
(写真=筆者撮影)
#02 悩んでいます。確定拠出年金の運用方法、何にどのくらい投資したらいい?
FPの風呂内さんにいろいろ教えてもらいました!
こんにちは。ライターの大井あゆみです。
前回は、フリーランスで老後のお金が心配な私が、確定拠出年金(かくていきょしゅつねんきん、☆)と出会い、『マンガでわかる 確定拠出年金』を監修するファイナンシャル・プランナー(FP)の風呂内亜矢さんにあれこれ相談しました。今回も引き続き、風呂内さんに気になる確定拠出年金のことをうかがいます。
確定拠出年金を始めようと決めたものの、実際にどうやって運用すればいいのか悩んでいる私。さっそく具体的な運用方法や金融機関の選び方について教えていただきました!
☆確定拠出年金(かくていきょしゅつねんきん)とは? 公的年金や企業年金にプラスするかたちで自分で積み立てる「年金」のこと。拠出したお金を運用する必要がある。個人でも節税ができることや、2017年1月から加入対象者が拡大したことから、いま、老後資金づくりの方法として注目を集めている。(参考:これなら分かる!「確定拠出年金」がお得と言われる理由)
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元本を減らさないための運用方法とは?
ーー確定拠出年金を始めることは決めたのですが、投資と同じですから、元本が減ってしまわないか心配です。
確定拠出年金で運用する商品には「元本保証型」と「リスク運用型」のものがあります。
「元本保証型」は60歳までに拠出した掛金の合計金額が少なくとも戻ってくるタイプのもので、「リスク運用型」はその名の通りリスクをとって運用するタイプのもの。運用によって利益が出て元本よりも多い金額が給付されることもありますが、元本割れしてしまう可能性も確かにあります。
リスクを取ってでも積極的に運用したいのであれば、海外株式のファンド(☆)の比率を高めると良いでしょう。安定的に運用したいなら、定期預金や国内債券、国内株式(元本保証ではない)を中心に運用するのがおすすめです。
大井さんは安定的な運用志向だと思うので、定期預金50%、国内株式40%、先進国株式10%くらいの比率で組むといいかもしれないですね。
ーーなるほど。それなら安心して運用できそうです。そういえば私、ほったらかしたままの定期預金があるんです。
それなら貯まっているお金を確定拠出年金に振り替えたほうが良いですね。確定拠出年金なら、金利だけでなく、節税効果も得ることができるのでお得です。
☆ファンド(投資信託)とは? 資産運用の専門家が株や債券などを取りまとめて運用してくれる金融商品。ひとたび資金を預ければ、その道のプロが経済動向や個別の企業についての情報収集をし、タイミングをはかって売買してくれる。ただしプロが運用することに対して手数料がかかる。商品選びの際はよくチェックしよう。(参考:5分でわかる! 積立投資信託のアウトライン)
金融機関はどう選べばいい?
ーーさっそく確定拠出年金を始めたいのですが、まず金融機関で口座を開く必要があるそうですね。口座を開く金融機関は、何を基準にして選べばいいでしょうか?
個人で金融機関を選ぶなら、手数料や投資先のジャンルなどを基準にするとよいでしょう。口コミで評判がいい金融機関を選ぶのもいいかもしれません。
ーー例えば、Aという金融機関で確定拠出年金を始めたけど、やっぱりBにしたいって思ったときに、金融機関を変更することってできるんですか?
できます。ただし、別の金融機関に移管する場合は移管手数料がかかりますので、慎重に考えることをおすすめします。
ーー正直、運用がうまい金融機関ってあるんですか……?
あるかもしれないですが、確定拠出年金の口座を開く時には、その金融機関が運用が上手かどうかはあまり関係ありません。購入するファンドなどの商品が、どういうラインアップ(信託報酬が低い投資信託商品がたくさん選べるか等)なのか、ということの方が運用成績に影響するでしょう。
ーー風呂内さんが個人的におすすめな金融機関はありますか?
業界内で評判が良いのは「SBI証券」と「楽天証券」です。管理手数料が安いというのもあるのですが、どちらもウェブサイトで手続きや運用結果のチェックができるので、忙しい方やネットで済ませたい方に好評ですね。
なかには、隠れたイチオシとして「三井住友銀行」をおすすめする方もいます。窓口もあるから相談しやすいし、商品内容も充実しているんです。定期預金の比率を高めたいなら「スルガ銀行」もおすすめですね。
自分の条件にあった商品が揃っている金融機関を選びましょう。
運用結果をチェックするタイミングは?
ーー実際に確定拠出年金を始めたら、どういうタイミングで運用結果をチェックしたらいいですか?
確定拠出年金の場合、拠出金額を変えることができるが年1回なので、最低でもそのタイミングでチェックした方がいいですね。
ーーそれならお金に疎い私でもラクにチェックできそうです。
特に投資経験の乏しい方やお金が苦手な方は年1回で十分です。金融機関によって頻度が違いますが、年に何回か比率を見直すこともできるので、気になる人はもう少し頻繁にチェックしても良いかもしれません。
実際に始めると、評価額が刻々と変わるのを見るのが楽しくなる人もいますね。ただ、基本的に長期で資産を築き上げていくものなので年に1度でも負い目に感じる必要はないでしょう。
ーーお金が増えていくなら楽しそうだけど、減っていたら凹んじゃいそうです……。運用結果を見るのって慣れるもんですかね?
最初は「ドキドキするから運用結果を見るのが怖い」という人も多いですね。
ただ、確定拠出年金は、株式のように短期的にうまく売り抜けることができるものではなく、60歳までに増えていればいいという性質のもの。チェックしたタイミングで預かり資産が増えていても減っていても頻繁に売り買いすることが得意な制度ではありません。一喜一憂せずに、長い目で見るようにしたほうがいいですね。
ーー確かにそうですね。ちなみに、経済動向や国際情勢の変化があったときにはチェックした方がいいですか?
正直言って、どちらでもいいです。これも確定拠出年金の性質上、何かあったからといってすぐに売ったり買ったりといった動きができないし、運用自体も金融機関に任せてしまうので、評価額がいくらになるのかをチェックするくらいしかないです。
ただ、社会情勢によって評価額がどうアップダウンするのかを見ておくと、金融商品に対する知識が増えたり、投資のスキルが養われるため、そういう意味であればお薦めです。年1回の見直しの際の判断材料にもなりますね。
ーーなるほど!それならチェックするのも楽しみになるかもしれないですね。今回もいろいろと教えていただき、ありがとうございました!
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さっそく確定拠出年金を始めないと……!ということで、次回は、風呂内さんに教えてもらった「SBI証券」「三井住友銀行」「スルガ銀行」の資料を取り寄せて、実際にどの金融機関にするか決めたいと思います。次回もお楽しみにー!(続く)
今回、お話を伺ったのは…
風呂内 亜矢(ふろうち・あや)さん 1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP認定者、宅地建物取引士。26歳でマンションを購入したことをきっかけにお金の勉強を始める。2013年ファイナンシャルプランナーとして独立。著書に『その節約はキケンです―お金が貯まる人はなぜ家計簿をつけないのか―(祥伝社)』『デキる女は「抜け目」ない(あさ出版)』などがある。公式サイト:http://www.furouchi.com/ Twitter:@furouchiaya LINE@:@furouchi
撮影協力:UNDER THROW CAFE