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一夜明けてまたびっくり。「トランプ氏当選後」、投資初心者のこれから

奇妙な2日間を振り返ります

みなさん、二度びっくりでしたね!

本日11月10日の日経平均株価は、前日比1092円の大幅上昇となり、なんと今年最大の上げ幅を記録しました。米大統領選挙の「トランプ・ショック」で、一日に919円の下げ幅を記録した11月9日の株価から一転です。

この奇妙な2日間、個人的には、「トランプ氏が、まさかの次期大統領!」というショックから、「でも、勝利宣言では意外と低姿勢」「政策が実現したら意外といいかも」という、「もしかして、そんなに悪くないかも(と、思いたい)」という気持ちが相場に出たような気がしてなりません。笑

これで「トランプ・ショック」は消化、これから株価はイケイケ・ドンドンになるのでしょうか?いや、ちょっと待ちましょう。11月9日午後から本日10日夕方までを振り返ってみます。

奇妙な2日間を振り返ってみる

9日に暴落し、10日に暴騰。ひとつひとつ見ていくと、マジックのようなこの出来事も、説明ができます。

まず9日の暴落は、いわゆる「リスク回避の円買い」が進み、対ドル相場で円が2時間の間に3円も円高になったといったことが理由の一つといえます。日本の主要企業の多くは、ものを国内で作って海外に輸出するビジネスモデルです。投資家にとって急激な円高になったら「輸出企業にとってはマイナス」、株は売りの判断になりがちです。

また9日の場合は「この急激な円高がこれ以上進んだらどうしよう」という恐怖感や、「リスクの大きさが読めないときはとりあえず手放す」投資家心理も加わり、暴落といえるまでの下落になったといえます。

逆に10日に日本株が大きく上げたのは、1ドル105円まで進んだ円安が後押しし、さらにともかく米国大統領が誕生したことで、は相場が最も嫌う「リスクの度合いが読み切れない」状態がなくなったことも影響しているのでしょう。

こうなる予感は9日夕方から

実は「もしかして、そんなに下げないのでは」という兆候は9日夕方からありました。大阪取引所の夜間取引で取引される「日経平均先物」の値は、翌日の日本株の相場の目安となるのですが、その12月物の値が、9日の終値より上がりだしたのです。

さらに、10日の早朝には、1000円以上も上昇しました。これは10日の日本株は「下落どころか、暴騰します」と言っているようなもの。

どんな株が買われているの?

では、実際にどんな株が買われて、どんな株が売られたでしょうか。

日本株と同じように9日に急落し、10日に下げを取り戻した上海市場では、非鉄金属株や鉄鋼株が急伸しました。これはトランプ氏が勝利宣言で「インフラ投資の拡大」に触れていたことからの憶測だといいます。

トランプ氏の発言は、高速道路や橋、トンネル、空港、学校、病院といったインフラ整備を最重要課題とし、何百万人という労働力を投入するというものですが、そうした建設工事になくてはならない材料はどこから入手するのか、という憶測からのようです。

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同じように日本株では、建築機械を作るコマツ、日立建機、竹内製作所といった銘柄が買われています。いわゆる「思惑買い」というものですね。

しかし一方でトランプ氏は、過去に米国のキャタピラー社のライバルであるコマツを、企業名を名指しして批判したことでも知られています。株価上昇はあくまでも憶測、思惑、であることを心したほうがいいかもしれません。

最も株価が下がったのは?

「トランプ氏優勢」で暴落した9日の日本株のなかで、TOPIX(東証株価指数)で最も下げたのが「輸送用機器」です。はい、自動車が含まれているセクターです。

トランプ氏は、アメリカに輸出する自動車に大幅な関税をかけるという発言を繰り返してきました。日本だけが狙い撃ちされているわけでなく、米国に自動車を輸出するドイツや韓国のメーカーも同じ立場です。

さらにトランプ氏は、メキシコからの輸入品に関税をかけるという発言もしています。メキシコに工場を作って生産し、アメリカに輸出しているマツダや日産は、メキシコでの生産比率が高いことでも知られています。

日本の自動車メーカーは輸出企業であるため円安は追い風になりますが、トランプ氏の保護貿易主義が今後どうなってくるかで中長期は不透明になりそうです。

自然エネルギーには「冬の時代」到来?

そもそも地球温暖化の懐疑派で、2020年以降の地球温暖化対策「パリ協定」からの脱退を主張するトランプ氏。なんと石炭産業の保護まで訴えています。

オバマ大統領と真逆の方針、はいうまでもなく、エコや再生可能エネルギーを推進する世界の動きからもかけ離れていますが、補助金などで支援する必要もある、これからの分野には逆風になりそうなのが心配です。

今は「一安心ムード」。本質をよく考えよう

人は、新しさには過度の期待を持つものです。「ほっと一安心」のムードも漂う今、相場は楽観ムードに包まれているといえます。しかし、これは本当の地固めではなく「やれやれ」という小休止だと思ったほうがいいかもしれません。

今後、米国次期大統領としてトランプ氏の発言が出てくるたびに、相場は反応することになるでしょう。私たち投資家はやはり、ものごとの本質をよく考えながら、基本は分散&長期投資を心がけ、余裕資金でリスクをとっていく姿勢で臨むべきではないでしょうか。

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