書き出します。そしたらダーツを投げて決めましょう。(会場爆笑)

めちゃくちゃやりたいことがあったら、そもそも悩まないはずです。全部同じようにやりたいから悩む。でも悩む時間がもったいないのでダーツで決める。

やってみて面白くなければ次、というふうにやっていくと、そのうち面白いものに出会います。どんな芸事でも3年あれば師範になれると言われますからね。人生あと60年生きるとしたら、20個師範が取れます。ワクワクしますね。

参加者:最近10年ぶりに仕事を始めたのですが、ブランクが長かったので、スキルも衰えていて心配です。自己投資と、会社へ貢献する今の仕事というバランスが難しいです。

出口:心配していても、ブランクは消えませんよね。過去は絶対に変わらないので、僕だったら今日の晩御飯何食べようとか そういうことを考えた方が楽しい(笑)。

いつだって、『今が一番若い』のです。明日になったら一つ歳をとるので、若い時にやらないでいつやるんだという気持ちが大切ではないでしょうか。心配する暇があったらちょっとずつでも始めてみて、そのうち加減とかがわかってくるようになると思います。

参加者:昨年パートから正社員になったのですが、正社員として働くと、みんなすごい残業しているので帰れない雰囲気があります。定時で帰りづらいときはどうしたら良いでしょうか。

出口:100人ぐらいいたら4〜5人は同士がいるはずです。帰りそうな雰囲気を持っている人、仲間を見つけて『早帰り派閥』を作りましょう。それが職場を変える雰囲気になります。友達が力ですよ。

退任後は、会長から創業者に変わるだけ

私たちはどうしても目に見えないことであれこれ悩んでしまいがちです。でも、出口さんの言うように、どうなるかわからないことを考えていても時間の無駄と割り切って、今からできることを始めるのが一番ですね。

最後に、高山さんから出口さんに「出口さんはライフネット生命の取締役を6月で退任されるそうで。その後はどうされるのでしょうか?」と質問がありました。

「会長から創業者に変わるだけです。変わらず普通に会社に行って、ライフネット生命を世の中の人に一人でも多く知ってもらえるように仕事をするので、実態はほとんど変わらないですよ。今日のようにお金や保険のセミナーも、お声掛けいただければ喜んでやります。取締役だと言えないことも多々あるのですが、これからは本音トークがよりしやすくなるので、もっと生きやすくなるでしょうね」と出口さん。

生涯現役。これこそ「出口流」の人生を楽しむコツ、なのかもしれませんね!(ライフネット出口会長×Money&You、おわり)

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