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年金の種類を教えて!国民年金・厚生年金・共済年金について調べてみた

国民年金と厚生年金、なんで保険料があんなに違う?

会社勤務だと、年金といったら自動的にお給料から保険料が天引きされるもの。支払っている実感もなく、老後のことなので今はまだ関係ないと思っていませんか?

年金には種類があり、勤務状況や勤務先などによって対象となる年金が異なります。また、もらえるのは老後だけではありません。今回は、ファイナンシャルプランナーである筆者が、身近でありながらイマイチ分からない年金についてお教えします。

公的年金には何がある?

公的年金といえば、国民年金、厚生年金、共済年金の3つが思い浮かびますね。

日本は国民全員が何らかの公的年金制度に加入する「国民皆年金」の国です。その中でも、国民年金は老齢・障害・死亡によって受給できる、最も基本的な老後の保障と捉えていいでしょう。

一方、厚生年金と共済年金は国民年金の上乗せとなる年金制度です。ただし、2017年10月に厚生年金と共済年金は一元化し、今は2種類の年金制度となっています。日本に住む人は、働き方によってどちらの年金制度に加入するかが決まるのです。

もっとも基礎的な国民年金

国民年金は、日本国内に住所がある20歳以上60歳未満のすべての人に加入義務があり、「老齢基礎年金」の名のとおり最も基礎的な年金です。20歳から40年間保険料を納付すると、満額の78万100円がもらえることになります。

学生やフリーターであっても、20歳の誕生日になると、日本年金機構から年金制度についてのお手紙が届いたのを覚えていませんか? 年金をもらう老後までずっと持ち続けることになる「年金手帳」が同封されていて、保険料の払込票も届くようになったでしょう。

保険料は一律で毎月1万6260円。半年払いや年払いも選ぶこともできます。また、国民年金には「第一号被保険者」「第二号被保険者」「第三号被保険者」の3種類があり、それぞれ保険料の支払い方法が違います。

第一号被保険者

対象者は自営業者、個人事業主(フリーランス)、学生、フリーター、無職もここに入ります。保険料の支払い方法は払込票や口座振替ですが、支払いが困難な場合は、条件に合致していれば免除や猶予を受けられる制度もあります。

在学中で支払いが難しい場合は、「学生納付特例制度」を利用することで猶予期間が受けられます。あくまでも猶予であり、働き始めたら猶予分を充当すれば年金額は増やせます。ただしこの制度は、学生であってもアルバイトなどで一定以上の収入があると適用されませんので注意しましょう。

第二号被保険者

対象者は厚生年金、旧共済年金の加入者で、支払い方法はお給料からの天引きです。

第三号被保険者

第二号被保険者の配偶者で、20歳以上60歳未満の人が対象です。条件を満たしていても、年間収入が130万円以上で健康保険の扶養者から外れる場合は、第三号被保険者から第一号被保険者に変更されます。

なお、保険料は配偶者のお給料から天引きされるため、保険料の負担はありません。

会社勤めなら厚生年金

厚生年金とは、サラリーマンやOLの方など、主に日本国内の企業に勤める労働者が加入する公的年金制度です。

保険料が国民年金に比べて高額なのを不思議に思ったことはありませんか? これは、厚生年金が老齢基礎年金に上乗せされるものであり、厚生年金保険料に基礎年金保険料が含まれているから。日本の年金制度は「2階建て」と言われますが、厚生年金はその2階部分に当たります。

一般的に高額な厚生年金ですが、保険料は労使折半。半額は給与と賞与からの天引き、残りの半額は事業主が負担しています。では、保険料はどのように決められているのでしょうか。

年金受給額の計算方法は

日本年金機構「平成28年10月分(11月納付分)からの厚生年金保険料額表」によると、一般の被保険者の保険料率は18.182%。坑内員・船員の被保険者の保険料率は18.184%です。

厚生年金の保険料は、保険料計算の基礎となる「標準報酬月額」と「標準賞与額」に保険料率をかけて算出されます。仕事によって給与が一定じゃないこともありますし、同じ会社でも給与やボーナスは違います。それでも効率よく保険料を計算できるのは、この「標準報酬月額」があるからというわけです。

例えば、標準報酬月額30万円の一般被保険者の場合、等級は19、保険料は5万4546円、労使折半で本人の負担は2万7273円となります。

厚生年金の受給資格は、原則的に公的年金の合算加入期間が25年以上とされています。つまり、保険料免除期間も含めた「厚生年金+旧共済年金+国民年金」の加入期間が、合わせて25年以上あれば受給資格を得たことになります。ここには免除期間も含まれますが、加入年数で年金額が計算されるわけではありません。

厚生年金の受給額は次のような計算式で求めることができます。
・ 厚生年金受給額=定額部分+報酬比例部分+加給年金

  • 定額部分=厚生年金加入期間に基づき計算される金額です(定額部分の計算式=定額単価×加入期間の月数×物価スライド率)。
  • 報酬比例部分=在職中の「月給+ボーナス」の平均と加入期間に基づき計算されます。
  • 加給年金=被扶養かつ65歳未満の配偶者や子がいて、20年以上の加入期間があるなど一定要件を満たすと加算される年金です。配偶者が65歳になるまで、子が18歳になるまで支給されます。

年金加入年数や概算額は「ねんきん定期便」で確認できます。年に一度、ライフプランを見直すためにも毎年確認しておくとよいでしょう。

共済年金はどんな年金?

