(写真=Thinkstock/Getty Images)

手厚いサポート、どこまで知ってる?もし乳がんが発覚したら、確認したいお金のこと

いざという時のセーフティーネットです

乳がんの早期発見、早期治療をすすめるピンクリボンフェスティバルが、今年も各地で開催されました。東京では、レインポーブリッジや東京都庁がピンクにライトアップされていましたので、ご覧になった方も多いのではないでしょうか。定期的な乳がん検診は、ぜひ習慣にしていきましょう。

さて、もしも自分の乳がんが分かったら、どうしたらよいのでしょう。治療にはお金がかかりますが、公的な補助もあります。

今回はファイナンシャル・プランナー(FP)の立場から、会社員の女性が、もしも乳がんだと発覚したら、というシチュエーションを想定し、どのような補助が受けられるかを解説します。

高額療養費制度で、一定金額以上の治療費は払い戻される

自分が乳がんだと診断されたら、治療のことや家族、仕事のことなど、考えなければならないことがいろいろあります。

そういったことを決めていくのには、自分自身の価値観はもちろん、お金のことも重要な要素です。お金がなければ治療もできないし、生活も続けていくことはできません。

でも、お金に関して言うと、そこまでの心配はご無用です。健康保険証があれば、保険診療は3割の自己負担で治療を受けることができます。さらに、「高額療養費制度」により、自己負担の上限額が決められています。病院の窓口で上限額以上の支払いをしても、超えた分は払い戻されるので安心です。

例えば月給が30万円程度であれば、1カ月の自己負担は10万円弱ですむ計算になるので、貯金でなんとか乗り切れる金額ではないでしょうか。

治療費の上限額をさらに減額する制度、「多数該当」とは

「高額療養費制度があるとは言っても、これが何カ月も続くと大変」。そう思われるかもしれません。

確かに、がんの治療は長期になりがちです。抗がん剤治療を半年以上続ける場合もあります。最近は新しい抗がん剤が開発され、治療効果も高くなる一方で、価格も高額です。

こういう時のために、「高額療養費制度の多数該当」という制度があります。これは、直近12カ月間で、3回以上高額療養費制度を利用した場合には、上限額がさらに減額されるというものです。先ほどの、月給30万円程度なら、4万4400円になります。

高額療養費制度の表 (表=筆者提供)

「多数該当」の注意点

ここで、ひとつ注意しなければならないことがあります。この多数該当ですが、健康保険組合から国民健康保険に切り替えるなどして、保険者が変わると支給回数は通算されません。

社会保険から国民健康保険になるのは、ほとんどの場合、会社を辞めた時です。つまり、治療途中で退職し、保険証が変わると、多数該当にならずに治療費の自己負担が減額されなくなってしまうことがあるのです。

治療をするからといって、会社を辞める必要はありませんので、あわてて退職しないようにしましょう。

職場によっては、さらに手厚い補助も

会社を辞めないほうが良い理由は他にもあります。大企業の場合は、会社ごとに健康保険組合があり、組合によっては独自の付加給付の制度があります。この制度により、自己負担がさらに減額されるのです。

組合によって自己負担額はまちまちですが、2万5000円前後のところが多いようです。 国民健康保険にはない、付加給付制度を使うのは、会社員でなければできません。会社にどのような支援制度があるか、今一度確かめておくとよいでしょう。

会社を休んでも、有給休暇と傷病手当金で収入の確保を

治療のためには仕事を休まなくてはならないこともあります。会社員であれば有給休暇がありますので、その間の収入は確保できます。

休みの取りやすさは職場によって事情も異なるでしょうが、日ごろから良好なコミュニケーションを心がけておくことは、病気であるかどうかに関わらず大切なことです。

そして、有給休暇を使い切った後は、傷病手当金の制度があります。連続して3日間休んだ後、4日目以降の休んだ日に対して、給料が支給されます。金額は、直近1年間の月給の約3分の2です。自宅療養でも支給対象なので、退院後や、通院治療中に休んでも給付が受けられます。

このように、会社員はフリーランスで仕事をしている人とは違って、いきなり収入がダウンするリスクは少ないと言えるでしょう。

傷病手当金の支給期間は、支給開始した日から最長で1年6カ月までです。体調と相談しながら、その後のことをじっくり考えてもよいでしょう。

民間の医療保険・がん保険の保障内容もチェック

保険に入る時はしっかり検討し、保障内容も分かっていたはずでも、時間がたつと忘れていることも多いものです。加入済みの保険は、どのような時に給付金を受取れるのかチェックしておきましょう。

医療保険は入院と手術の給付条件が大事です。

  • 入院給付…1日いくらの給付か、何日までの入院が対象か
  • 手術給付…1回いくらの給付か、対象になる手術は何か

がん保険やがん特約では、診断されたら受取れるのか、入院や手術をしないと受取れないのか、確認しておきましょう。

  • がん診断給付…いくらの給付か、受取れるタイミングはいつか
  • 特約の種類と金額…入院・手術・退院・通院・特定の治療

もしも乳がんになっても、早期発見と早期治療で、がんは治せる時代です。そのためにも、準備は抜かりなくしておきたいですね。

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