(写真=TunedIn by Westend61/Shutterstock.com)

放置しちゃダメ!ほったらかしの「確定拠出年金」メンテナンス法

確定拠出年金「企業型」初歩からわかりやすく説明します。

FPでありDCプランナーでもある筆者が、確定拠出年金(DC)の「企業型」にフォーカスして、初歩からわかりやすく説明していきます。

この連載を読めば、企業型DCを上手に活用できるようになります。

確定拠出年金は長い時間をかけて運用します。その時間の流れとともに資産の額が、ポートフォリオの比率と大きく変わってしまうことがあります。また、年齢を重ねるとリスク許容度(どれくらいリスクを取れるか)も変化し、ポートフォリオを変える必要が出てきます。

今回は、運用先の変更について解説していきます。

元々決めたオリジナルポートフォリオの割合に戻す

前回は、自分のリスク許容度や期待リターンによって運用商品の配分を決めて、オリジナルポートフォリオを作ろうと提案しました。

しかし、その通りの配分比率を続けていたとしても、投資信託の基準価格は日々値動きがあるので、資産残高で見ると当初設定した配分比率とずれが生じてきます。

値動きのある商品は、常に価格の上下を繰り返していきます。

メンテナンスせずにほっておくと、例えば、株式型投資信託の比率が上がり、一方で債券型投資信託の比率が下がるということが起こります。それを元の配分に戻す作業を「リバランス」といいます。

リバランスをしないでおくと、分散投資にならなくなり、リスクが大きくなってしまいます。分散投資は、リスクを一定限に抑えて安定的にリターンを狙う方法です。

リバランスには「配分変更」と「スイッチング」の2種類の方法があります。

配分割合を変更する「配分変更」

商品ごとの資産残高は変えないが、毎月の掛金の比率を変更して、徐々に時間をかけて資産の比率を元々設定した配分比率に戻していくという方法です。

例えば、元本確保型25%、国内株式25%、外国株式25%、外国債券25%の配分割合で拠出していたが、2年経った資産残高が、元本確保型15%、国内株式35%、外国株式35%、外国債券15%となっていた場合、毎月の掛金の元本確保型と外国債券の比率を上げて、国内株式と外国株式の比率を下げて配分を行うという方法です。

元の配分比率に戻すには時間がかかりますが、費用が発生しない点がメリットです。

資産を強制的に移動させる「スイッチング」

比率が超過している資産を解約または売却して、比率に満たない資産を追加購入するという方法です。

この作業は勇気が必要です。なぜなら、予想より価格が高くなった資産を手放して、低くなった資産を増やすことになるからです。しかし、期待した利益を得ようとすると、短期間の値動きに左右されてはいけません。

この方法は即効性があります。また、通常利益を確定させた場合には利益部分に所得税・住民税がかかりますが、DCでは非課税なので大胆な入れ替えが可能です。

ただし、スイッチングは、投資信託の場合は商品の特性から、入れ替えに時間がかかってしまうことと、一部手数料がかかることがあるので、注意が必要です。

保険商品は解約控除という手数料、投資信託は信託財産留保額という手数料がかかります。

企業型ではいつでも残高が確認できるよう、会社からインターネットサイトの情報とIDが与えられているはずです。最低でも年1回は資産状況を確認して、必要であればリバランスを実行しましょう。

配分比率を変更する「リアロケーション」

確定拠出年金は、老後の資金を確保するための制度だとこの連載でお伝えしています。

早くても60歳にならないと資産を現金化することができません。そのような長い時間のなかでは、いろいろなことが起きます。

余裕資金が出来たのでリスクの高い商品に投資して期待リターンを上げたい、50歳を超えていよいよお金を受け取る時期が迫ってきたなど、自分の環境・状況に応じてポートフォリオの資産配分自体の変更するケースが出てきます。これを「リアロケーション」といいます。

例えば、元本確保型25%、国内株式25%、外国株式25%、外国債券25%の配分割合のポートフォリオとしていたが、50歳になりリスクを低くしたいので、元本確保型50%、国内株式20%、外国株式10%、外国債券20%などに変更するというものです。

ただ、60歳に近くなったから必ずリスクを下げないといけないわけではありません。DC以外の資産や、固定収入が60歳以後も変わらない額で望めるかなど、現役と同じ状況を続けることができる人なら、そのままリスクをとって期待リターンを維持します。

こちらは、大きくお金が動くタイミングと、5年毎に1回程度と考えてみるといいでしょう。

まとめ

日々の値動きに一喜一憂する必要はありません。しかし確定拠出年金の資産は、老後の暮らしに大きくかかわるお金であることに違いありません。残高や運用先について意識をなくさず、ほったらかしにしないことが重要です。

小野 みゆき
中高年女性のお金のホームドクター
社会保険労務士・CFP・1級DCプランナー
企業で労務、健康・厚生年金保険手続き業務を経験した後、司法書士事務所で不動産・法人・相続登記業務を経験。生命保険・損害保険の代理店と保険会社を経て2014年にレディゴ社会保険労務士・FP事務所を開業。セミナー講師、執筆などを中心に活躍中。

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