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税金ってどう計算する?所得税・住民税について知っておこう

節税はマネーコントロールの第一歩

「税金」と聞いて、あなたは最初に何を思い浮かべますか?

「面倒くさそう」「何だか難しそう……」なんて思ってしまう方も多そうです。「自分には税金の知識なんて必要ない」と思っている方もいるかもしれませんね。

しかし、自分が納めている税金の額を知っておくことは、節税対策や副業を考えたときにも役立ちます。税金の種類にもいろいろありますが、今回は、誰にも身近な税金、「所得税」と「住民税」の計算方法について学んでいきましょう。

税金を計算できるメリットは?

税金を計算できると、どのようなメリットがあるでしょうか。

個人事業主であれば、自分の納税金額を把握することで、節税のコントロールが可能になります。サラリーマンの場合、資産運用で給与以外に収益があったり、副業で収入を得ているならば、個人で確定申告をする必要があります。

最近ではふるさと納税を活用する人も増えていますが、このときも税金の知識があるのとないのとでは大違い。ふるさと納税とは、簡単に言えば自治体に寄付をすることで税金が控除される仕組みのことですが、自分の納税額が事前に分かっていれば、その額に見合ったお礼品を選びやすくなります。

ふるさと納税のほかにも、確定拠出年金、配偶者控除、セルフメディケーション税制など、税金の知識があるとすんなり理解できる税制度はたくさんあるのです。

まず知っておきたい所得税の計算法

まずは、所得がある人ならば誰もが納める「所得税」の計算方法についてご紹介します。

所得税は所得全体に対してかかるわけではありません。所得税を計算する場合、収入から必要経費や所得控除を差し引いた金額が課税の対象になります。

  • 所得税=(収入金額-所得控除)× 所得税率-税額控除

この計算式を、左から順番に説明しましょう。

所得控除とは?

所得控除は、国民の税負担をなるべく公平にするために国が設けている制度です。

例えば、世帯主がどちらもサラリーマンで、世帯収入も同じという2つの家庭があったとして、一方は夫婦2人だけ、もう一方は夫婦に子供が2人という家族構成であったとしましょう。このとき、税負担が同じだと、子供を育てている家庭は不公平を感じてしまうかもしれません。

このようなときには「扶養控除」が適用され、子供のいる世帯の税負負担が軽くなる仕組みになっています。

このように、一定の条件を満たす人に対して、税負担を軽くするための制度が所得控除です。

所得控除には下記のようなものがあります。

  • 全ての人が総所得金額から38万円をマイナスできる…基礎控除
  • 健康保険、国民年金、厚生年金を払った人のための…社会保険料控除
  • 共済や確定拠出年金に加入している人のための…小規模企業共済等掛金控除
  • 生命保険料や介護医療保険料を払った人のための…生命保険料控除
  • 医療費を支払った人のための…医療費控除
  • 収入が一定以下の配偶者を養っている人のための…配偶者控除
  • 配偶者控除の対象から外れた配偶者を養っている人のための…配偶者特別控除
  • 災害や盗難などで資産に損害を受けた人のための…雑損控除
  • 損害保険で自身などの損害部分の保険料を払った人のための…地震保険料控除
  • 寄附金を支払った人のための…寄附金控除
  • 扶養親族がいる人のための…扶養控除
  • 本人や家族が所得税法上の「障害者」に当てはまる人のための…障害者控除
  • 夫と死別したり離婚したりした女性のための…寡婦控除
  • 妻と死別したり離婚したりした男性のための…寡夫控除
  • 働く学生のための…勤労学生控除

※各種控除を利用するには、さまざまな条件をクリアする必要があります。詳しい条件は、国税庁のホームページをご覧ください

あなたの所得税率はいくら?

所得税率は、所得金額が高くなるほど税率が高くなる「累進課税」制度が採用されており、税率は所得額に応じて5~45%の範囲で変わります。

皆さんの収入から、上記の「所得控除」を差し引いた金額が「所得金額」になりますが、所得金額ごとの各税率と控除額は以下のように決められています。

課税所得195万円以下=税率5%→控除額0円
   ~330万円以下=税率10%→控除額9万7500円
   ~695万円以下=税率20%→控除額42万7500円
   ~900万円以下=税率23%→控除額63万6000円
   ~1800万円以下=税率33%→控除額153万6000円
   ~4000万円以下=税率40%→控除額279万6000円
    4000万円超 =税率45%→控除額479万6000円

