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家賃収入にかかる税金とは?所得税計算から節税対策まで徹底解説

税制を理解して万全な節税対策を!

年末調整や確定申告といった言葉が飛び交う税金のシーズンになりました。サラリーマンの皆さんの中にも、マンションなどの不動産をから家賃収入を得ている人もいると思います。今回は、家賃収入がある場合に考えておくべき税金について解説しましょう。

家賃収入にかかる税金とは

家賃収入はその保有している不動産(土地、戸建て、マンションなど)を賃貸することにより発生する収入です。不動産の保有者が個人か法人かによっても、家賃収入について発生する税金の種類は一部変わります。おおまかに次のようになります。

・保有主体が個人の場合
=所得税、住民税(所得割、☆)、消費税

・保有主体が法人の場合
=法人税、法人住民税(所得割)、消費税

なお、固定資産税や都市計画税というのは賃貸物件そのものについて発生する税金で、賃貸収入に関する税金ではありません。

ここでは、個人のオーナーさん向けに、所得税と消費税について説明していきましょう。

☆所得割とは?
住民税は「所得割」と「均等割」の合算で算出します。所得に応じて課されるのが「所得割」、所得にかかわず課されるのが「均等割」と考えるとよいでしょう。(参考:税金ってどう計算する?所得税・住民税について知っておこう

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所得税の計算方法

家賃収入にかかる所得税は、原則として次の3段階を踏んで計算します。

第1段階:家賃収入-必要経費=家賃所得(不動産所得または雑所得)
第2段階:家賃所得+他の所得-所得控除=課税所得
第3段階:課税所得×税率=所得税

では、それぞれの段階について見ていきましょう。

第1段階

【 1. 家賃収入】
文字通り、賃借人から受け取る家賃収入です。アパートなどの賃貸料収入だけをイメージしがちですが、実際には次のようなものも含まれます。

・名義書換料(権利処理手数料)、承諾料、更新料または頭金など
・敷金や保証料などのうち返還の必要がないもの
・共益費などの名目で受け取る電気代や水道代、清掃代など

ポイントは、「名目ではなく性質で判断する」点です。人によっては、敷金も収入に計上してしまうことがありますが、これは誤りです。敷金は性質としては単なる「預り金」であり、契約解除時に賃借人に返還することが前提なので、「預り金」として計上します。契約期間満了前に契約解除となった場合に敷金を償却し、返還しないこととなった場合に初めて収入として計上するのです。

また、滞納家賃についても契約などで支払日が決められているならば、滞納であっても計上しなくてはなりません。ただし、その滞納家賃が確実に回収不能となった場合には、その時点で「貸倒金」として必要経費を計上し、税金を安くすることができます。

【2. 必要経費】
家賃収入を得るためにかけた直接的なコストを指します。これには固定資産税、火災保険料、減価償却費、修繕費が含まれます。

大事なポイントは「賃貸物件に直接関係する支出のみ」ということです。なぜなら、税務上において、必要経費は家賃収入を生むために必要となる努力と考えるからです。そのため、固定資産税や火災保険料をプライベートと賃貸の両方で払っているなら、賃貸に関する部分を按分(あんぶん)して割り出します。

【3. 不動産所得か雑所得か】
「(1)-(2)=所得」となるわけですが、ここで悩むのが「所得の分類」です。特に不動産所得か雑所得かについては誰もが悩むところでしょう。

判断のポイントは「事業的規模かどうか」です。たとえば、サラリーマンがワンルームを1室だけを賃貸に出しているという場合では、事業的規模とは言えないため「雑所得」に該当します。けれども、10室以上賃貸しているような場合は事業的規模に該当するため、「不動産所得」となります。

事業的規模かどうかは、社会通念やその時々の常識が関係するため一概に言えませんが、よく言われるのが「5棟(建物の場合)もしくは10室(部屋の賃貸の場合)以上」ならば事業的規模と考えてよい、ということです。

また、不動産所得に該当する場合、青色申告に関する承認申請を事前に行うことで、
・65万円または10万円の控除
・家族の賃貸事業の従事者がいる場合は彼らへの支払いを給与として経費計上できる
――といった青色申告の特典を受けることができます。

ただし、青色申告する場合には、単に収支だけを書く単式簿記ではなく、財産・債務についても記載する複式簿記で帳簿付けをしなければなりません。これには、会計ソフトを導入するのがよいでしょう。積極的に節税を考えるなら、青色申告することをおすすめします。

第2段階

次に、第1段階で算出した不動産所得や雑所得に他の所得を加え、所得控除を行って課税前の所得額を算出します。不動産所得や雑所得以外の所得とは次のようなものです。
・給与所得
・事業所得
・山林所得
・利子所得
・配当所得
・退職所得
・譲渡所得
・一時所得

これらを合算した後、所得控除を差し引いて課税所得金額を算出します。所得控除には、配偶者控除、配偶者特別控除、扶養控除、障害者控除、社会保険料控除、医療費控除、基礎控除などがあります。

第3段階

第2段階で課税所得金額を算出したら、税率をかけます。税率は、分離課税に対する税率を除き、課税所得金額に応じて5%~45%の7段階に区分されています。このように、課税所得金額が多ければ多いほど税率が高くなる方式を「累進課税」と言います。

