(写真=Thinkstock/Getty Images)

トランプ大統領が就任したら…「ほったらかし投資家」3つのチェックポイント

基本路線は◯◯◯◯です!

1月20日(日本時間21日)に、トランプ次期米大統領の、大統領就任式が行われます。

就任前だというのにすでに、トランプ氏の口先介入、あるいはツイッターによるツイート介入(!?)に振り回され、世界経済はそろそろ疲れてきたような気配もありますが、本番はこれからです。

「ほったらかし投資家」の目線で、今後の注目点をチェックしておきましょう。

※2017年1月18日夕方までの情報をもとに執筆しています。

基本路線は?

まず、基本路線として押さえておきたいのは、「長期に目を向ける」ということ。

例えば、「勝利宣言」のときから、トランプ氏が一貫して宣言している「インフラ投資」関連の銘柄に投資する公募投資信託が登場し、話題になっています。

参考:大和投信、「トランプ銘柄」投信 17日に運用開始 (日経新聞)

こうした「テーマ型」投信を参考にする、投資の一部として役立てる方法はあるかもしれません。

でも忘れてはならないのは、個人が入手できる情報は限られていて、世界中に「不確実」なことが多すぎる、ということです。

そうしたときは、もう少し後ずさりして「長い期間」に目を向けるという方法があります。

資産の一部はトレンドに向けてもいいのかもしれませんが、基本「ほったらかし」にしておきたい投資家としては、直近は上向くであろう先進国株式といったインディックス(株価指数)に連動した投資信託やETF(上場投資信託)をコツコツと積み立て、ほどよく上がったら売却して利益確定していく……。こうした地道な方法が、ストレスにならない資産運用なのではないかと筆者は考えます。

「ほったらかし投資家」3つのチェックポイント

基本路線を押さえた上で、いち「長期投資家」でもある筆者が気にしているのは次の3つのポイントです。

①為替の動き

「為替」……というと難しいイメージを持つ人もいるかもしれませんが、慣れると簡単なのでもしよければトランプ氏の大統領就任を機に知識を身に着けてみてはいかがでしょう。

トランプ氏の「強いアメリカ」政策は世界のマネーをアメリカに呼び込み、ドルがますます強くなることを意味します。もしドルが強くなると、円安が進む可能性があり、日本にとっては輸出企業の業績がプラスになったり、あるいは海外からの旅行客が増えたりする可能性があります。

しかしドルが強くなりすぎると、アメリカにとっては他国との競争で不利になってしまうという側面もあります。そこで、

「そろそろトランプ氏から、ドル高けん制発言が出るのではないか」

みんなそう思ってドキドキしていたところ、先日、米国の「ウォール・ストリート・ジャーナル」のインタビューでトランプ氏は、このごろ名指しで批判している中国を念頭に「通貨が強過ぎるので、米国企業は中国に勝てない」といった発言をしました。

するとどうでしょう。東京外国為替市場では18日、1ドルが112円台半ばまで上昇、1カ月半ぶりの円高・ドル安水準になりました。トランプ氏が、大統領就任後も同じような発言をするとなれば、「アメリカの通貨政策が大きく変わる」ことを意味します。

ちなみに円高が進むと、日本にとっては、輸出企業の業績が下がったり、旅行客が減ったりする一方で、企業が海外進出しやすくなったり、海外から原料を輸入するときにコストが下がったりする可能性があります。

18日にはスイスで開かれているダボス会議(世界経済フォーラムの年次総会)で次期政権の幹部が、同じようにドル高けん制ととれるような発言をしているのも気になります。

就任後のトランプ新大統領や政権幹部から、為替に対する発言が出るのかは要チェックです。

②中国、ロシアとの関係

「ほったらかし投資家」の中には、海外の資産に投資している人も少なくないでしょう。また、海外と取引のある日本企業の株を持っている人もいるかもしれません。

過激な発言で知られるトランプ氏ですが、彼の影響力は早速、中国にも及んでいます。

例えば、先に上げたダボス会議といえば、出席した中国の習近平国家主席は1月17日、講演で、なんとグローバル化や自由貿易の重要性を強調。社会主義国のトップの発言としては「えっ」と耳を疑うものです。

こうした、きわめて珍しいことが起きるのも、トランプ氏が実行しようとする政策の破壊力ならでは、といえるかもしれません。

ちなみにトランプ氏は、不思議なくらいロシアとの接近を深めていることも注目されています。実際、当選後初めて行われた1月11日の記者会見で、記者からの質問はロシア関係に集中しました。

不自然な動きの背景には、トランプ氏がロシアに個人的な弱みを握られているのではないか?という疑惑もあります。トランプ氏は「偽ニュース」と言っていますが、影響が大きすぎるだけに、笑っている場合ではありません。

大統領選挙後の落ち着いた態度での「勝利宣言」で、世界中がほっとしたのもつかの間。「トランプ節」は復活し、正式就任直前の今でも、あまり変わっていません。大統領就任後も側近が「火消し」をするということがおなじみになるのでしょうか?

③自己アピールする企業

トランプ次期米大統領の就任を前に、自己アピールをする企業が増えている点も注目です。

例えばメキシコへの工場建設や移転でトランプ氏のターゲットにされやすい自動車業界。トヨタはツイッター上で非難されたことの対応もあってか「今後5年間での100億ドルのアメリカ国内投資」を社長自らがデトロイトで表明しました。

韓国の現代(ヒュンダイ)自動車も、今後5年間で31億ドルを投資する計画を発表しました。

アメリカの自動車メーカーも、ゼネラル・モーターズ(GM)、フォード・モーター、欧米フィアット・クライスラー・オートモービルズ(FCA)のビッグ3が年明けにアメリカでの雇用を増やすことを表明しました。

アメリカの小売り企業で世界最大手のウォルマート・ストアーズは、年内に約1万人の雇用を新たに生み出す計画を発表しています。

このように、例を挙げていけばきりがないほど、アメリカに雇用と資金が集まろうとしています。

こうした、トランプ氏の「ビジネス感覚」が評価される一方で、その急激すぎる変化の結果、いつどんなことが起きるのか。なかなか予想が難しいのが現実です。

何が起きるのか、大統領就任式を見てみよう

いずれにしても、注目は日本時間21日の大統領就任式。

就任直前の国民からの支持率は史上最低、欠席を表明する民主党議員が急増、中国が台湾代表の出席に「反対」表明するなど、直前になっても話題は尽きませんが、就任演説で新大統領がどんなことを語るのでしょうか?

「ほったらかし投資家」の基本路線は「長期視点」ではありますが、あなたのお金は世界経済のどこかしらに投資されていることでしょう。世界を動かす可能性のあるトランプ氏の動向から、目が離せません。

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