出典:国税庁「国税庁所得税の税率」

所得税がかからないのはこんな人

基本的に、所得額が以下の場合は課税対象とならず、所得税がかかりません。

  • その年の給与所得または総収入額が103万円以下
  • 所得が公的年金のみで65歳未満は70万円以下、65歳以上は120万円以下の場合

税金, 計算, 所得税, 住民税, 確定申告, 節税 (写真=Thinkstock/Getty Images)

所得税の注意点

所得税は1年間(1~12月)の所得から計算されます。会社員の方ですと、給与から税金が天引きされ、年末調整で取り過ぎた分を調整できたりしますので、基本的には何もしなくてもOKです。

ただ、本業以外に副業を持ち、投資の配当利益や株式の売却益、不動産収入を得ているといった場合も、副業で得られる収入の合計金額が20万円を超えた分は課税対象となるため、確定申告をおこなう必要があります。

住民税はどう計算する?

次に、「住民税」の計算方法を見てみましょう。

主に税金は、納める先によって国税と地方税に分類できます。国税はその名のとおり国に納める税金で、管轄は税務署です。先ほどご説明した「所得税」は国税に分類されますが、「住民税」は地方税ですので、納税先も計算方法も異なります。

まず、納税先は住んでいる(住民票がある)自治体となります。

次に、住民税の計算方法ですが、通常、住民税は「所得割」と「均等割」の合算で算出し、それぞれ以下のように定められています。

  • 住民税=所得割額+均等割額
  • 所得割:市町村民税(%)+道府県民税(%)が前年の所得金額に課税される
  • 均等割:市町村民税+道府県民税が、所得金額にかかわらず定額で課税される

所得に応じて課されるのが「所得割」、所得にかかわず課されるのが「均等割」と考えるとよいでしょう。

住民税の計算方法は全国どこでも同じですが、税率や均等割額は自治体の権限で変更できるため、最近では標準税率を大きく変えている自治体も増えてきました。住民税を調べるときは、住んでいる自治体のウェブサイトで税率を確認しましょう。

住民税を東京都の場合で計算すると

ちなみに、東京都は税の名称が異なり、特別区民税が市町村民税、都民税が道府県民税に当たります。東京都を例にすると

・所得割:特別区民税6%+都民税4%=10%
・均等割:特別区民税3500円+都民税1500円=5000円

となります。

住民税の所得割額の計算法

また、所得割額は前年1月~12月までの所得額をもとに以下の計算式で算出します。

  • 所得割額=(前年の総所得金額-所得控除額)×税率-税額控除額

住民税は所得税と違い、前年の所得をもとに計算されます。そのため、失業や転職などでその年の収入が著しく減ってしまったとしても、住民税は前年の所得に対してかかり、収入に反して高い税を払わなければならないという事態も起こり得るのです。

ただ、自分で住民税を算出するのは非常に手間がかかります。以下のような自動計算フォーム(名古屋市のもの)などを利用するほうが現実的かもしれません。

参考:名古屋市市民税係のページ

住民税、資産運用を行っている人の注意点

投資などの資産運用をおこなっている人の場合、個人が払う住民税として上記の所得割や均等割のほか、金融商品に関連する「利子割」「配当割」「株式等譲渡所得割」という種類の住民税があることも覚えておきましょう。

「利子割」「配当割」「株式等譲渡所得割」には、得られた利息や配当、株式売却益に対してそれぞれ5%が課税されます。

例えば、70万円で購入し保有していた株式を100万円のときに売却して30万円の売却益を得たとします。このとき、得られた利益の30万円に対して、所得税の15%と住民税の5%が課税されるため、4万5000円の所得税と1万5000円の住民税がかかります。この1万5000円の部分が「株式等譲渡所得割」です。

最近では、これらの所得税と住民税を天引きして、確定申告をしなくても済むような「特定口座」での取引も可能になっています。取引である程度の利益を得られるなら、特定口座にしておくのもよい手です。自動的に税金を天引きしてくれるだけでなく、確定申告の手間も省けますよ。

ただし、株で大損をしたときは「確定申告」をしておくと、翌年の儲けに対して税金がかからない「損益通算」ができる可能性もあります。「特定口座だから」といって何もしないのではなく、自ら確定申告することをおすすめします。

損益通算って何?:株の損は「パンの失敗作」?アラサーOLが学ぶ株を損失した時の対処法

節税のポイントを押さえよう!

税金と聞くと、ついとっつきにくさを感じがちですが、一つ一つ丁寧に見ていくと理解もしやすいのではないでしょうか。

税制は時代を反映して都度改訂されます。自分が納める税金の額を計算できるようになる必要はありませんが、過不足なく適正に払っているのかを確認できれば、節税をはじめ、マネーコントロールもしやすくなります。

税金の額を把握できたら、控除や還付金といった節税のポイントを押さえておくといいでしょう。

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