(写真=Microgen/Shutterstock.com)

年金運用で国が5兆円損失!?年金運用のからくりを教えて!

年金積立金と資産運用の関係

「年金って老後にちゃんともらえるのかな?」
フリーランスの筆者は、自分で国民年金保険料の支払いをしていますが、年金を支払うとき、ふとそのように考えることがあります。

老後に毎月年金がもらえたとしても、受給開始年齢の引き上げや、給付額が現在より減らされてしまうことだってあるのでは……と考えると、少し不安になります。筆者の周囲でも「年金がきちんともらえるか不安だから、今から貯金をしておく」と考える友人は少なくありません。

2015年の年金運用損出が約5兆円だったというニュースが昨年秋に流れ、話題となりました。そのとき思ったのが、

「年金運用が赤字って大丈夫なの?」
「年金運用って何だろう?」

ということです。国が年金を運用するとはどういうことなのか? 何に運用しているのか? 年金運用の仕組みを見ていきましょう。

年金, 年金積立金, 年金運用 (写真=takayuki/Shutterstock.com)

年金積立金管理運用独立行政法人とは

私たちが毎月納めている年金は、独立行政法人によって運用されています。そもそも、年金とはどのようなものでしょう。

厚生労働省は、「公的年金は、現役世代から高齢者世代へ仕送りするという『世代間扶養』が基本」と述べています。つまり、仕事をして年金を納める若者が、リタイアした高齢者を扶養するという考え方です。

しかし、高齢化社会と少子化が進む現在、そして今後の日本では、年金を納める人数自体が減ることから、現役世代に負担がかかってしまう可能性があります。そうならないよう、一部を年金積立金として運用し、情勢などが変わっても定期的な年金給付ができるように調整しているのだそうです。

その年金の管理・運用をしているのが、「年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)」という機関です。2001年以降、厚生労働省がGPIFに年金積立金を直接預け、運用するかたちとなりました。GPIFは年金積立金で資産運用をおこない、私たちに安定的に年金給付をする役割を担うために存在しています。

納めた年金、どう運用されてるの?

それでは、私たちが納めている年金はどのように運用されているのでしょうか。

私たちの納付で集められた年金保険料は、年金給付に充てられることを基本としていますが、そのうち「年金給付に充てられなかったものを年金積立金として運用し、年金財政の安定化に活用する」とGPIFの公式ホームページに記載されています。

GPIFは「ポートフォリオ」と呼ばれる資産構成割合を定めたうえで、年金積立金の一部を直接運用し、その他は信託銀行などの運用受託機関に委託しています。そして、それらの運用受託機関が金融市場と証券取引をおこない、資産運用をおこなうという流れになっています。

GPIFは資産を組み合わせて運用を実施しています。基本のポートフォリオは、国内債券35%、国内株式25%、外国債券15%、外国株式25%の比率でバランスよく資産を持つ「分散投資」です。分散によりリスクを避け、長期的に安定した資産運用をおこなうことを目的としています。

GPIFの資産運用が順調であれば、急激な情勢の変化や少子高齢化などがより進んだとしても、大きな影響を受けることはないでしょう。私たちの老後も、安定した年金をもらい続けることができるはずだと考えていいのではないかと思います。

年金, 年金積立金, 年金運用 (写真=Alliance/Shutterstock.com)

年金運用で5兆円損出!それってどういうこと?

しかし2016年9月、前年度のGPIF運用実績が5兆3098億円の赤字であったと報じられました。この数字だけを見ると、今後の年金給付について心配になる人がいてもおかしくありません。

今回の結果は5年ぶりの赤字ということもあり、今すぐに影響が出るわけではないものの、「年金保険料が高くなるのではないか」「もらえる年金が減ってしまうのでは?」など、不安の声も挙がっています。

一方、今回の赤字について心配する必要はないという声もあります。その理由として挙げられているのが、以前は国債をメインに運用してきた年金運用のスタイルが、現在は株式をメインとした運用に変化していることです。

株の場合は株価の上下があるため、株価が上昇した年は資産が増加し、株価が下落した年は一時的に収益が下がります。その証拠に、GPIFの発表によれば、2016年7~9月期の運用実績は2兆3746億円の黒字という結果でした。

株価は上下するという特性があるので、少し損が出たからといって年金の運用について過度に心配する必要はなさそうです。

ただし、今後の情勢で長期的な株価の下落が続いたときには、私たちが納める年金保険料の額が増えてしまうという可能性も、もしかするとある――かもしれませんね。

年金も分散投資でリスク回避

「GPIFが資金運用している」と聞くと、何やら不審に思うかもしれませんが、年金制度を保ち続けるにも資金が必要です。「私たちが納めた年金を分散投資して運用してくれている」と考えると分かりやすいのではないでしょうか。

特に、株式投資で長期的な運用をする場合は、途中で株価が下がりマイナスになってしまうことも珍しくありません。その後に株価が上がれば、結果的には収益が出てプラスになるため、現在の状況だけを見て判断することは、あまり意味がないともいえるのです。

しかし、通常の投資と同じように、国による資産運用だからといって100%安心だという保証はありません。若いうちから貯金を続けるだけでなく、万が一のことを考えて、無理のない範囲での投資も視野に入れることも考えてみてはどうでしょう。さまざまなかたちでの資産形成していくことで、安心して老後を迎えられるようになるでしょう。

この記事をシェアする

個性的な連載で「投資」を身近に

一つのテーマを深掘り、おすすめ特集