(写真=DAILY ANDS編集部)

リボ払いは「誘惑の宝庫」。手を出したら絶対にダメな理由とは

お金の専門家と日経WOMAN編集長の対談から㊦

「マイナス金利時代のお金の知恵」と題したセミナー(2016年10月15日、オフィス・リベルタス主催)から、ファイナンシャル・プランナー(FP)の前野彩さん、経済コラムニストの大江英樹さん、『日経WOMAN』編集長の安原ゆかりさんの3人による対談をお届けするリポートの第3弾。最終回となる今回は、リボ払いや住宅ローン、そして長期投資に対する考え方がテーマとなりました。

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リボ払いは「誘惑の宝庫」。手を出したら絶対にダメな理由とは

リボ払いの罠とは?

安原:日経WOMANの読者の中には、住宅ローン以外の借金を抱えている方も結構いらして、しかもほとんどがリボ払いなんですよね。ある大手百貨店のカードに入会しようとしたら、「1万円以上の支払いはリボ払いが基本となるコースを選択すると年会費が無料になりますよ」と言われ、お得そうだからそうした、というお話を最近うかがいました。

大江:リボ払いって行動経済学の宝庫なんですよね。まずは、選好の逆転。「ポイント5倍」などの目先の利益にとらわれてしまう。

そして次にネーミング。本当は高利の借金なのに、「リボ払い」という名前で何か払い方のバリエーションのひとつみたいに感じてしまうのです。

さらに、定額の支払いだから、支払額が増えていることに気づかない。以前、月々7万円をリボ払いしていて、そのうち金利が6万8000円という人もいるということを聞いたことがあります。

こうした罠にかからないためには、はじめからリボ払いは絶対にやらないということです。

マイナス金利時代のお金の知恵,前野彩,大江英樹,安原ゆかり 対談に先立って行われた大江さんの講演(写真=DAILY ANDS編集部)

前野:そんなに数は多くないですが、住宅ローン審査がおりなかったという相談者の多くはクレジットカードの延滞ですね。そこで話を聞くと、原因はリボ払いです。気づかないうちに払えなくなっている。意識しないから、延滞のお知らせも見てない。行動の重みを知る機会が少ないのです。

安原:請求書って、家に届いても開けたくないんですよね。(笑) でも、これからはこまめに封筒は開けましょう。

2016年に多い「住宅ローン」の相談

安原:先ほどの講演で前野さんは25年の住宅ローンを、繰り上げ返済を活用して5年で返されたそうですね。「当時の自分はそれぐらい無知だった」とおっしゃっていましたが、自分に最適な返済額や返済期間ってどう判断したらいいでしょうか?

前野:私が家を買ったのは26歳のときで、お金の知識は全然ありませんでした。家を買いに行ったら、不動産業者に「買いどきですよ」と言われて「そうなんだ!」と思ったんです。さらに、融資をしてくれた銀行の人には、「これから何があるか分からないから、できるだけたくさんローンを組んで手元にお金を残した方がいいですよ」と言われて、「そうかー」と納得。(笑) 借りられるならと、職場からも借りました。

ところがローンを組んでから「家を買ったのに、なんでこんなに手元にお金があるんだろう」と気付いて、家を買ってから1年がたった頃に借り換えたんです。ちょっとの知識のあるなしの差は、やっぱり大きいです。

借り換えをするときにどれがおトクかは、いくら借りるか、何年で返すか、手数料はどれくらいか、などで変わってきます。専門家に相談してシミュレーションするのもいいですし、金融機関サイトで試算をするのもいいと思います。

大江:ローンは変数がいろいろあるので複雑ですけど、ある程度は自分で考えながら、前野さんみたいなFPさんに相談するというのがいいでしょうね。保険も同じだと思います。私自身FPの資格をとったのが47歳のときで、翌年にCFPを取りましたが、保険は本当にいらないなってわかりました。それまで医療保険も生命保険も全部入っていたけど、全部やめました。

気付いたときになんらかの手を打つのは大事でしょうね。払ってしまったお金は戻ってこない。

「長期投資さえすればいい」に騙されない!

