(写真=Thinkstock/Getty Images)

げ、現実と全然違う…『校閲ガール』で気になる現実とのギャップ

フィクションだけど、やっぱり気になった

仕事をしていると、自分が働いている業界を舞台にしたドラマなどの内容が気になってしまうことはないでしょうか。今クール話題のお仕事ドラマ、『校閲ガール』について、みてみましょう。

出版業界が舞台のドラマ。実際はどうなの?

筆者は以前出版社にいましたが、過去には週刊コミック誌の編集部が舞台の「重版出来!」、書店が舞台の「戦う!書店ガール」などがドラマ化されました。「すごくリアル!」と共感できたものや、「げ、現実と全然違う……」と、思わず観ながらツッコミを入れたくなったものもありました。

今話題になっているのが、石原さとみさん主演のドラマ『地味にスゴイ!校閲ガール・河野悦子』。好評な一方で、内容が「非現実的である」と話題になっています。

今回は、ドラマと現実の校閲の仕事のギャップについてご紹介します。

未経験者がいきなり校閲部に配属!?

第一話では主人公の河野悦子が、大手出版社の採用試験を受けて入社します。しかし配属されたのは、河野が志望していたファッション編集部ではなく、原稿の間違いや誤植を見つけたり、内容と事実が合っているかどうかをチェックする校閲部でした。

「校閲」は、編集の仕事の中でも特に専門性の高い仕事です。大手出版社である新潮社の採用サイトにも、「誤植のチェックのみならず、文章の内容まで踏み込んで矛盾や間違いをチェックして、新潮社の出版物のクオリティをしっかり支える、プロ中のプロともいうべき凄腕の校閲者が揃っています。」と記載されています。

ただ単に文章の間違いを指摘するのではなく、書かれている内容が事実かなど、非常に幅広い知識が求められるのが校閲の仕事です。同じ出版社でも、営業や編集、総務など他の職種の場合は中途入社でも入れることがありますが、中途採用の未経験者をいきなり校閲部の社員として採用するケースは、現実にはほとんどないといえます。

現在では社内に校閲部を置かず、校正・校閲専門の会社や、フリーランスで校正・校閲の仕事をしている方にお願いするなど、外部に発注する出版社がほとんどです。出版不況が長らく続き、少人数で成り立つ出版社が多い現在では、大手以外で校閲専門の社員を置く所は非常に少ないといえるでしょう。

校閲者が本の内容にアドバイス!?

校閲ガール, 出版社 (写真=Thinkstock/GettyImages)

第2話では、専業主婦が書いた節約術に関するブログをまとめた書籍の校閲を担当した河野が、自分が知っている節約術を著者に教える場面がありました。ドラマでは、アイデアを出してくれたことに著者が喜び、河野のアイデアを書籍に取り入れたいと言い出したのに加えて、当初は予定していなかった付録もつけることになります。

実際には、校閲者が著者の作品の内容にアドバイスをする、ということはありません。

校閲者が行うのはあくまで「内容の矛盾点や事実関係を確認すること」で、「本の内容のアイデアを出す」ということはなく、実際に著者とやりとりをするのは担当編集者です。他部署で働く河野が、直接著者に働きかけるという設定は無理があります。

ただし出版社の社員として、企画段階や企画が通った本の内容やタイトル・装丁などに関して、担当編集者などから意見を聞かれることはあります。また、それが本に反映されることもあります。

担当編集者以外の社員が著者とやりとりをするのは現実離れしているものの、出版社の社員のアイデアが本に取り入れられることはあります。

ドラマと現実は別モノとして楽しもう!

校閲の仕事の実態とは異なる所も多いこのドラマですが、初回の視聴率12.9%を皮切りに、第3話までの視聴率は2ケタをキープと、視聴率は上々です。

現実に根ざしたドラマも見ごたえがありますが、現実とは全く違う世界を見せてくれるのも、ドラマの魅力。医療ドラマや、刑事ドラマと同じですね。リアリティを求めず「ドラマと現実は別モノ」として、思い切り楽しむのもアリですね。

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