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【連載】「事実婚でパートナーと歩む」

#05 事実婚で子どもができたらどうなるの?戸籍や名字、認知は?

法律婚との違い、教えます

事実婚連載も5回目となりました。毎回ご覧くださった方には、法律婚との「似て非なるところとその対策」などをご理解いただけたかと思います。今回は、事実婚夫婦に子どもができた場合についてお伝えします。

まずは「認知」から

生まれた子どもの親を決めるとき、母親は「子どもを産んだ人」ということで明らかですが、父親は母親ほど明確ではありません。そこで、法律婚では、婚姻中に産んだ母親の夫を父親と推定するルールになっています。

でも、事実婚の場合は、戸籍に記載された夫がいませんよね?そのため、事実婚夫は、事実婚妻の産んだ子どもを「認知」して、その子の「父親」になります。

「認知」ってどうやるの?

事実婚夫が認知を行うには、「認知届」を提出します。認知届には、子どもの誕生前に行う「胎児認知」と、誕生後に行う「任意認知」と、父親が子と認めない時や認知前に死亡した場合などに利用する「裁判認知」の3種類がありますが、事実婚で利用する可能性が高いのは、「胎児認知」または「任意認知」でしょう。

「胎児認知」の場合は、母の本籍地のある自治体に認知する父親の戸籍謄本や母親の承諾書などを提出し、生まれた後の「任意認知」の場合は、父親または子どもの本籍地か住んでいる自治体で手続きを行います。

認知届によって、事実婚であっても、父親の存在が法的に証明できるのです。

戸籍や名字はどうなるの?

認知届により、父親の存在は明確になりましたが、生まれた子どもは認知の有無にかかわらず、母親の姓を名乗り、戸籍も母親の戸籍に入っています。(もしも事実婚妻がその親の戸籍に入っている場合は、子どもの出生届を出すと共に、事実婚妻筆頭の戸籍を作り、そこに母と子の戸籍ができます)

「子どもに父親の姓を名乗らせたい」と思う場合は、「認知届」に続いて、「入籍届」を提出します。

「入籍届」というと、結婚の入籍を思い浮かべるかもしれませんが、この「入籍届」を利用するのは、事実婚で子どもの姓を夫の姓に変更したい場合や、離婚した子どもや再婚相手の連れ子の姓を変更するときです。

いずれも家庭裁判所の許可が必要ですが、通常はスムーズに許可が出て、子どもの姓を事実婚妻(母親)から事実婚夫(父親)の姓に変更することができます。

前野彩, 事実婚, 子ども, 認知 (写真=Thinkstock/GettyImages)

親権者は?

事実婚夫が認知届と入籍届を出して、子どもの名字が事実婚夫と同じに変わっても、実は、親権者は産んだ母親のままです。親権者とは、子どもの世話をしたり、教育をしたり、財産を管理する人のことで、法律婚の場合は、自動的に夫婦が共同親権者になりますが、事実婚夫婦では、どちらか一方しか親権者になれないのです。

そこで、親権者を事実婚妻から事実婚夫に変更したい場合は、事実婚夫婦にて「親権管理権届」を自治体に提出します。子どもの保険契約などの法律上の行為は親権者でなければできませんが、親権者の署名等が必要な手続きは事実婚夫婦で相談の上、親権を持っているほうが行えば、日常生活では事足ります。

親権者になっていなければ、子どもと一緒に暮らしたり、子どもの世話ができなかったりということはないので、事実婚も家族として生活することができますよ。

事実婚の子どもは「非摘出子」。摘出子との違いは?

法律上、法律婚から生まれた子どもは「嫡出子」、事実婚のように、法律婚以外の関係から誕生した子どもは、「非嫡出子」(婚外子)と呼ばれます。昔は、嫡出子と非嫡出の法律上の取り扱いには違いがありましたが、制度はどんどん変化しています。

以前は、嫡出子の戸籍には「長男、長女」というように、兄弟姉妹の生まれた順番がわかるように記載され、非嫡出子では「男」「女」という記載しかありませんでした。でも、2004年に法律が改正され、非嫡出子も法律婚と同じように「長男、長女」という記載ができるようになりました。

また、亡くなった父親に非嫡出子と嫡出子の両方の子がいる場合、以前は、非嫡出子が法律上当然に相続する財産は、嫡出子の2分の1と定められていました。しかし、この制度も2013年に改正され、現在は嫡出子も非嫡出子も対等に相続できるようになっています。

これからどうなるの?

このように、子どもが産まれたときでも、事実婚の不利益はほとんどなくなったのが現在の社会です。では、これから事実婚を取り巻く環境はどうなっていくでしょう?筆者の実体験も絡めて次回、お伝えしたいと思います。

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