2015年9月まであって「共済年金」は、公務員や私立学校の職員が加入する年金制度です。共済年金は「退職共済年金」「障害共済年金」「遺族共済年金」という3つの保険・年金制度からなり、厚生年金と同様に、基礎年金の上乗せ制度です。

厚生年金との大きな違いは、加入期間20年以上でプラスされる「職域加算」があったこと。これにより、共済年金は「3階建ての年金」と言われていました。

職域加算は次の計算式で算出されます。
・平均報酬額×(1.154/1000)×加入期間

厚生年金に一元化された2015年10月以降、職域加算は廃止されましたが、この3階部分の受給がすぐ停止されたわけではありません。

2015年9月までに退職し、すでに共済年金を受給している場合は、職域加算に相当する「経過的職域加算額」が受け取れます。また、2015年10月以降に退職し、2015年9月までに共済年金加入期間がある場合、新たに創設された「年金払い退職給付」を受け取ることができます。厚生年金制度の中の公務員制度と考えると分かりやすいですね。

ただし、「職域加算」が終身受給(私学教職員共済は除く)であったのに対して、「年金払い退職給付」は70歳までと受給に年齢制限がつきました。加えて、保険料も発生します。

さらに、厚生年金と公務員共済年金、私学教職員済年金はそれぞれ保険料率には大きな差がありましたが、それも厚生年金にそろえるかたちで解消されます。具体的には、公務員共済が2018年、私学共済は27年をめどに、段階的に料率を上げていくことになっています。

厚生年金と共済年金の一元化は、制度間にあった「不公平の是正」が目的でした。格差はまだ当面残りますが、いずれ公平な制度に変わっていくと見ていいのかもしれませんね。

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障害年金・遺族年金はどんなときにもらえるか

公的年金の制度は、老後のためだけではありません。後遺障害など、病気や事故で日常生活が制限される状態に陥ったときには、その後の生活を保障となる障害年金があります。

障害基礎年金の受給資格があるのは、以下の要件に当てはまる場合です。
・国民年金加入期間に病気やケガの初診日がある
・年金加入期間でない20歳未満、または60~64歳の間に初診日がある
・国民年金の納付率が一定以上(20歳未満を除く)

上記の要件と一定の障害状態に合致すると、法律で定められた障害等級に応じた額が支給されます。
・1級:97万5125円
・2級:78万100円

また、障害年金受給者が世帯の生計を担っていた場合は、18歳未満もしくは一定の障害を持つ20歳未満の子供の人数に応じて加算額があります。

厚生年金制度の「障害厚生年金」は、老齢基礎年金と同じく障害基礎年金の上乗せとなる制度です。2級に該当しない軽度の障害でも3級の障害厚生年金を受け取れるのが、障害基礎年金との大きな違いでしょう。

一方、公的年金加入者が死亡した場合、残された配偶者や子供の生活を保障する制度としてあるのが「遺族年金」です。国民年金であるか厚生年金であるかによって、受給要件や受給額が違ってきます。

遺族基礎年金

・時給要件:国民年金の第一号被保険者、または、老齢年金制度資格期間を満たす人が死亡したとき
・受給額:78万6500円+子の加算

遺族厚生年金

・受給要件:被保険者が死亡したとき、または、被保険者期間中の傷病が原因で死亡したときなど
・受給額:原則、報酬比例部分の年金額×3/4+加算

遺族厚生年金を受け取る人によっては、遺族年金に加算があります。例えば、生計を同じくしている子供がいない夫婦のうち、被保険者であった夫がなくなったときの妻の年齢が40~64歳であれば、その妻は65歳まで遺族年金を受け取ることができます。

また、18歳未満(障害がある場合は20歳未満)の子がいて遺族基礎年金を受給していた妻が、子の年齢が達して貴族基礎年金を受給できなくなったときにも加算されます。その他の詳細は、日本年金機構のウェブサイトを参照してみてください。

プラスアルファで「確定拠出年金」や「個人年金」

公的年金制度は、老後の生活を保障するだけでなく、年金加入者に万が一のことがあったときの助けとなる役割も持っていることがお分かりいただけたと思います。

生涯にわたる保障となる公的年金制度は身近な問題です。いま一度関心を持ち、「ねんきん定期便」を確認するなどして自分の年金と向き合ってみることをおすすめします。

老後のセカンドライフを見据えたとき、確定拠出型年金や個人年金などの自助努力を加えることで、より豊かに過ごせる未来が待っているかもしれません。“今このとき”だけでなく、将来のことを考えて行動したいものですね。

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