(写真=筆者撮影)

女子大生が株式投資にチャレンジ!アプリを使った授業に潜入

ドキドキしながら選んだ「銘柄」は?

「都内の女子大で、アプリを使った実践的な株取引のゼミが行われているらしい」という噂を聞きつけました。どんな授業なの?投資の成果は?2016年10月某日、教室にお邪魔した突撃取材では、たくさんの発見がありました!

ゼミは女子大生による「釈明」からスタート!

株取引を実践しているのは、跡見(あとみ)学園女子大学マネジメント学部の、金融と経済のゼミです。

跡見学園女子大学,ゼミ,実践,株取引,アプリ,授業 「運用会社」のプレゼンの様子。リアルな投資なのでドキドキです(写真=筆者撮影)

この日のゼミは、3年生4人でつくる架空の運用会社「お嬢コーポレーション」による釈明から始まりました。前回のゼミで投資したスターバックスとタイムワーナーの株で含み損が出たためです。

「スタバは、期待した紅茶の新商品の売れ行きが思わしくなかった」
「タイムワーナー社は新作公開前でまだ結果が出ていない」

お嬢コーポレーションのメンバーは、株価低迷の理由をこんな風に説明していました。

3年生が「運用会社」、4年生が「財団」を運営

ゼミは3年生、4年生の混成です。3年生は投資先を選ぶ「運用会社」、4年生はどの運用会社の方針を採用するかジャッジする「財団」をそれぞれ運営しています。運用会社は投資したら良いと思う企業について授業でプレゼンをし、財団はプレゼンを聞いて投資先を判断、その場でアプリを使って株を売買するという仕組みです。

3年生の「運用会社」は4チームあり、それぞれ「社名」も付いています。長期安定運用からアクティブまで、運用方針もさまざまです。

「お嬢コーポレーション」の投資方針は「超絶アクティブ投資」。その理由はスタバ株にいきなり5万円投資するなど、金額の思い切りの良さなどから命名されたものだとか。

跡見学園女子大学,ゼミ,実践,株取引,アプリ,授業 超絶アクティブ投資の「お嬢コーポレーション」のみなさん(写真=筆者撮影)

スタバ株は投資開始時から12%も下げていることから、お嬢コーポレーションは「スタバ社はロスカットして損失確定、タイムワーナーは引き続き新作公開に期待して保有」を提案しました。「売り」の判断には「含み損が出ると焦ってしまって……」という本音も。

こうした発表と、各チーム内、ゼミ生全員での話し合いを経て、保有している銘柄をどうするか、新規でどの株を買うかを決めていきます。

「お嬢コーポレーション」の2銘柄について財団の判断は、「スタバ株についても、株価の上昇につながりそうな要素も見受けられるため、とりあえず両銘柄とも保有」というもの。判断は全員一致で承認されました。さて今後はどうなっていくでしょう?

投資資金100万円で資産運用開始

跡見学園といえば創立1875年、「ごきげんよう」というあいさつの発祥の地ともいわれる名門校です。大学は1965年に設置され、埼玉と東京都文京区にキャンパスがあります。

ゼミが行われているのは文京キャンパス。白を基調とした明るい教室では、メディアで見覚えのある女性が教壇に立っていました。経済誌『Forbes Japan』の副編集長兼WEB編集長で、日経CNBCのキャスターの谷本有香さんです。

谷本さんは学生たちにより実践的な学びを得てほしいと、2016年4月から100万円を使った株式投資という授業をスタートさせました。

跡見学園女子大学,ゼミ,実践,株取引,アプリ,授業 ゼミ講師の谷本有香さん(写真=筆者撮影)

授業に使っているのは、スマートフォンの証券取引アプリ『One Tap BUY(ワンタップバイ)』(株式会社One Tap BUY提供)。フェイスブックやコカ・コーラなどアメリカの有望株30銘柄の売買が最大3タップでできるものです。このアプリなら、ややこしい前提を省いて「投資とはどんなものか」を体験することができます。「学生にとっても分かりやすいのでは」とひらめいて、ゼミに取り入れることにしたといいます。

