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株の損は「パンの失敗作」?アラサーOLが学ぶ株を損失した時の対処法

ポイントは自分で行うこと!

株で利益が出たときには税金を払う必要があります。では、株で損したときには、何か補てん策があるのでしょうか。実は、株の損失分を確定申告で取り戻せる方法があるそうです。どのような方法なのか、女子会の会話からお教えしましょう。

株で損したら確定申告をしよう

OLのひかり(30)、その後輩の萌(26)、ひかりの幼馴染の直子(30)は、直子の家で鍋パーティーを開いています。ひかりは思い切って、2人に悩みを打ち明けている様子ですが……。

萌・直子「えーっ!? 株で20万円損した?」
ひかり「(頭を抱えて)どうしよう…」
「だから先輩、ずっと会社でも元気なかったんですね」
ひかり「周りの人が任天堂 <7974> で儲けていてね、つい調子に乗っちゃって……」
直子「…ったく。仕方ないなあ。幼馴染のよしみでいいことを教えてあげる」
ひかり「何なに? 教えて」
直子「株で損をしたときにはね、一部を取り戻せる方法があるの」
ひかり「え、本当に!? さすがFP直子さま! で、どうすればいいの?」
直子「取り戻すと言ったけど、『損益通算』と『譲渡損失の繰越控除』という制度を使って、税負担を軽くすることができるの」
ひかり「へえ~! なるほどね。そういうこと」
「先輩、直子さんの話、分かるんですか?」
ひかり「ウソ。全然分からない。直ちゃん、教えて!」

損益通算とは?

直子「まず、『損益通算』から詳しく説明するね。これは、株で儲けた利益と損した分を相殺することを言うの。例えば、ひかりがパン屋さんだとしよう」
ひかり「パン屋さん。いいね! 直ちゃん」
直子「食パンが上手に5個焼けました。でも失敗作も3個あります。このとき、失敗作の3個は売れないけれど、材料費はかかっているし、お店にとってはマイナスよね。だから、食パン5個(利益)から失敗パン3個(損)を引いた残り2個の食パン(利益)に対して、国が税金を取りますよということなの」
ひかり「なるほど!」
「食パンか~。あ! セントル ザ・ベーカリーのパン食べたい!」
直子「損益通算って言葉は難しいけど、簡単にいうと、利益と損をプラスマイナスするってことなのね」
ひかり「配当金もある場合は?」
直子「配当金は利益になるの。つまり、損益通算は『株を売った利益(+)+譲渡損(▲)』または『配当金(+)+譲渡損(▲)』でもOKなの」
ひかり「でも、証券会社で口座を開いたときに、面倒な手続きは全部証券会社のほうでしてくれるから、確定申告の必要はないって言われた気がする……」
直子「ひかりは『源泉徴収ありの特定口座』なのね。大抵の人はそれなの」
ひかり「そうなんだ。ああもう、何か難しい言葉ばっかり」
直子「言葉に引っかからなくても大丈夫。全自動洗濯機だと思えばいいの。全自動洗濯機って、スイッチを押せば洗濯から乾燥まで全部自動でやってくれるでしょ。それと同じで、この『源泉徴収ありの特定口座』は、証券会社が特定口座内で『譲渡損』と『配当所得』の損益通算をして税務署に納めてくれるから、自分で確定申告する必要がないということ」
「すごく便利な口座なんですね!」
直子「ただ、A社、B社、C社と複数の証券会社で取引をしている場合は、またがっての損益通算はできないの。洗濯機は別々ってことね。例えば、A社で損をしていて、B社で利益がある場合、自分で確定申告すれば払い過ぎの税金分が取り戻せるってわけ」
ひかり「私の場合は、A証券会社で20万円損して、B証券会社に配当金が30万円あるから……」

  1. 配当金30万円×税率20.315%=約6万円
  2. B社配当金30万円-A社譲渡損20万円=10万円
       10万円×20.315%=約2万円

直子「通常なら(1)の計算で約6万円の税金がかかるはずだけど、A社の譲渡損があるから(2)の計算が成り立って、税金は約2万円。つまり、4万円も節税できるってわけ!」
ひかり「よ、4万円!」
「先輩、よかったじゃないですか~!」

繰越控除制度とは?

直子「それにね、年間トータルでマイナスが残った場合は、『繰越控除制度』が使えるの。これは、売却損が出たらその損失を3年間繰り越せるという制度ね」
ひかり「?」
直子「例えば、株の損が100万円で配当金が50万円だと、相殺して50万円の損が残るよね。それを翌年に繰越して

  • 1年目:利益(+)10万円+繰越損失(▲)50万円=▲40万円(課税なし)
  • 2年目:利益(+)20万円+繰越損失(▲)40万円=▲20万円(課税なし)
  • 3年目:利益(+)10万円+繰越損失(▲)20万円=▲10万円(課税なし)

=▲10万円残るが、3年以上は繰越できない

これを『譲渡損失3年間の繰越控除』と言って、3年間にわたって節税ができるの。もちろん、確定申告は毎年必要だからね」
ひかり「私、絶対に確定申告する!」

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確定申告は超簡単!

「先輩、元気出てきましたね。でも、確定申告って何だか難しそう……」
直子「簡単よ。自宅のPCでできるし、準備さえしておけば30分もあれば十分じゃないかな」
ひかり「え? そんなに簡単なの? 何だかいろいろ必要なんじゃないの?」

直子「必要な書類はね、会社員で特定口座を開設している場合はこの4つだけ。

  • 会社から発行された源泉徴収票
  • 特定口座年間取引報告書(1月ごろ証券会社から郵送かウェブ上で交付される)
  • 認印
  • 還付先金融機関の口座番号(本人名義に限る)

あとは、国税庁のウェブサイト『確定申告書等作成コーナー』で、必要書類を見ながら数字を入力すれば確定申告書を作成できるし、税務署への提出はe-Taxか郵送、持ち込んでもOK。ただし、e-TaxでするときはICカードリーダー/ライターの設定とか、準備が必要だから注してね。どう? 簡単でしょ」

「へえ~。私でもできそうです!」
直子「つまりこの制度は、きちんと確定申告をした人には、株取引で損をした分の税金負担を軽くしてあげましょうという国の配慮なの。だから積極的に使わなくちゃ」
ひかり「なるほどね。さっそくやるわ! ありがとう直ちゃん」
「やる気満々ですね、先輩」
直子「じゃあ、ワインもう1本開けちゃう?」
ひかり「いいねえ!」
直子「もちろん、これはひかりにツケとくからね」
ひかり「そんなあ〜!」

こうして、女子会の夜は更けていくのでした。

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