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引き出せない「確定拠出年金」預け先が破綻したらどうなるの?

楽観視できない老後の備え。まずは破綻リスクを考えてみましょう

以前から、少子高齢化・人口減少が原因で年金はいずれ破綻すると言われてきました。しかし実際、自分事として真剣に向き合っていた人は多くないのでは?

昨年の2016年11月29日、衆院本会議で年金制度改革法案が可決されました。将来、年金支給額が最大3割減少するということで、「年金カット法案」とも言われていますね。これはいよいよ、否が応でも老後のお金問題に向き合う時期が来たと言っていいでしょう。

今、老後資金の備えに最強と言われているのが、自己責任型年金である「確定拠出年金(DC)」です。今回は、DCに関わる金融機関や勤め先が破綻した場合、貯めてきたお金はどうなるのかを解説していきます。

勤めている会社が倒産した場合 <企業型DCの方>

勤めている会社の倒産がないとは、決して言いきれません。そんなとき、企業型DCを利用してたからといって、これまで貯めた年金資産が没収されるようなことがあっては大変です。

結論から言うと問題はありません。毎月会社が拠出してくれた掛け金は、倒産後もらえなくなってしまいますが、これまでに貯めてきた皆さんの資産は会社の資産とは別で管理されているため、全額守られます。

積み立ててきた資産は、信託銀行などの「資産管理機関」にある個人口座に残りますので、会社が倒産しても影響はないのです。次の会社か、またはiDeCo(個人型DC)に移管して運用を続けることができます。

資産管理機関が破綻した場合 <企業型DC、iDeCoの方>

では、皆さんが貯めてきた資産の管理委託先である資産管理機関、信託銀行や保険会社などが破綻した場合、こちらはどうでしょうか?

それもご安心ください。皆さんの年金資産は全額保全されます。なぜなら、金融商品取引法で資産の分別管理が義務付けられており、資産管理機関もまた、自己資産と顧客の資産を別々に管理しているからです。iDeCoの場合は、公的年金の運用管理をおこなっている「国民年金基金連合会」が資産管理をしています。

金融機関(運営管理機関)が破綻した場合 <企業型DC、iDeCoの方>

前述のとおり、皆さんの年金資産は資産管理機関または国民年金基金連合会で管理されていますので、運営管理機関として選んだ金融機関が破綻しても、資産は全額保全されているので問題ありません。

金融機関(運営管理機関)の業務は、主に
・運用商品の選択と情報提供
・個人情報の記録(レコードキーピング)と資産管理機関への情報提供
の2つであり、金融機関の破綻とともに皆さんの年金も失われるということはないのです。

ちなみに、金融機関(運営管理機関)が破綻したら、新しい金融機関に変更されることになります。

運用先が破綻した場合 <企業型DC、iDeCoの方>

(1) 定期預金

「預金者保護制度」によって、1人あたり1金融機関につき、元本1000万円とその利息が保護されます。

ただし、例えばABC銀行のA支店に預金のある口座を持っていて、確定拠出年金制度内にもABC銀行の口座があった場合、ABC銀行の両口座の合計額が対象となります。つまり、合計で1000万円を超える資産を預けている場合は、全額守れるわけではないことに注意しておきましょう。

(2) 保険商品

確定拠出年金で選べる商品として、生命保険では「有期利率保証型積立生命保険」、損害保険では「積立傷害保険」の2つがあります。

生命保険は「生命保険契約者保護機構」、損害保険は「損害保険契約者保護機構」によって、それぞれ「責任準備金」の90%、「保険金・満期返戻金・解約返戻金」の90%が補償されます。

つまり、確定拠出年金で選べる保険商品は元本保証型商品に分類されますが、保険会社が破綻した場合は元本割れするということです。また、契約時に約束されていた利率は引き下げられる場合もあるので、その点も注意しておきましょう。

(3) 投資信託

投資信託の場合は、証券会社などの販売会社や運用会社が破綻しても大丈夫です。運用資産はその信託銀行の自己資産とは区別して管理されています。

さらに、年金資産が円滑に返還されない場合に備えて、全証券会社は「日本投資者保護基金」への加入が義務付けられています。これは金融商品取引法に基づいて設立された機関で、不測の事態などにより皆さんに円滑な資産返還をおこなうことが困難だと認められた場合には、原則として1人当たり1000万円まで補償されます。

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DCは運用リスクのコントロールが重要

ここまで、さまざまな破綻の可能性について見てきたとおり、確定拠出年金における破綻リスクへの対応は、それぞれなされています。つまり、重要なのは「運用リスクのコントロール」になるのです。

相場が急落することはよくあります。例えば、直近ではイギリスのEU離脱、いわゆるBrexit(ブレグジット)のニュースで、大規模な株安が発生しました。株が安くなると株式投資信託の基準価額も下落し、一時的に損失を抱えることも考えられます。

対策としては、毎月コツコツ一定額を積み立て(ドル・コスト平均法)、グローバルに分散投資をおこなうことで、運用リスクをコントロールして資産を築いていくことをおすすめします。

相場の急落があるのは事実ですが、ずっと下がり続ける相場がないことも事実です。数十年にわたってじっくり運用することで、短期的な損失は気にならなくなるでしょう。なお、60歳の受け取り時点で下落した場合は、受け取りの開始を最大70歳にずらすなどして、受け取るタイミングを計るのも一つの方法です。

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