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薬のレシートで得する!「セルフメディケーション税制」4つのポイント

本当にお得なの?計算してみました

2017年1月から、「セルフメディケーション税制」なるものがスタートしました。

「セルフメディケーション」とは、自分で自身の健康に責任を持ち、軽い不調であれば自主的に医療製品などを使って自分で手当てすることをいいます。そして、「セルフメディケーション税制」では、1年間に1世帯で対象となる市販薬を、「1万2000円を超えて」購入した場合、レシートを取っておいて確定申告することで所得税の一部が還付され、翌年の住民税が減額されます。

カンタンに言うと、市販薬を使って自分で健康管理しようとする人を、税金で優遇してあげよう、という国の政策なのです。

年間1万2000円というと「私も対象になるかも!」と思う人も多そうですね。一体どのくらいお得になるのでしょうか?

セルフメディケーション税制を理解する4つのポイント

まず、セルフメディケーション税制とはどんな制度なのか、ポイントを4つに絞って紹介します。

1.風邪薬、湿布薬などを年間1万2000円を超えて購入した人が対象

セルフメディケーション税制の対象となるのは「スイッチOTC」と呼ばれる市販薬です。OTCはOver The Counter(=対面販売での薬を買うこと)の略で、これまで医師の処方が必要だった医療用医薬品を一般用にスイッチ(転用)して、薬局やドラッグストアなどでも買えるようにした医薬品のこと。

対象医薬品は、厚生労働省発表の品目一覧によると胃腸薬や風邪薬、湿布など1555種類(2016年12月16日時点)。今後は、パッケージに識別マークが付けられるとともに、購入品のうちどれが対象なのか、レシートや領収書を見て判断できるような対策もしていくことが決まっています。

レシートを見たときに、対象商品には印が付いていたり、対象商品のみの合計額が別に書かれていれば分かりやすいですよね。

2.節税インパクトは数千円程度?

次に気になるのは、実際にセルフメディケーション税制を利用するとどれくらいお得になるのか、ということですよね。

筆者がざっくり計算したところでは、年収400万円のA子さんが1年間に2万円分の対象医薬品を購入した場合で節税額は1600円でした。セルフメディケーション税制の上限である10万円分を購入して申告した場合でも、節税額は1万7600円です。

試算額はあくまで目安で、実際には個人の家族構成などによって異なる可能性がありますが、年収が高い人であれば節税額は大きく、年収が低い人であれば小さくなります。人によっては「こんなに節税できるんだ!」と思うかもしれませんし、それとも「たったこれだけ?」と思うかもしれません。

参考までに、計算の過程は次の通りです。

今回の節税の対象になるのは所得税と住民税です。住民税はどのような人でも税率は一律10%なので、対象となる医薬品を購入した金額のうち、「1万2000円を超えた分」に10%をかければ減税額が計算できます。

一方、所得税は税率が収入や家族構成によって5%〜45%とだいぶ異なってきます。今回は、ややこしい計算を省くために、A子さんの年収は400万円であることから考えて、かけられている所得税の税率を10%とします。計算するときは住民税と同じく、対象医薬品を購入した金額の「1万2000円を超えた分」に税率(A子さんなら10%)をかければ減税額が計算できます。

住民税の減税額と、所得税の減税額を足し合わせると、セルフメディケーション税制を利用して、1年間でどれくらい得をするのか?が分かります。

3.確定申告が必要

セルフメディケーション税制は自己申告制です。確定申告をしなければ、税制優遇を受けられません。

確定申告と聞くと、「難しそう…」と尻込みしてしまう方もいるかもしれませんが、今はクラウド会計ソフトや確定申告用ソフトもあります。該当する方は、そのようなツールを使って手軽に確定申告の準備をしておくといいですよ。申告する方は、指定市販薬の購入証明となるレシートを必ず保管しておきましょう。

セルフメディケーション税制は1世帯あたりで計算しますので、家族と同居している人は家族全員分が対象です。申告は最も所得が高い(=税金を多く納める)人が行うと有利です。

セルフメディケーション税制, 節税, スイッチOCT, 確定申告, ヘルスケア (写真=wavebreakmedia/Shutterstock.com)

4.年間10万円を超えたら「医療費控除」を

セルフメディケーション税制はお得だからといってたくさん利用と考える人もいるかもしれませんが、年間の医薬品購入金額の上限が10万円までと決まっています。

世帯の医療費が10万円を超えた場合は通常の「医療費控除」を利用するようにしましょう。セルフメディケーション税制はもともと、確定申告時のときやサラリーマンの節税対策などで話題となる「医療費控除」の特例として設けられた制度なのです。

ただし、所得によっては10万円に満たない場合でも対象になりますので、国税庁のサイトなどで確認しておきましょう。

レシート集めや確定申告前の計算が必要ですが、こちらもクラウドの会計ソフトの普及などで手間が省けるようになってきています。

「年間の医療費」を振り返るのも自己管理

実は、セルフメディケーション税制は誰もが利用できるわけではありません。「セルフメディケーション=自身で健康管理すること」を実行することが条件になっていて、適用されるのは、その年に健康保持や病気予防の取り組みを行った個人となります。

確定申告するときには、インフルエンザの予防接種や市町村のがん検診、そのほか、会社の定期健康診断、メタボ健診(特定健康診査)、人間ドックなどをその年に受けたことを証明する領収書や結果通知表の提出が必要となりますので、保管しておきましょう。

税制優遇メリットだけを考えれば、もしかしたら、ふるさと納税や確定拠出年金のほうがお得かもしれません。しかし、節税金額をどう捉えるかはあなた次第。セルフメディケーション税制や医療費控除に備えてレシートや健診結果の通知表を取っておき、1年の締めくくりとして医療費を振り返る行動は、セルフケアの一つとして役立つかもしれません。

「自分にプラスになる」と思ったら、これを機会にセルフメディケーションしてみませんか。

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