(写真=IKEUCHI ORGANIC提供)

私のお金、どこへ行く?コツコツ投資とエシカル消費の共通点から考えたこと

「コツコツ投資×エシカル消費」イベントレポートお届けします

最近、「エシカル消費」という言葉を時々、耳にします。地球環境のことを考えて作られた衣類やアクセサリー、食品などを購入することで、社会や世界をよくしていこう、という取組みを指しています。

そんな中、「投資」と「エシカル消費」について語るイベントがあると知り、「全く別のジャンルに思えるけれど、共通するところってあるの?」と、興味が湧きました。

今回は、今治タオルの製造会社IKEUCHI ORGANICのTOKYO STOREで3月2日に行われた、「コツコツ投資×エシカル消費」のイベントレポートをお届けします!

登壇者プロフィール

この日、登壇したのは次の3人です。

imageTitle (写真=IKEUCHI ORGANIC提供)

ゲストスピーカー/竹川美奈子氏(写真左)
LIFE MAP,LLC代表/ファイナンシャル・ジャーナリスト
出版社・新聞社勤務を経て独立し、2000年にFP資格を取得。取材・執筆活動のほか、投資信託や確定拠出年金などの講師を務める。「コツコツ投資家がコツコツ集まる夕べ(東京)」の幹事も行う。著書に、「新・投資信託にだまされるな!」「臆病な人でもうまくいく投資法」など。

ゲストスピーカー/池内計司氏(写真中央)
IKEUCHI ORGANIC 代表
1949年、愛媛県今治市出身。1971年に一橋大学商学部を卒業、松下電器産業(現パナソニック)勤務を経て、1983年に池内タオルに入社し、1999年にファクトリーブランド「ikt」を立ち上げる。『2073年(創業120周年)までに赤ちゃんが食べられるタオルを創る』という目標実現を目指す。

モデレーター/安原ゆかり氏(写真右)
日経WOMAN 編集長
上智大学外国語学部後、日経ホーム出版社(現・日経BP社)に入社。『日経ウーマン』副編集長、『日経ココカラ』(休刊)編集長、『日経マネー』編集長、『日経おとなのOFF』編集長を経て、現在に至る。ファイナンシャルプランナー(AFP)の資格を保有している。

若い今から「コツコツ投資」をしよう!

イベント前半は、ファイナンシャル・ジャーナリストの竹川さんによる、コツコツ投資に関するお話でした。

竹川さんが薦めるコツコツ投資とは「長期でじっくり投資に取り組み、資産形成をすること」を指しています。

「お金のことをピラミッドに例えると、一番下が①国からの公的な保障』、真ん中が②企業からの保障(会社員の場合)となります。今、大切なのは一番上の③自分で準備すること。つまり、①と②で足りない分のお金は、自分で用意するのだという発想を持っておくことです。老後のお金を心配して受け身のままでいるのではなく、人生で一番若い今のうちから、資産形成の準備を始めることが大切です」と竹川さん。

「ピギーちゃん」で学ぶお金の使い方

次に竹川さんが語ったのは、「お金の行き先をどうするか?」ということ。

「給料など、自分に入ってきたお金の使い道には『貯める』『使う』『寄付する』『投資する』という4つの選択肢があります。例えばアメリカの学校などでは、子どもたちにお金の使い方について考えさせる教材として、1体のブタの貯金箱をその4つに分け、お金を投入できる仕組みの「ピギーちゃん」というブタの貯金箱が使われています。みなさんも、稼いだお金の『行き先』を考えてみましょう」

私も含め日本で教育を受けてきた人は、お金の使い方について、授業などで学ぶ機会がなかった人も多いと思います。会場のお客さんも、竹川さんのお話を興味深そうに聞いていました。

「長期+分散+低コスト」で継続した投資を

竹崎さんは、私たちのようなビジネスパーソンが投資を続けるコツについて、「長期+分散+低コスト」と、「継続しやすいシステムを作る」の2つがポイント、と言います。

「低額から購入できる投資信託(☆)なら、月5000円~1万円程度でも、毎月の積立が可能です。まとまったお金が貯まってから投資をスタートさせるのではなく、今あるお金で少しずつ、働きながらコツコツ投資を続けることをおすすめします」とのこと。

コツコツ投資で使う商品としておすすめするのが、株や債券などを対象としたインデックス型の投資信託(ファンド)。

「TOPIX(東証株価指数)に連動したインデックスファンドをはじめ、先進国株に投資をするインデックスファンドなど、複数のインデックスファンドを組み合わせることで、世界中の会社に分散投資をすることができます」

☆投資信託(ファンド)とは?
資産運用の専門家が株や債券などを取りまとめて運用してくれる金融商品。ひとたび資金を預ければ、その道のプロが経済動向や個別の企業についての情報収集をし、タイミングをはかって売買してくれる。(参考:5分でわかる! 積立投資信託のアウトライン

