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生活保護というだけで弾かない。「大家さん」の意外な入居審査ポイント

大家が大事にしたいこととは…?

つい数年前まで自分も入居審査を「受ける側」でしたが、現在は大家として入居者を募る立場になりました。

筆者は物書きという不安定な仕事をしているため、節税のためにわざわざ赤字を申告した年もありました。そんな自分も、入居審査に落ちたことは一度もありません。大家になった今ならばその理由が分かります。

今回は、大家の視点からみた入居審査のポイントを紹介していきます。

入居審査に、大家はほとんど関知しない

自分が大家になったからこそ断言できます。書類をふるいにかけているのは大家ではありません、管理会社です。ですので、大家として強いて審査ポイントを挙げるとすれば、「管理会社がGOを出すかどうか」。これに尽きます。信頼している人の目から見てアウトならば、その時点で書類に目を通すこともなくお断りするということですね。

その他には、仲介業者が難色を示した場合。というのも、彼らは入居付けに際しインセンティブをもらっているので、基本的には「どんな人であろうと住まわせたい」のが本音です。それでも渋るからには、よほど心象が悪いのではないか…そんなふうに一つの懸念材料とします。

審査という観点でいえば、本当にジャッジが厳しいのは保証会社。こちらは年収や仕事の安定性など社会的ステータスが如実に影響してきますから、もしも「保証会社の審査に落ちている」という情報が入れば警戒します。ただ、それだけで入居をお断りするかというと、そうでもありません。

入居審査で忘れてはいけないのは、「人が住まう」ということ

他の方がどうかは分かりませんが、私自身が心がけているのは、不動産投資家である以上に「大家さん」でありたいということです。

例えば、一般的に生活保護や外国人の方は敬遠されがちですし、そもそも募集の際に条件として弾いてしまう家主も多いと聞きます。けれど私は、そうした方から内見申込みを頂いたときも、必ず事情を聞くようにしています。生活保護と一口に言っても、お年を召されているのか、怪我で働けなくなってしまったのか、母子家庭なのか。

「外国人」という言葉も、どこか冷たい響きですから、留学生なのか、家族を守るために出稼ぎに来たのか、生まれはどこの国なのか、どんな思いで日本へ渡ってきたのか。可能な限り耳を傾けようと心がけています。

それはべつに、その人たちのためになるからというよりも、私自身の見識が広まるし、この言い方がふさわしいかは分かりませんが、楽しいからです。もちろん、そうは言っても大家はボランティアではなく仕事ですから、「明らかに支払い能力がない」という場合はお断りせざるをえません。

もっとも、そうした人からのお申込みは、前述のふるいにかけられて私のところまでは上がってきませんから、そんなに頭を悩ませることもありません。

「支払い能力はあるけれど、社会的偏見で弾かれている」。そういうごく稀な対象を見逃さず、たとえ周りの人がなんと言おうと拾い上げるのが、大家の仕事であり、社会貢献だと考えています。

大家, 入居審査, 不動産投資 (写真=Y Photo Studio/Shutterstock.com)

入居審査で失敗するより、人間として損ないたくない

不思議なものですが、そうして腹をくくるとかえって入居審査では失敗しないものです。

実際、所有物件の中には生活保護の方に住んで頂いているものもありますが、これまでに一度として滞納はありません。これは実は当然のことで、生活保護者の家賃は市が保証してくれますから、ともすれば倒産リスクのある大企業の役員より、よほど堅いとも考えられるのです。

入居者の方もとても個性的で面白い方が多いですから、何かトラブルがあって訪ねるときもかえってワクワクするのだから不思議です。

一方で、過去に唯一「失敗したな」と感じているのは、相性の悪い管理人にダラダラと賃貸管理を任せていたケース。

なんとか賃借人はついたものの、トラブルの際にアポイントを取ってもドタキャンされるなど、心象は下がる一方です。家賃の滞納こそありませんが、ストレスがたまるようではわざわざ不動産投資をする意味がありません。

人間関係に煩わされないことは、私にとってとても大切な投資の醍醐味なので、ここが外れてくるようでは「資産」とは言えなくなってしまいます。むしろ負債です。

大家として大事にしていること

結論、やはり大家としての実感は、「信頼できる管理会社を見つける」、この一点に尽力すること。ひいてはそれが的確な入居審査にも繋がってきます。自分の代わりにきちんと審査してくれる人を見つければ、チェックすることもほとんどありません。

末筆ながら、「チェックする」というのもどこか上から目線な言葉ですね。「住んでいただいている」、そういう気持ちをいつまでも忘れないでいたいものです。

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