跡見学園女子大学,ゼミ,実践,株取引,アプリ,授業 One Tap BUYのスマホ画面。直感的に操作できます(写真=筆者撮影)

ちなみに株式の売買は市場で直に行うのでなくOne Tap BUYとの「相対取引」となるため、24時間365日売買ができます。日本円1万円から1万円単位で投資でき、どのくらい含み益、含み損が出ているかも、日本円換算で表示されます。

「このゼミで、投資を初めて体験」

ゼミ生たちが情報収集で活用しているのは、ブルームバーグやYahoo!ファイナンスなどの経済メディア。プレゼン前、どこに投資するか話し合う時間には、みんなでスマホ画面を見ながら討議する姿が見られました。

話し合いの合間、ゼミ生たちに投資歴を聞いてみると、ほぼ全員が「このゼミで初めて投資を体験した」そうです。

ゼミを選んだ理由を聞いてみると、「母が証券会社に勤めていて投資は気になっていました。自分のお金では怖いけれど、授業でできればいいなと思って」「先生たちが経済にすごく詳しいので、生きた経済を学びたかった」と、経済への興味や投資のきっかけ作りとして選んだ人が多いようです。

授業を通じて投資についての意識がどう変わったか聞いてみると、ほぼ全員が「今では、以前に比べてプラスの意識が高くなった」と答えてくれました。

跡見学園女子大学,ゼミ,実践,株取引,アプリ,授業 ゼミ生のみなさん、ご協力ありがとうございました!(写真=筆者撮影)

この日の投資銘柄はどこ?

この日、4社の「運用会社」が提案したのは、コカ・コーラ、ビザ、ディズニーなどでした。「パリのディズニーランドが来年、記念の年なので株価が上がりそう」「アメリカでは健康志向が高まっているのでヘルスケア用品は売れると思う」など、自分たちで考えた投資理由が発表されました。

3年生の提案を受けて、この日の新規投資銘柄に決まったのは「シマムラ運用会社」が提案したビザとディズニー。

ただ、資産配分についてはゼミ生たちの議論がありました。当初、成長が安定しているビザには6万円、映画の興行成績の様子見もしたいディズニーには4万円という配分でしたが、議論のなかでは、むしろ伸びしろのありそうなディズニーに6万円、ビザには4万円にしたほうがいいという意見も。最終的には、それぞれ5万円ずつ投資することでまとまりました。

「はい、お疲れ様でした。ではこれから注文します」と谷本さん。谷本さんのスマホを使い、その場で株が買われました。

imageTitle ゼミ生が見守る中、3タップで購入完了(写真=筆者撮影)

女子大生の銘柄選びから学ぶこと

谷本さんは「ほかにはこうした見方もありますよ」といったアドバイスはするものの、判断はゼミ生たちに任せています。

理由は「よく考えて選ぶこと」と「選んだ結果に責任を持つこと」を大切にしているから。投資について大切なこの2つの姿勢を、谷本さんはゼミで実践しているのです。

株好きの筆者として興味深かったのは、「米国株の人気銘柄」と検索すればヒットするはずのアマゾンやアルファベット(グーグルの持ち株会社)の名前が出てこないことです。でもここに、学ぶべき大きなヒントがあるように感じました。

投資の基本は、応援したい銘柄を買うことです。調べることで、今まで知らなかった会社を知り、魅力を感じれば、投資対象が増えていきます。逆に、「分からないもの、自分が理解できないものには無理に投資をしない」も大切な基本の一つです。

初めての経験で、しかも説明責任を果たしながら投資するにあたって、学生が無意識に行っている着実な銘柄選択は、サラリーの範囲内で自由に投資ができる私たちにも学ぶべきところがあるかもしれません。

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