(写真=fizkes/Shutterstock.com)

【連載】「マネー相談は人生相談。女性FPたちのホンネ日誌」

#14 「義母のせいで家計がうまくいかない」自営業妻から得た3つの教訓

杼木美絵のつぶやき【後編】

あまり表に出ることのないファイナンシャル・プランナー(FP)という職業の女性たちに、普段どんな相談を受けているのかリレー日誌形式でつづってもらう連載です。40代前半自営業妻の「家族3人、月収17万円、貯蓄ゼロ」という驚きの相談を受けた杼木(とちぎ)さんは、初回面談から1カ月後、送られてきたレシートを見てあ然としました。問題だらけのこの事例には、学ぶべき3つの教訓があるといいます。

【前編はこちらから】
#13 悩める自営業妻は月収17万円、貯蓄ゼロ。家計の「意外なキーマン」は…

レシートからどんどん明らかになる浪費癖

初回面談から1カ月後、彼女から1カ月分のレシートが送られてきました。そこから見えてきたのは、実に食費の70%を外食が占めている実態と謎の振込みの数々でした。

2回目の面談では、まず、振込みの内容について聞いてみることにしました。

すると、数年前に利用した占い師への毎月の支払い、痩身エステの毎月の支払い、以前別のFPと年間契約をしていた分の残りの支払い、ボールペン字講座の毎月の支払いなど、毎月の収入の3分の1がこのような振込みに消えていました。

保険の見直しも実現せず

振込みの中でも特に、以前契約していたという別のFPとの年間契約は終了できるのか確認してもらうと、翌月で終了してもらえることになりました。

外食が家計を圧迫していることを伝えると、週に1回程度に減らすようにしますとのことでした。

ただ、この家計の支出減の本丸とも言える保険の見直しは「友人に連絡したら、あと2年は何とか続けて欲しいと頼まれたのでやめられません」と言われ、彼女が本当に家計を見直す気があるのか疑問に思えてきました。

新たに出てきたタクシー代

翌月は、彼女の意識に変化がみえました。外食も前月の4分の1に減り、そのことを伝えると嬉しそうにしていました。

ただ、前月なかったタクシーの利用が5000円ほどあり、何に利用したのか尋ねると、二人目の子供のために不妊治療をしているとのことで、病院までの往復に利用したとのことでした。

それなら、さらにしっかりと家計を見直さないといけませんねと話し、支出をこれ以上減らせないのなら、収入を何とか増やしましょうと話しました。

「義母が働くのを許してくれない」

彼女は平日の昼間、家業の手伝いをしていることが初回の面談で分かっています。実際、何をしているのか聞いてみると、経理を担当していると言っても、ほとんど何もすることがなく座っているだけです。

それなら、自営の手伝いは週の半分にして、もう半分は別のところでパートで働くことを提案してみました。

すると、彼女からは、「夫は許してくれるが、『嫁が他で働いていると、自営がうまくいっていないと隣人に思われる』という理由で義母が外で働くのを許してくれない」との言葉が返ってきました。

では、毎月の収入17万円を少し増やしてもらえるよう交渉できないかと話すと、以前、夫に頼んでみたことがあるが、義母からは、自分たちはその金額で子どもを2人育てたのだから17万円でできないはずがないと言われたから無理だという返答でした。

収入増のための提案はことごとく聞き入れられませんでした。

結局、家計見直しは終了

収入が固定で、支出もこれ以上減らせない。最終の面談を前に、やはり、保険見直しの必要性を再度訴え、手元に残るお金を少しでも増やそうと考えていたところ、彼女から目を疑うようなメールが入ってきました。

実は、国民年金保険料を半年以上滞納しており、確定申告で義母にばれるのが嫌で、今月の収入全額をその支払いに回したとの内容でした。加えて、お金がないので、わたしへの支払いも1カ月待ってほしいとのこと……。

私は「支払いは来月でいいですよ」と話し、家計見直しを終了することにしました。彼女からの支払いが翌月されず、督促することになったことは言うまでもありません。

この事例に含まれた3つの教訓

今回は残念ながら、FP相談がうまくいかなかったですが、この事例には大切な教訓が3つ含まれていると思います。

まず、今回のご相談者に限らず、お金の管理の雑な方は、物事すべてにおいて雑だと感じています。例えば、この相談者の場合、面談の日程調整も二転三転し、ヒヤリングシートの記入も雑でした。

マネー関連の書籍やコラムを読んでいると、「お財布を整えることで、お金が入ってくる」、という言葉を耳にしますが、それはある程度的を射ていると筆者は思います。お金を大切にしていきたい人はまず、日々の営みを大切に、丁寧にしていくことから始めてみてはいかがでしょう。

また、この相談者は、「義母がすべて悪いから、こんな状況になっている」ことを第三者にわかってもらいたかったのだと思いますが、自分がいま豊かでない理由を周囲のせいばかりにしていては前に進むことは難しいです。

今どき、DAILY ANDSを読むような、資産運用に興味のある方にはそのような「人のせいにしてばかり」の方はいないとは思いますが、あらためて、読者の方には自分で行動を起こす勇気と努力を惜しまないでほしいなと思います。

最後に、家計の管理方法の修正には、引落口座の変更や、不要なカードや通帳の解約、財形貯蓄の活用など、面倒な事務手続きが必須です。

長年放置してきた機能性のないシステムを、家計相談を機会に、一新するんだ!という強い意志がないと、FPからの知識もアドバイスも全く実を結びません。

読者の方には、お金を払ってFPに相談したらなんとかなる、という思いは消し去り、FPの助言を手助けに自分が変わっていくことが大切と、ご理解いただければ幸いです。(杼木美絵のつぶやき、おわり)

【これまでの相談事例はこちらから】

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