(写真=enase/Shutterstock.com)

地震大国・日本と言われるけど……賃貸でも地震保険に入るべき?

賃貸派のための地震保険講座、必見です。

地震大国とも言われる日本。いつ、どこで大きな地震が起きても不思議ではありません。日本気象協会の観測データによれば、最大震度5弱以上の地震は2016年だけで33回もありました。

もしも大地震の被害に見舞われたら、生活の再建は並大抵のことではありません。そんなときに頼りになるのが「地震保険」。地震で損害を受けたら、保険金を受け取れます。

でも賃貸なら、地震で部屋が半壊したり埋まったりしても、借り換えればいいのだから地震保険は関係ない。そんなふうに思っている人はいませんか。本当にそうでしょうか? 今回は、賃貸派のための地震保険について考えていきましょう。

そもそも地震保険とは?

地震保険は、地震・噴火、または地震や噴火による津波を原因とした損害を補償する、地震災害のための保険です。地震が原因で起こった火事が延焼・拡大することがありますが、その場合の損害は火災保険の対象にはなりません。地震が原因の損害は、地震保険に加入していなければ何の補償も受けられないのです。

補償対象は居住用の建物と家財で、受けた損害の程度により受け取れる保険金額が決まっています。損害の程度は、「全損」「大半損」「小半損」「一部損」の4段階です。ずいぶんざっくりとした分類ですが、これは大地震が発生した場合でも、多くの損害調査を短期間でこなし、速やかに保険金を支払う必要があるからです。

「全損」は家財の損害額が家財の時価の80%以上の場合で、保険金額の100%が受取れます(ただし時価が限度)。「大半壊」は同じく60%以上80%未満の場合で、保険金額の60%が受取れます。「小半壊」は同じく30%以上60%未満の場合で、保険金額の30%が受取れます。「一部損」は同じく10%以上30%未満の場合で、保険金額の5%が受取れます。損害が10%未満の場合には、保険金は受取れません。

地震保険に加入したら、月々の保険料を支払う必要があります。地震保険の保険料は、保険金額・建物の所在地(都道府県)・建物の構造によって決まっていて、どの保険会社で加入しても料金は同じ。地震保険が公共性の高い保険であるため、保険会社間での競争が起きないようにされているからです。保険料には保険会社の利益は含まれず、取扱代理店の手数料も低く抑えられています。

保険金額1000万円あたりの地震保険の保険料は、建物の構造が耐火の場合、最安値は、年間6800円の秋田県や富山県、鹿児島県など20の県が当てはまります。東京都、千葉県、神奈川県、静岡県が最も高額で、年間2万2,500円です。

地震保険料控除の活用で節税できる!

地震保険料の支払いをすると、所得控除(☆)が受けられます。地震損害の対策をしながら、所得税と住民税を節税することができるのです。これは、国が個人の地震災害への備えを支援しているからですね。

控除額は、所得税が保険料の全額(上限5万円)、住民税が保険料の半額(上限2万5000円)です。例えば、東京の住宅で家財500万円の地震保険に加入した場合、上の表から分かるとおり1年間の保険料は1万1250円。所得控除額は所得税で1万1250円、住民税で5625円です。仮に所得税率が10%であれば、住民税(一律10%)と合わせて、約1700円が取り戻せます。

☆控除(こうじょ)とは?
税負担がなるべく色んな人にとって平等になるように考えられた「配慮」のこと。例えば、妻というパートナーを養っている人については、単身者に比べると生活をするのが大変なので、税金の負担を軽くしてあげましょう、という制度が「配偶者控除」。(参考:そもそも「控除」って?配偶者控除をもっと分かりやすく説明してみた

火災保険との違いは

さて、地震保険は単独で加入することはできません。必ず火災保険とセットで契約しなければならないのです。そして、地震保険の保険金額は、火災保険の保険金額の30~50%以内で、上限額は建物5000万円、家財1000万円というルールがあります。

例えば、家財500万円の契約だった場合、火事で全焼したら500万円の補償ですが、地震保険なら250万円が上限だということです。これは、火災保険と地震保険では保険の目的が違うからです。

火災保険では、被害からの完全復旧を目的としています。そのため、火災保険の保険金は、建物や家財の時価など、買い替え、建て替えの金額も補償しています。それに対して地震保険は、完全復旧や買い替えではなく、被災者の生活の安定に寄与することを目的としています。

地震で500万円の家財がすべて壊れてしまったときに250万円を受け取っても、元通りに家財を買い換えることはできません。それでも、生活を再建する資金にはなるでしょう。

地震, 保険, 損害, 控除, 地震保険 (写真=WEERACHAT/Shutterstock.com)

賃貸でも地震保険に入るべき?

このように考えると、地震保険は賃貸でも加入しておけば、いざというときに役立ってくれるといえます。実際に大規模な地震が起きると、建物には大した被害がなくても、家財は意外と大きな損害を受けます。食器類が割れてしまったり、食器棚やタンスといった大型家具類が倒れたり、パソコンやテレビ、冷蔵庫などの家電製品も倒れて使い物にならなくなるケースもあります。

では、家財の損害はどのように決められるのでしょうか。実は、家財の損害程度の認定は、家財それぞれが受けた損傷の状態で判断されるわけではありません。

どのように決まるのかというと、まず、家財を大まかに5分類した中で、一般的に所有されていると考えられるもの(代表品目)がどれだけ損傷しているかで、家財全体の損害割合を算出します。そして、「全損」「大半損」「小半損」「一部損」または「支払い対象外」の認定をしていくのです。

前述のとおり、「一部損」は損害割合が10%以上ですから、損傷が10%未満だった場合は保険の支払い対象外となります。

5つの分類と代表品目は次の通りです。
1.「食器陶器類」:食器、食料品、調理器具等
2.「電気器具類」:パソコン、テレビ、冷蔵庫等
3.「家具類」:食器戸棚、タンス、机等
4.「その他身の回り品」:書籍、ピアノ、レジャー用品等
5.「衣類寝具類」

この認定方法だと、家財全体の損害割合が問題となるため、損害を受けたのが特定の家財だけだと損害割合は低くなります。これで損害割合が10%に満たないと認定されたら、保険金は支払われないということなのです。

例えば、壊れたのが食器だけだとしたら、それが1枚であろうと30枚であろうと、損害割合は変わりません。けれども、分類ごとの代表品目にそれぞれ多少でも損害があれば、全体の損害割合は高くなるということです。

もしも被災してしまったら、携帯電話のカメラで構いませんので、片付ける前に損傷箇所をカメラで撮っておきましょう。これは損害保険の基本です。

地震への備えはまず保険、次に保険以外も考えて

地震保険に加入するなら、基本的には火災保険と同時にセットで契約します。しかし、後から追加で加入することもできるので、まずは契約している火災保険の保険会社に問い合わせてみましょう。

それから、保険以外の備えも考えましょう。大地震が起きたら大抵、避難指示が出ます。避難場所は学校や公園、公民館などですが、自分の避難場所はご存じですか?自治体のホームページなどで確認し、避難場所へと迷わず向かえるようにしておきたいですね。

ハザードマップを見て、自宅や勤務先周辺に潜む危険をあらかじめ調べておくことも忘れずに。国土交通省の「ハザードマップポータルサイト」から、日本全国の地域を確認できます。

災害に遭わないで済めば何よりですが、備えあれば憂いなし。万が一に備えておくことは、安心できる暮らしの基礎です。しっかりと備えを整えて、いざというときの対策をしておきましょう。

▲TOPページへ

この記事をシェアする

個性的な連載で「投資」を身近に

一つのテーマを深掘り、おすすめ特集