
(写真=Kotsovolos Panagiotis/Shutterstock.com)
知識だけじゃない!私が失敗から学んだ投資のリスクとその回避法
最初の投資失敗から学んだことを教えます!
私の投資は失敗から始まりました。
けれども、今は投資で失敗することはほとんどありません。私がしているのは、株式投資と投資信託(☆)の積み立てが中心ですが、長く続けてこられたのは、最初の失敗があったからこそだと思っています。今回は、私が失敗から学んだことをお教えします。
☆投資信託(ファンド)とは? 資産運用の専門家が株や債券などを取りまとめて運用してくれる金融商品。ひとたび資金を預ければ、その道のプロが経済動向や個別の企業についての情報収集をし、タイミングをはかって売買してくれる。(参考:5分でわかる! 積立投資信託のアウトライン)
初めての投資は失敗からでした
初めて投資をしたのは18年前、27歳の時でした。
当時、まだファイナンシャルプランナー(CFP)でもなかった私が持っていた投資の知識はゼロでした。自分には投資なんか関係ないと思っていたほどです。普通預金には、コツコツ貯めたままの200万円ほどが入っていました。
「そろそろ定期預金にしよう」と考え銀行へ行ったところ、窓口の行員さんから「当行でも投資信託の販売を始めました。説明だけでも聞かれませんか?」と、驚くほど上昇している基準価格のグラフを見せてもらったのです。「すごい!」の一言でした。
欲に目がくらんでしまった私は、即決で半分の100万円をその投資信託に投資しました。行員さんの「初めてでしたら、まず半分でやってみられては?」というアドバイスがなかったら、きっと全額投資していたことでしょう。
ところが……
投資した翌日から下がり始めた!
それまで右肩上がりだったグラフが、私が投資した翌日から、なぜか右肩下がりにどんどん下がり始めたではありませんか!
あっというまに基準価格(☆)が20%以上も下落して、20数万円の損。当時の手取り月収は22万円ほどでしたから、1カ月分の給料がふっとんでしまいました。
☆基準価格とは? 投資信託の1口当たりの値段のこと。運用成果によって日々、変動している。(参考:女性が語る「資産運用が身近にある生活」って?セミナールポ)
だ、だまされた~? い、いや、銀行は詐欺なんてしないはず…… じゃあ、私がいけなかったの!?
自問自答するも、欲に目がくらんで一生懸命働いたお金を軽く差し出してしまったのは私自身です。そんな自分が情けなくて、泣きながら誓いました。
「絶対に、取り返してやる!」
投資の勉強をスタート!まずは読書から
投資や経済について勉強を始めたのはそこからです。
まず、本屋さんで関連本を5冊ほど買って読みました。そして、また本屋さんに行き、図書館でも借りてきて……を繰り返し、何度も読んだものもあるので、約3カ月で20冊は読んだでしょうか。同時に、銀行や証券会社の資産運用セミナーをハシゴしたりして、半年がたった頃には、基礎知識もだいぶんついてきていたと思います。
そうするうちに、だんだんと投資や経済の勉強が面白くなっていったのでした。ちなみに、その後、もっとプロフェッショナルになりたい、金融の現場で働いてみたいと思うようになり、ファイナンシャルプランナーの資格を取って金融業界に転職するほど、投資が大好きになりました。
なぜ失敗するのか
私の場合、欲に目がくらんだこと、投資を全く理解できていないのにお金を投じてしまったこと、この2つが失敗の根本的な原因でした。唯一の救いは、余裕資金で投資していたことです。
多くの人が失敗する理由も、だいたい同じようなものではないでしょうか。欲の出し過ぎ、知識不足、資金管理不足。これが、投資の失敗を招く3大原因ではないかと思います。
プロは慎重。一番の投資リスクは「自分の中」にある
投資信託の運用会社に勤めていたとき、とても運用成績の良い日本株ファンドがありました。そのファンドマネージャーの株の売買は、資金管理が徹底していて、決して無理をしないのです。
100億円以上の資金を運用しているにもかかわらず、1つの銘柄を1単位ずつ、ほんの数万円で試し買いをしてみるのです。少し様子を見て、ダメならためらわずに損切り。本格的に上昇しそうだと判断したら買い増し。プロ投資家ですら、こんなに慎重なのです。
熱くならない冷静さが、投資には必要なのですね。
投資で失敗しないために 心もお金も余裕が大切
では、前述した「投資の失敗を招く3大原因」を見ていきましょう。
鉄則①分からないものには手を出さない
まず、投資は「分からないものには手を出さない」が鉄則です。
理解できているものなら、もし予想に反して価格が下がっても、損切りなのか保有を続けるのか、または買い増すチャンスと捉えるのか、臨機応変に対応できます。
鉄則②投資は余裕資金でやる
次に資金管理。「投資は余裕資金でやること」これは必ず守ってください。個人的には、信用取引やレバレッジをかけることもお勧めしません。
鉄則③欲張らない
最後に、なんと言っても「欲張らないこと」。腹八分目が肝心です。
少し良い結果がでたからと調子に乗って、一気に投資資金を増やしたら失敗した……という人は、思った以上に多いのです。投資はジャム作りと同じ。ちょっと早いかなと思うくらいでやめておくのが、成功のヒケツです。
小さな失敗のすゝめ
極論を言えば、何度か痛い目にあえば、誰でも勉強して次は成功するものです。ただし、立ち直れないような大きな失敗をしては元も子もありません。
私はリアルに失敗してしまいましたが、何もわざと失敗する必要はないですよね。お勧めは、バーチャル投資で架空の失敗をしてみること。例えば、株なら好きな銘柄をいくつか選び、買ったつもりでノートにその後の値動きを記録していきます。途中で利益確定の売りや、銘柄入れ替えをするのもオッケーです。
それを1年も続ければ、株価の値動き、経済ニュースへの反応など、投資の感覚がつかめてくると思います。実際にお金を投じるのは、その後でも遅くありません。賢く失敗して、賢く投資をモノにしてください。