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iDeCoだけじゃない!会社員でもできる、マジでオトクな節税法3つ
いま話題の確定拠出年金ですが、他にもあるんです
「マジで恋しちゃい~そうな♪」
筆者含め、読者世代の女性には聞き覚えがあるだろうこの歌。流行りましたよね、20年前。
「マジ」が死語になりつつあるかどうかも分からないぐらい流行に疎い筆者ですが、確定申告の〆切前のこの時期。もうすぐホワイトデーという話題はそっちのけで、ぜひ知っておきたい、マジでオトクな「旬の節税方法」をご紹介しましょう。
積み立てながら4万円節税…確定拠出年金おさらい
何といっても今年は「DC元年」。DCとは確定拠出年金(かくていきょしゅつねんきん、☆)のことです。
公務員や専業主婦などが、「個人型DC」(=iDeCo、イデコ)に加入できるようになり、国内に居住する20歳以上60歳未満の人なら基本的には誰でも何らかのDCに加入できるようになりました。
実はスタートからすでに15年以上経っている確定拠出年金という制度が「再」スタートを切った年と言っても過言ではありません。
魅力は何といっても、毎月の掛け金が全額、所得控除(☆)の対象になること。所得税・住民税の大幅減に貢献してくれます。例を挙げてみましょう。
・毎月の掛け金:2万3000円 ・所得税率:5%(※) (※注:所得税率は年収や家族構成などによって異なる。一つの目安として、年収300万円で5%、年収600万円で10%、年収1000万円で20%など。参考:税金の計算ってどうやるの?年収別の所得税を計算してみよう) ・住民税:10%(一律)
このような方がいた場合、年間の掛け金合計額27万6000円のうちの15%(=所得税率+住民税率)、で4万1400円が「節税」になります。
この節税効果は所得税率の高い方、つまり高額所得者ほど大きくなります。
すると、専業主婦の方から「私は所得がないから関係のない話」という声が聞こえそうです。確かに、その言葉にも一理あります。
では、専業主婦の方にはDCを活用するメリットはないかといえば、そんなことはありません。DCでお金を運用している間、運用で出た利益は「非課税」になりますし、60歳になって掛け金を受け取る時には「退職所得控除」といって、税金がかからなくなる制度があるのです。「自分年金づくり」という意味でも、DCを活用する値打ちは十分あるといえるのではないでしょうか。
確定拠出年金は、人によっていくらまで加入できるかが異なります。気になった方はこちらの記事でご確認ください。
・確定拠出年金に加入できるのはどんな人? 掛け金の上限はいくら?
☆確定拠出年金とは? 公的年金や企業年金にプラスするかたちで自分で積み立てる「年金」のこと。拠出したお金を、投資信託などで運用する。個人でも節税ができることや、2017年1月から加入対象者が拡大したことから、いま、老後資金づくりの方法として注目を集めている。(参考:これなら分かる!「確定拠出年金」がお得と言われる理由)
☆控除(こうじょ)とは? 税負担がなるべく色んな人にとって平等になるように考えられた「配慮」のこと。例えば、妻というパートナーを養っている人については、単身者に比べると生活をするのが大変なので、税金の負担を軽くしてあげましょう、という制度が「配偶者控除」。(参考:そもそも「控除」って?配偶者控除をもっと分かりやすく説明してみた)
特産物をもらって寄付した分節税法:①ふるさと納税
こちらはもうすっかりおなじみになりましたね、ふるさと納税。
本来は、地域活性のために、国からの助成金以外で地方自治体の財源を作ることが目的でした。けれども、返礼品の過剰競争で「節税しながら負担金以上の豪華商品が手に入る!」と、今では「ふるさと納税専門誌」まで出回っているほど。「お得な節税法」の一つとしてすっかり定着しました。
しかし、節税効果をきちんと理解されている方は意外に少ないようです。節税額は以下の計算で決まります。
節税額=(ふるさと納税額-2000円)
例えば、5万円をある自治体に寄付すると、高級肉やお米などの特産物がもらえるか、ゴルフコースのプレーフィー(ゴルフ場でプレーする際の必要諸経費)や温泉宿宿泊券がもらえるとします。