☆インデックス型とは?
投資信託の種類の一つで、東証株価指数や日経平均株価といった指数の動きに連動するように運用すること。反対は「アクティブ型」で、指数を上回ることを目標に運用する。一般的に、インデックス型の方が手数料が安いとされる。(参考:あなたの性格で選ぶ金融商品が分かります

投資もエシカル消費も、長い時間軸で考える

イベント中盤は、IKEUCHI ORGANIC代表の池内さんによるブランドムービーの紹介や、バックヤードで働く方々の様子などが紹介されました。「100%のオーガニックコットンタオル」を実現した同社の、環境にやさしい製品づくりへの徹底したこだわりと、池内さんをはじめとした、スタッフの方々の熱意が、お話から伝わってきました。

イベント後半は、竹川さん、池内さん、モデレーターの安原さんの3人で、「コツコツ投資」と「エシカル消費」に関するトークセッションが行われました。

まずは、エシカル消費とコツコツ投資についての、それぞれの考え方について。

「世間的には、オーガニック=肌によい、などのイメージを持つ方が多いのですが、例えばオーガニックタオルを使ったからといって、肌荒れが治る、などというわけではありません。エシカル消費は、『製品を使う人自身によい影響を与える買い物』というよりも、『環境や地球によい影響を与える買い物』ということなんですよね」と池内さん。

「エシカル消費や寄付など、社会のことを考えてお金を使うという発想を持つことは、もちろん大切です。ですが、投資など『まずは稼いだお金を、自分の資産形成のために使おう』という考えも、決して間違っていません。コツコツ投資もエシカル消費も、『お金の〝行き先〟をきちんと考えている』という点で共通していると思います」と竹川さん。

安原さんは、「『今、自分が欲しいものを買う』というだけではなく、コツコツ投資やエシカル消費のように、自分や社会の未来のことを考えたお金の使い方は、大事なことだと思います」とコメント。

安原さんは続けて次のように語りました。

「竹川さんと池内さんのそれぞれの話を聞いていると、竹川さんの『長期的な資産形成を考えたコツコツ投資』、池内さんの『将来の地球や環境のことを考えたオーガニック製品の製造』と、一般の人より、ずっと先のことを考えて行動している、つまり考える『時間軸』が長いように見えます」

エシカル消費でも、中身へのこだわりは大事

トークの流れは、オーガニック製品は地味なものが多い、というお話に。

「一般的に、タオルというものは消費される対象です。お客様が気に入ったデザインのタオルがあっても、次に買いにいった時には、もう同じものが売っていない、ということは珍しくありません」と語る池内さん。IKEUCHI ORGANICでは、永久定番の考えの元、限られた種類の商品を販売し続けているそうです。

IKEUCHI ORGANICのファンだという竹川さんも、「『環境によいものを買いたい』という想いはあっても、地味なデザインのものだと、買っても愛着があまり湧かないこともあります。IKEUCHI ORGANICの商品は、デザインやカラーにこだわりを持って作られていて、使っていて幸せな気分になれる。同じ『地球に優しい』エシカル消費の商品でも、見た目やデザインにこだわったものを作るという姿勢は大切だと思います」と言います。

コツコツ投資&エシカル消費を「常識」に

最後に、エシカル消費とコツコツ投資のこれからについて語られました。

「『エシカル』『オーガニック』などの言葉が、ファッション感覚で世の中に捉えられている世間の風潮に疑問を感じている」という池内さん。

「エシカル消費が、日常生活の中にもっと自然に取り入れられるようになって欲しい。また、商品を売る時に『オーガニック』などという言葉が売り文句にならないくらい、その概念がもっと広がって欲しいと考えています」。

竹川さんも、池内さんと同じように考えています。

「仕事をする中で、投資信託などで長期的な資産形成をしている人にはなかなか出会えず、まだまだコツコツ投資は広がっていないんだ……と感じます。現在、コツコツ投資家同士が交流・情報交換をする機会を設けていますが、将来的にはその会を開く必要がないくらい、暮らしに日常的に『投資』が取り入れられるようになったらいいなと思います。普通の人が仕事をしながら、当たり前にコツコツ投資を行うような社会になって欲しいと思います」

「働く中では、時に大変な思いや苦労などをすることもあると思います。そうして産まれたお金を、資産形成をするための投資や、環境によいエシカル消費など、『自分が稼いだお金が〝いい所〟に旅立ってくれるといいな』と、お2人のお話を聞いていて思いました」という安原さんの言葉で、イベントは締めくくられました。

お金の使い方を考えれば未来が変わっていく

今回のイベントに参加した中で、特に印象に残った言葉が「お金の行き先を考える」ということ。

例えば、自分が欲しいものを買うだけでなく、「エシカル消費になるものを買ってみよう」と考えて行動したり、貯金をするだけでなく「収入のうち、毎月1万円は海外に投資できることに回そう」など、私たちがお金の行き先を少しずつでも意識することが、結果として地球環境をよくしていったり、個人の資産形成ができることにつながるのではないかな、と思いました。

努力して得たお金をどう使うかによって、自分の将来や地球の未来が少しずつ変わっていくのだということに、改めて気づかされました。

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