安原:今日のセミナー大江さんの講演では、「マイナス金利だからって投資しなくていい」っていうのと、「コツコツ長期投資は金融機関を得させるだけ」っていうのも爆弾発言でした。

大江:投資が悪いとはまったく思っていないですよ。ですが、マイナス金利だからあわてて投資をする必要はないんですよっていうことです。投資するに値する対象があればマイナス金利だろうがなかろうが、投資すればいいんです。

ドルコスト平均法(毎月決まった額を同じ商品に投資する方法)は不合理な意思決定を防げるという意味では有効な方法だと言えます。ところがドルコスト平均法だから有利かっていうと、そんなことはありません。リスクのボリュームはまったく一緒です。マーケットの状況によっては、うまくいかないときもある。万能ではないってことを知っておかないといけない。

世の中には、「長期投資さえしていればいい」っていう人もいるので、そういう信仰はよくないですよっていうことを言っています。

安原:すべからく「言い切る人」はあまり信用しない方がいいということでしょうか。

大江:私もあえて極論を言うところがありますので、私も信用しない方がいいですよっていつも言っています。(笑)

資産運用の世界においては、何事も絶対正しいとは言い切れないので、それはみなさんに判断していただくということですね。

お金のプロはどんな資産運用をしているの?

安原:お二人はどんな資産運用をされていますか?

前野:投資信託の積立と、個人型確定拠出年金の積立、小規模企業共済の積立と、ものの見事に積立です。 ご相談者の投資のスタイルを見ていると、お金と感情はつながっているとホントに思うので、楽しく続けられることをやるのが一番ではないでしょうか。

マイナス金利時代のお金の知恵,前野彩,大江英樹,安原ゆかり 確定拠出年金のメリットを解説する前野さん(写真=DAILY ANDS編集部)

大江:私は生まれてから定期預金を一度もしたことがないんです。でも、キャッシュの比率は高めています。普通預金とかMRFを利用しています。自分の資産運用の中心は、グローバルに分散投資できる投資信託の積立もやっています。

あとは個別の株式投資ですね。いわゆるトレーディングも一時期やっていましたが、最近はやっていません。成長性があるとか、今の水準がどう考えても割安だと考えられる企業の株を、この間のイギリスのEU離脱のときのように市場全体が大きく下がった時にコッソリ買いに行きます。割高になったら売ると。保有している期間は3カ月のこともあるし、5年かかることもあります。

国の制度が変わったらどうしたらいい?

安原:ここで、来場者の方から質問はありますか?

来場者:国の制度とか、社会制度って急に変わっちゃうんじゃないかと思っています。先のことなのでわからないんですけど、変わったときにどうしたらいいでしょうか? そういう事例とか、そういう危険性がどれくらいあるのかとか。

前野:制度は変わります。健康保険の自己負担も昔はゼロでした。入院した時の食事代も、260円だったのが今年から360円、再来年は460円になります。あまり報道されないですが、じわじわこういうところの負担って上がっているんです。今後も社会保障の負担は必ず大きくなると思います。

年金でよく、制度変更の可能性の質問を受けるんです。将来的に、受給額が下がるのは決まっている。じゃあ結局どうなるんですか? 予定が立てられないじゃないかと。

こういうとき、私は「まずは、今ある制度で考えましょう」とお話します。年金制度が変わるときは、20〜30年かけて動いています。ひとまず今ある制度でプランを立てて、情報を取りながら、その都度変更していけばいいと思います。

お金を増やすのは、実は簡単ということ

この日のセミナーでは、対談に先立ち、前野さんと大江さんによる講演も行われました。

前野さんの講演タイトルは「節約しなくても家計を豊かにする方法」、大江さんは「“投資”しなくてもお金を増やす方法」。いずれも、「◯◯しなくても」と付いているのが印象的です。

セミナーでお二人が伝えていたのは、「お金の知識さえきちんと知っていたら、無理に資産運用なんかする必要はない」ということです。これは裏返すと、「それなのに、多くの人はお金のことを知ろうとしなさすぎではないか」という問いかけのようでもありました。

「忙しくてお金のことを勉強する時間なんてないよ」という言葉をこれまでさまざまなシーンで耳にしてきました。そんな人たちにも、「まずは、知ろうとするだけでいいんだ」ということが、今回のセミナーで伝わったのではないでしょうか。(お金の専門家と日経WOMAN編集長の対談から、おわり)

【お金の専門家と日経WOMAN編集長の対談から。上・中・下】
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