このときの「寄付控除額」は、5万円-2000円=4万8000円。本来払うべき所得税や住民税の合計から、4万8000円をそのまま差し引くことができます。これが「税額控除」。
つまり、実質2000円で「返礼品」を受けられると考えることもできるのです。
ただし、実質2000円で返礼品を受け取れる金額には上限もあり、総所得金額の40%と定められています。
(写真=Martin Prague/Shutterstock.com)
サラリーマン節税で有名:②医療費控除③特定支出控除
先に挙げたDC、ふるさと納税の「2大控除」に加えて、もっとも控除額が大きいうえに「税額控除」でダイレクトに節税できるのは、皆さんもご存じ「住宅ローン控除」です。
筆者はこの3つを「三大控除」と勝手に位置づけているのですが、住宅ローン控除は誰もが簡単に今すぐできるというものではないので、今回のお話からは除外しました。
しかし、住宅ローン控除のほかにも、控除による節税方法はいくつかあります。そのうち、③医療費控除と④特定支出控除をご紹介しましょう。
医療費控除
病院や薬局で支払った医療費や薬代が「年間10万円」、もしくは「総所得の5%」を超えた場合に、税金の負担が軽くなるというものです。
節税額=(「10万or総所得の5%を超えた医療費」-「生命保険などで補填(ほてん)された給付金額」)×(所得税率+住民税率)
これは従来からある医療費控除ですが、2017年から施行になった「セルフメディケーション税制」も、今後この部類に入る制度です。
セルフメディケーション税制は、風邪薬、湿布薬など「スイッチOTC医薬品」と呼ばれる市販薬を、薬局やドラッグストアで年間1万2000円よりも多く購入した人の税負担が軽くなるものです。
節税額=(「年間購入額が1万2000円を超えた分」ー「生命保険などで補填された給付金額を差し引いた額」)×(所得税率+住民税率)
ただしこの2つは併用できず、どちらか1つを選択することになりますので、医薬品を含めた年間の医療費領収書を比較しまょう。どちらが有利になるほうを、来年の確定申告時に確認して適用することになります。
特定支出控除
別名「サラリーマン経費」とも呼ばれるこの制度。仕事でかかった「経費」がある人の税負担を軽くしようというものです。 「経費」として認められる「特定支出」とは、以下の8項目です。
・通勤費 ・転勤に伴う引っ越しにかかった転居費 ・職務上で必要となる研修にかかった研修費 ・職務に必要な資格の取得費(弁護士、公認会計士、税理士資格取得費も含む) ・単身赴任などで、勤務地・赴任先居住地と自宅間の移動にかかった帰宅旅費 ・職務に関連する書籍の費用 ・仕事用に購入したスーツや制服などの衣服費 ・取引先への接待交際費 (書籍・衣服・接待費は合計65万円以内)
列挙してみると範囲は広いように見えますが、実際の利用者は極めて少なく、ほとんど浸透していないといっていいでしょう。
浸透していない理由の一つが、控除できる額まで年間経費を使う人が少ないこと。そして、確定申告時のこの控除を使うには、特定支出に対する会社の証明書が必要になることも、利用が進まない一因だと考えられます。
例えば給与収入が500万円の人の場合、特定支出控除の基準額は約77万円、もし「経費」として90万円使ったとしても実際に節税となるのは2万6000円なのです。(筆者の試算による)
この結果からも分かるように、「税額控除」のふるさと納税などに比べると、その効果は低いと言わざるを得ません。ただし、先ほども挙げたように、資格取得費用や転勤に伴う転居費も控除の対象となります。条件に合う方は確定申告で使えるよう、準備しておきましょう。
税金に詳しくなるチャンス
今回挙げた節税策は、やろうと思えば誰でも始められるもの。レシートをマメに集め、必要書類を用意することで、確実に実行できます。
確かに、面倒さを感じるかもしれませんが、一度体験しておくと税知識も付くので良い勉強のチャンスになると思います。賢い節税は、無駄に資産を減らさないことに直結します。銀行預金で自然に資産が増えない時代だからこそ、自己防衛は着実におこなう必要があり、実行することでその知識も皆さんの糧となります。