税率をかけた後、税額控除がある場合にはそれを差し引いた額が、最終的な所得税額です。このときの税額控除には、主に次のようなものがあります。

・住宅借入金等特別控除
・配当控除
・外国税額控除
・寄附金控除(政党等、認定NPO法人等、公益社団法人等)
・住宅耐震改修特別控除
・グリーン投資減税

所得税以外の計算方法

所得税以外の税金には、住民税と消費税があります。

1. 住民税

住民税は、所得税での所得額をベースに地方自治体が計算します。若干異なりますが、考え方は所得税と非常によく似ています。

2. 消費税

消費税は原則として、課税売上が1000万円を超えた場合、翌々年から課される税金です。

通常、賃貸物件が居住用ならば非課税として扱われるため、消費税はかかりません。しかし、一つの賃貸物件において家賃の他に駐車場収入がある場合や、賃貸先がオフィスなどの事業用、貸別荘である場合には消費税がかかってきます。

ほかには、「賄いサービス」付きの下宿であれば部屋部分と賄い部分とで分けられ、部屋部分は非課税、賄い部分は課税となります。さらに、不動産会社に一括借り上げをしてもらっている場合は、契約書にその物件が居住用であるという記載がなければ事業用物件とみなされ、消費税がかかることもあります。

消費税には本則課税と簡易課税があり、いずれかの選択適用となります。一旦選択したらその後2年間、継続して適用しなくてはなりません。

・本則課税の場合
売上を課税取引、非課税取引、輸出取引、不課税取引に分け、課税取引の売上に対応する課税仕入を控除して計算します。

・簡易課税の場合
課税取引である売上からその課税取引額に40%のみなし仕入れ率を乗じて計算します。

消費税の計算は、分類判定がとても難しく、税務調査の対象になりやすい項目です。可能なら専門家に依頼するとよいでしょう。

家賃, 収入, 税金, 消費税, 所得税 (写真=Thinkstock/GettyImages)

必要経費を計上して節税対策(減価償却)

節税には必要経費の計上が欠かせないことは言うまでもありません。一般的には「領収書=必要経費」と考えがちですが、それ以外にも必要経費となるものはいろいろとあります。なかでも、もっともうっかり忘れやすいのが減価償却です。忘れずに減価償却するようにしましょう。

減価償却は次のように計算します。
物件の取得価額×耐用年数(※)に対応する償却率

※耐用年数は、次のように分かれます。
イ)賃貸用物件が新品の場合:法定耐用年数
ロ)賃貸用物件が中古の場合
・築年数が法定耐用年数を超えている場合:法定耐用年数×20%
・築年数が法定耐用年数の一部を経過している場合:耐用年数=(耐用年数-経過年数)+経過年数×20%

法定耐用年数は、その建物の構造ごとに決められています。なお、2007年4月1日以降に取得した建物については、定額法のみ適用可能となっています。

確定申告の方法

確定申告は、書面で行う方法とe-Taxの2パターンがあります。いずれも、所得の発生した年(1月1日~12月31日)の翌年3月15日(土曜日曜の場合は翌月曜日)までに申告および納税を行わなくてはなりません。不動産所得の場合は、確定申告書の他、その物件に関する収支内訳書や青色申告決算書を添付する必要があります。

注意しなければならないのは、1日でも期日を過ぎれば、青色申告なら青色申告が取り消されてしまうことです。また、青色申告でなくても延滞税などのペナルティーが課されます。大変ではありますが、申告および納税は期限厳守で行うようにしましょう。

不動産を相続したときの税金は?

賃貸用不動産を相続した場合、他の不動産を相続したときよりも節税が可能になります。

1. 土地を相続した場合

土地を全く利用していなければ自用地として扱われ、路線価で計算した100%の金額で評価されます。しかし、相続した土地の上にアパートなどの賃貸用物件が建っているならば、評価減を行うことができます。このような土地を「貸家建付地」といい、評価は次の算式で行います。

 貸家建付地評価額=自用地価額×(1-借地権割合×借家権割合)

借地権割合は地域によって異なりますが、30%~90%で設定されています。また、借家権割合は原則として全国一律30%です。賃貸物件が建てられた土地は3%~27%低く評価されるため、相続税はその分安くなります。

2. 建物を相続した場合

建物についても同様です。建物の場合は、固定資産税評価額で評価されるため、通常、現金で購入したときよりも低く評価されます。この建物が賃貸用物件であれば、そこからさらに借家権割合30%を差し引くことができます。

結果、多くの場合で購入金額の40%~50%程度で評価され、相続税を安くなります。

海外に物件を持っている場合はどうなるの?

海外に賃貸用物件を持っている場合には、所得税や相続税が発生します。

まず所得税ですが、海外不動産の持ち主が日本の居住者であれば、海外と日本の両方で賃貸収入についての税金を納めなくてはなりません。国によって税法が異なるので一概には言えませんが、日本がその国と租税条約を締結している場合には、事前に届出をすることで、他国の税金を無税にしたり、安くしたりすることができます。

アメリカの場合、家賃収入から通常30%の所得税が源泉徴収されます。ここで事前に「Form W-8BEN」という書類によって、貸主がアメリカの非居住者であることを証明すれば、その源泉所得税の税率については軽減税率が適用されることになります。この他、海外と日本の二重課税を解消するために、外国税額控除を使うことも可能です。

相続税についても、被相続人もしくは相続人のいずれかが相続開始時5年以内において日本に住所があれば、日本と海外の両方で相続税が課せられることになります。これについては、外国税額控除で二重課税を解消するしかありません。

税金以上にネックになるのは、相続そのものです。海外と日本では法文化が異なるため、相続がいつまでたっても終わらないケースも多々発生しているのです。

いずれの場合も、1人で解決するには厄介なことが多い問題です。正しい納税と適切な節税のためにも、専門家に相談するのがよいでしょう。

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